#036『サイダーハウスルール』(1999)
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( 036/365)
『サイダーハウスルール』(1999)
原題『The Cider House 』
岡山県を担当していた時お世話になりました方からのオススメです。見た後にもオススメをしていただく方が多い映画でした。
舞台は1943年、メイン州ニューイングランド。
孤児院で育ったホーマーの物語。
セントクラウズという孤児院を切り盛りするラーチ医師は、望まない妊娠をした女性の中絶を請負い、また里親探しをする人物だ。
ホーマーもその中の孤児の1人だったが、物語の冒頭、ラーチ医師は彼を特別だと語る。青年になるにつれ、ホーマーに医術を授け、結果としてラーチ医師の惜しみない愛は、彼を孤児院の主とさせてしまったと語る。
だが、青年の外へのの憧れを止めることは出来ない。
中絶に訪れた若い恋人たちの帰郷についてホーマーは旅立つ。
本作を1つのテーマで語る事はできない。
堕胎、出産、孤児、旅立ち。季節労働者たちの生活、そしてルール。恋愛、出兵した恋人を待つ女性。近親相姦。別離。そして人生の決断。
テーマを語れないのは当然だ。いつだって、何が起こるかなんてわからない、都度向き合い、なんらかの選択を選ばなくてはならない。
タイトルの"サイダーハウス"というのは、ホーマーがたどり着いたリンゴ農園のことだ。季節労働者である黒人たちへオーナーが書いたルールがある。
学があるホーマーが彼らと生活を共に始める際に読み上げようとするが、ボスに止められる。生活をしている彼らは文字が読めず、ボスは知る必要がないと考えている。
終盤にさしかかるときに、このルールが語られることになる。
中盤、ラーチ医師の行動は僕たち鑑賞者はメタ認識出来ることだが、ホーマーには伝わらない。
青年の想いは手紙に綴られることだけであり、ラーチ医師の溢れるような想いは伝わらないのである。
テーマが重い事や、ホーマーがとても清い心を持ってる事で物語は終始美しい。
彼にとっての決断は彼が選びきった選択だと僕は思う。
そうそう。ラーチ医師の声をあててるのが、#018 裸の銃を持つ男2 1/2で触れた中村正さんだ。淡々としているのにすごく優しい声である。
冒頭の語りでぐっと物語に引き込まれる。
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