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「広告営業」という仕事の話

私は現職まで3社とも、ざっくり言うと「広告営業」の仕事をしています。
一見全部同じように見えるんだけど
(そして、初めての転職のときには、それがある種の罠だったんだけど)
実際は全然違うんだよ!!!
って話。

若手で転職を考えている人とか、
就活で広告系を目指している人とか、
昔の私と同じように、実はよくわからんなーって人のための記事です。


そもそも「広告営業」って?

広告の営業、なので、ざっくりいうとみんな「広告・販促活動に関わる商品を売る営業」のお仕事です。ただ、一言で「広告営業」と言っても、様々な立場の仕事があります。ざっくり大きく分けると、以下の3つの「営業」に分けられます。

①広告会社(総合広告代理店)の広告営業

②専業広告代理店/媒体担当の広告営業

③広告でマネタイズをしている、メディア会社の広告営業

私のキャリアとしては、新卒と現職が①、2社目が③の立場で「広告営業」の仕事をしています。そのため、②については実体験がないので、本記事では詳しく触れません。

①広告会社での「広告営業」の話

広告会社(総合広告代理店)はその名の通り、総合的に広告関連の商品を取り扱う代理店のことです。テレビ・新聞などのマス広告や屋外広告、デジタル、イベント、PRなど、企業の広告宣伝・販促に関わることはほぼ全てが売り物で、値のついた広告枠を売ることも、広告素材(TVCMとか)を制作することも、企業や商品のロゴやCIを提案し納品することもあります。

もちろん、会社の規模やポジションによって個々人のミッションや仕事の取り組み方は異なると思いますが、私個人の経験で言うと、昔も今も、クライアント(広告主)の「AE」として、お仕事をする機会を多くいただいてきました。

「AE(えーいー / Account Executive)」というのは、わかりやすく言うと、その会社・ブランドの「担当代理店」のことで、クライアントの ”パートナーとして” 事業を伸ばすお手伝いをする代理店のことです。

*ちなみに、「営業担当者」のポジションの役職名も「AE(Account Executive)」と呼ばれます。ちょっとややこしい。。。

クライアントごとに代理店との付き合い方は様々で、毎度のキャンペーンごとに競合コンペを行うこともあれば、全社のマーケティングを決まった代理店にAEとして任せることもあります。

AE制でもコンペ制でも、それぞれにメリット・デメリットがあるので、一概にどちらがいいとは言えないのですが、代理店側からすると、AEとしてお取り組みできる方が以下のような利点があると私は考えています。

・部分最適でなく、全体最適を考えた提案ができる

・先を見据えてお付き合いができるので、社内の体制を整えやすい

・年間でまとまった取引が見込めるので、質の良いサービスを提供しやすい


もちろん「営業」という名で、自社の売上・利益を稼いでくる仕事なので、年間でどのくらいの売上予算を達成する、という目標は立てるのですが、AEとしてお仕事をしていると、代理店の「売上予算」はそのまま、クライアントの「広告予算」になります。

クライアントの広告予算はとどのつまり「どのくらいクライアントの事業を伸ばせるか」によって変動するので、自社の売上をあげる=クライアントの事業を伸ばすことに直結するのです。

そして、今期の事業を伸ばす → 来期以降の広告予算が増えるという流れになることも多いので、中長期的な目線で、クライアントの事業を考えるパートナーとしての提案をすることが多くなっていきます。

キャンペーン提案であれば、一発花火ではなくて継続的な効果のある施策を

SNS等のコンテンツであれば、継続可能な「仕組み」ごと

時には、クライアントが社内で稟議に回しやすい・確認しやすいフローを構築したりも。

そうしていくと、だんだん「数字を取ってくる営業」というよりも、「ディレクター」や「プロデューサー」、はたまた「クライアントの広告宣伝部の業務委託の人」みたいになっていくこともあります。

そうやって、クライアントと一緒になって、時に主観的に、客観的な目線も忘れずに、パートナーとしてお取り組みをするのが「AE」代理店の「広告営業」のお仕事です。


③メディア会社の「広告営業」の話

初めて転職活動をしたとき、私は代理店を飛び出してみたい、という気持ちが強く、自分が経験したことのある「広告営業」の仕事、ということで、アプリメディアの会社に入社しました。

メディア会社の「広告営業」という職種は、自社メディアの中にある広告枠や広告企画を売る、営業のことです。

とにもかくにも代理店時代と大きく違ったのは、売上の建て方

そもそも自社でメディアを運営しているということは、人件費や間接費に加えてその運営費がかかってくるので、毎月いくら以上の売上がないと赤字、というラインがあります。(そもそも、入社時にそこのところも思い至っていなかった自分が、恥ずかしいばかりなのですが…)

事業計画からでてきた予算を達成するために、営業個人にも、毎月安定した売上を上げていくことが求められます。

今月いくらの売上をあげるために、どのくらいの案件見込みを仕込んで、そのためにどのくらいの顧客のアポ・問い合わせが必要なのか。。。

まさに「営業」の仕事でした。

幸か不幸か、既存でも新規でも「AE」としての広告営業をしたことしかなかった私には目から鱗。全然違う脳が必要なことを、入社してから初めて思い知ったのです。

もちろん単価の大きな商品をいつでも売ることができれば問題ないのですが、単価を下げれば下げるだけ、発注決裁に至りやすい一方で案件数を増やさなくてはいけないので、個々のクライアント・案件に避ける時間・労力は減っていきます。

個人的に、クライアントの事業・ブランドのゴールからの逆算でしか考えたことがなかったので、1メディアに預けられる情報・裁量の少なさの中で最適な提案をするために、四苦八苦するばかりでした。(正直、クライアントの目的を叶えられるソリューションを提供できず、他のメディアや手法をおすすめしたこともありました。。。)


一方で、自社の事業を伸ばすための広告というのはとても新鮮なものでした。自社メディアのユーザーがどんな情報・サービスを求めているのか、それにマッチするクライアント・商材は何か、どうしたらその広告を入れてもらえるのか。

一つの代理店にいたら、とてもお会いできない数・種類のクライアント様と出会うことができ、それぞれの想いを届ける仕事ができたことは、とてもとてもやりがいのあるものでした。

そして、プロダクトの作り手たちとの仕事も、私の糧になりました。

幸いなことに、全社の人と人との距離が近い会社におり、エンジニアや編集メンバーともワンチームで働く機会を得たので、互いの意思疎通を図りながらプロダクトの成長を志向できたのは、とても貴重な経験でした。


結局は「自分に向いているかどうか」で選ぶのが吉。

ビジネス商流上の上流・下流はあれど、結局は「自分に向いているかどうか」で選ぶしかないなと、3社目になってようやく、感じています。

それは、どんなスタイル・コミュニケーション・思考の方法が自分に向いていて一番得意分野で輝けるのか、ということ。だって、広告業界にいたら、だいたい1日10時間とか没頭せざるを得ないわけで。生活の半分の時間を捧げるのだから、少しでも居心地がいいほうがいいよね。

そして向き不向きは、実際にトライしてみて初めてわかる部分が、正直ある。ので、きちんと事前の情報を精査し考えた上で、一番向いているところに飛び込んで見る。

そこで輝けるのがみんなHAPPYなんだけど、向いてない!って強烈に思うなら、自分のためにも周りのためにも、すぐさま美しくバトンタッチすることを考えたほうが、良いのではと思います。(美しく=引き継ぎしっかり、誠意をもって、が大切です。業界は狭いのですぐに悪い噂は広まるかと…)

もちろん、労働条件・給与・勤務地・その仕事に誇りを持って楽しめるかなどの最低条件はクリアした上で、の話。そしてその優先順位は本当に人それぞれなので、それは自分自身(と、一緒に生きていきたい家族)が納得できるものを。


上を見ても下を見てもきりがないから、

みんなが納得した環境で、働けるといいよね、と思いながら。

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