完全民間のリノベーションまちづくり 沸騰寸前のKAWASAKIを目撃に!~セシーズイシイグループ代表 石井秀和氏の取り組みを聞く~
都市経営プロフェッショナルスクールの受講生同期の鈴木真君らが立ち上げたKAWASAKI LOCAL DOORの視察プロタイプツアーに流山メンバーと視察に行ってきましたが、私としては何と言っても石井さんの話を聞いて頂くのがメインです!
セシーズイシイグループ代表 石井秀和氏の取り組みを聞く
曽祖父からスタートした不動産賃貸管理業を基盤とし、自社物件の賃貸マンション『セシーズイシイ』シリーズ(計約370戸)を管理している石井秀和氏。
街のために鉄道を引いたという曽祖父。鉄道事業は、50~100年スパンの街づくりに寄与する事業だから自分も50~100年スパンで街づくりを考える必要がある(その姿勢を妄信的に信じている)とサラッとおっしゃる石井氏。その一つひとつの言葉に、流山のメンバーはハートをぶち抜かれていました。川崎市(溝の口)に転入を検討されている方は、石井さんの物件を要チェックですよー。
以下、ザ・石井流と言わんばかりの言霊、哲学を記します。
リノベーションまちづくりとの出会い
〇家業4代目の石井氏。人口減少社会ゆえ、集客困難で単価が下落する危機感を感じる中、持っている物件は建蔽率・容積率がいっぱいで立て替えが困難。糸口を見出すため熱海のリノベーションスクールに参加(3日3晩考え続けるハードプログラム)
〇持っている物件が北口に集中しているので、リノベーションまちづくりの実現を(最初から)エリアから考えられる立ち位置にいると思った。オフィスが少ないベットタウンゆえ、コワーキングスペースを作るところから始めたが、最近やっと経営が軌道に乗ってきている。
〇持っている物件はいわゆる3点ユニットという形式で、付加価値を上げるのは難しい。コミュニティ型の賃貸マンションが流行り、共用部への投資も考えたが管理者の人件費分まで出せない。昼間の街に目を向けてみると、お母さんや子ども達の居場所が必要というニーズからパン屋、ダイニングバーがいいだろうと思った。このモデルだと人件費を捻出することなくビジネスとして自走できる(が、決して簡単に美味しいビジネスではない)
石井流、事業の作り方
〇1つひとつの区画をリノベーションするだけだと、投資して付加価値載せて貸すだけなので瞬間風速しか出ない。コミュニティの安心感を作れば、エリアの中長期的な目線での価値が生まれると信じた。
〇リノベーションを行うことで暮らし方の提案をしようと試みた。1Fのリノベーションなので適切に街に染み出せば、路線価は上げられるはず。その際、場所に拘らず人を呼べる事業主の存在が肝になる。
〇nokitica(こちら)は利益を莫大に産むわけなく事業としては面白くないが、文化を作る。文化が街に育っている実感がある。
〇今は、やりたい(事業)の相談受けてから店舗作る流れで取り組んでいる。今の時代の課題は人。作ったはいいがやれる人がいない、状況に陥り勝ち。第六南荘も1店舗ずつ形にしていった。溝の口の新城テラス、新城Workは直営で運営しているが、カフェをやりたい方が見つかったからよかった(が、今後は出来ればやりたくない)。
〇やり続けていると新しい価値が生まれ、家賃も若干高く設定できるように。しかし新しい価値を提供できる人的資源は家庭に責任を持つお母さん達だから、週3しか働けないとなる。だから、この方々でどう街の雰囲気を変えていくかが命題。人口減少の中、確実に失われる価値を、どう失わないかと言う視点は重要。
〇これが正しいかはわからない。最初にまちのありたい姿を描こうと、熱海のリノベーションスクールでも悩んだが、できなった。そこで出会った方に「石井さんは最初にきれいな絵を描く人ではなく、点を打ち続けた先に見出す人なんじゃない?」と言われ、迷いが無くなった。今ではその方の会社の役員になっている。
〇この街には町内会も残っていて頑張っている。お神輿のお祭りを地域の中で守るのは難しく、外の方に頼っている(伝統を!と掲げている方の子どもは地域から出てしまっているw)。
〇この街は肉体労働者が多かった街。物価は安く、安売りキャンペーンもしてライフコスト下げてきた。しかし都内でのクオリティを知っている転入者層もいるため、気取らずも、ある程度の身なりで、こじゃれたカフェがあると豊かになる。そこを狙いに行った。コロナ渦で客層も変わったから、ベビーカーを中まで入れるようにした。お客さんとしてもプレイヤーとしても大切な存在だと思っている。
参加者からのざっくばらんな質問
〇(質問)以前、売れ残っていた賃貸は埋まったのか?
埋まっている。しかしこれまでの取り組みが功を奏しているのかという検証は出来かねる(詳細略)。将来的には住宅情報サイトに頼らずにプロモーション出来ることが理想。
〇(質問)不変と可変の違いは何ですか?
不変は昔を傷つけない。可変は新しいことが入ってくること、変わることを否定しないこと。事業をやり始めた頃は「お前は若造」といわれたが、最近は「頼むわ」と言われるように。歳をとっても感謝し続ける気持ちは重要(自戒)。
〇(質問)行政が出来ることは何ですか?
役割分担。行政は平等でなければならないので(誰かの価値を応援してしまうと叩かれる)。実績をつくるのは民間。ターゲティングするのも民間。最終的には行政とタッグを組めれば、貢献できそうな気がしている(パブリックマインドを持っている民間人)。
コミュニティスクールで相談載ってもらえないかと言われたことがあるが、人件費は無償なので持続性がない。せめて学校の施設開放して事業をやらせてほしい(でないと回せない)と伝えたが、学校側はセキュリティを担保する必要があり不特定多数入れない問題があり、断念した。
お互い利用しあう関係じゃないと続かないので、自走出来るだけの仕組みを作って欲しい。
〇(質問)何が石井さんを突き動かす原動力になっているのか?
自分さえ、いい暮らしが出来ればいいという意識を変える必要があるか、に向き合ってきた。よく「地域課題」というが、課題は人にあるのではないか。活きのいい若い人たち出てきた時、どうサポート出来るのかも重要。主体的に動けるようにしないとダメ。
まちづくりのことは他人ごとでは出来ない。覚悟決めた人がいると街は良くなる。川崎市は行政職員でも、そういう人がいる。お前が頑張るんだったら協力するよと言える関係の人がいる。結局は人間のつながり。行政職員は異動してしまうが、立場で仕事をする人とは出来ない。民間をどう引きずり出すかは、実践を始めた人なら見えてくる。
都市経営プロフェッショナルスクールに参加されてハードだったと思うが、鈴木真君とは刺激をしあえている。だからこそ、見えてくるものがあるし、加速度も上がる。
不動産事業の仲介をしている方もいるが、家守舎をつくって保守的な土地の所有者と同じ思いを共有して、サブリースの事業にして頑張っている事業者も出てきている。
行政云々の前に、人としての付き合い。主体的になること、本気になることで関係をつくると出来ることは見えてくる。
今回の視察モデルコースはこちら
溝の口~新城のリノベーションまちづくり(まち歩き)
その他、まち歩きの様子はスライドショーでご覧ください。全て民間主導で軽やかに実現されており、川崎市の勢いを感じます。KAWASAKI LOCAL DOORで有料で視察を受け入れています「こちら」。
https://www.youtube.com/watch?v=rItazh0cXNg&feature=youtu.be
カワサキヤキニク
元々は「ヤキニクに行きたい!」となって実現したカワサキモデルツアーです。Facebookでも盛り上がり、ここのヤキニク目当てに人があつまりつつあります。Facebookで「カワサキヤキニク」とみると「ヤキニクゴリヤク」に見間違えることがあったので、こんな風に楽しんで頂けたらという想いで、メンバーにも乗って頂いて作ってみた即席動画です。ご笑覧ください。
次は流山で
今回、都市経営プロフェッショナルスクールの同期の鈴木真氏には大変お世話になりました。夏は、流山を見て頂くことに。街づくりにご興味のある方、よろしければご一緒下さいませ。