今週のサステナブルNews!
先週は、友人の結婚式で英国ロンドンに約20年ぶりに訪れていた。もちろん、歴史的建築物などは相も変わらず美しかったのだが、街のソフトウェアとでも言うべきか、店舗達やレストランなどは様変わり。サステナビリティ先進国の一つであるロンドンでの実際の様子も含めてアップデートしていく。
GANNI LABがセルフリッジにてPop-upを開催中
世界一サステナブルな百貨店といっても過言ではない英国のSelfridges(セルフリッジ)にて、コペンハーゲン発のサステナブルファッションブランドGANNIが、革新的な素材やサステナブルな取り組みを行うGANNI LABのポップアップを11月23日まで開催中だ。
セルフリッジと言えば、テナント選びはもちろん、Reselfridges(リ・セルフリッジ)と言って、リペアやリセール、レンタルなど、循環型のエコシステムを百貨店の中心に構えている。そして、それらの取り組みは、見せかけではなく、確実に成長を続け、2023年の売上は前年対比で約3倍増加。また、二酸化炭素排出量削減も実現しており、2018年対比で、2022年に、Scope1とScope2を合わせて約2割削減した。
それらの取り組みも含め、多くのサステナビリティを謳うブランドは、セルフリッジでのポップアップや店舗展開を競うように出し、”セルフリッジにも認められた”証を求めている。
GANNIは、テナントとして店舗展開も行っているが、今回はGANNI LABでのPop-upを実施している。みなさんは、そもそもGANNIが、この二つの別の事業体とでもいうべきか、業態を分けている事をご存じだろうか。Instagramなどのソーシャルアカウントなどもそれぞれ分けて運用し、GANNI LABでは、サステナビリティに関するエジュケーションや、GANNIでの最新の環境負荷削減のための取り組みなどに関して共有している。
Pop-upでは、まだまだ商業化が大規模に出来ていない次世代素材(Next Gen Material)を使用したバッグのプロトタイプや、Fabrics of the Futureというコレクション名で、デッドストック(使用されずに余っている素材)やオフカット、売れ残った商品などに手を加え、新たな命を吹き込んだ商品を販売している。
GANNIの創業者が数カ月前に出版した書籍も販売されていたため、私はそれを手に取って店舗をあとにした。
それでも増え続けるポリエステル製品
Bof(ビジネス・オブ・ファッション)での記事からの抜粋だが、多くの企業が、循環型の取り組みやリサイクル素材の仕様に力を入れ始めているにも関わらず、世界のテキスタイル生産、特にその中でもポリエステルの生産量は増え続ける一方だというデータがTextile Exchangeから発表された。
テキスタイル生産量は、過去最高を記録し、2023年には124 millionトンに上っている。その内訳として、57%がポリエステルである。
更に、ポリエステルの中でも、リサイクルポリエステルを使用し謳っているブランドが急増してにも関わらず、全体の中でのマーケットシェアは5年前と変わっていない。
また、別の角度から考えてみると、リサイクルポリエステルが、必ずしもファッション産業の廃棄物問題を解決しているとはいう事が出来ない。それは、下記グラフでも示している通り、リサイクルされているポリエステルは、不要になったお洋服で使用されたものではなく、全く別の素材であるペットボトルが原料となっているからである。
一部の企業のみの取り組みでは、全体は変わらない。そのことをデータが示している。
フルサービス・リバースロジスティックスのSuper Circleが急成長中
米国市場にて、J.CREWやユニクロ、REFORMATIONなどのビッグブランドとパートナーシップを組む、フルサービス・リバースロジスティックス企業のが、業界から絶大な信頼を寄せている。直近では、GUESSやキム・カーダシアンのアンダーウェアブランドSKIMSとのパートナーシップを発表した。
SUPER CIRCLEが提供しているサービスは、ブランドが不要とする全てのテキスタイルのみならず、アクセサリーなど様々な素材も含む、プレ(消費前)&ポスト(消費後)コンスーマーアイテムの引き取り、選別、リサイクル、データの提供だ。
リバースロジスティックスやリサイクリング業者の大きなペインポイントの一つが、素材の選別(ソーティング)である。そこで、SUPER CIRCLEはテクノロジーを使って解決する。例えば、消費者から受け取った商品に関しては、彼らのEMAILを元に、ブランドでの買い物のデータを辿るため、パートナーブランドのウェブサイトにプラグインして、素材や繊維情報を入手する。そのうえで、素材を選別しているため、リサイクルをしている個人やパートナー企業に対しても、(実際の算出方法は不確かであるが、理論上は)重量のみならず、素材構成から、どれだけの温室効果ガスの削減に寄与したかなどをデータとして戻すことが可能である。
SUPER CIRCLEの様なサービスが成長しているからと言って、何も考えずに今まで通りに商品をデザインしてよいわけではない。循環型のビジネスモデルを構築しつつ、それを最大限可能にするデザインを初めから再構築する事が必要だ。