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流山市は自立持続可能性自治体に選ばれましたが、それってほんと?

先日、有識者グループ「人口戦略会議」では国立社会保障・人口問題研究所の推計をもとに20代から30代の女性の数「若年女性人口」の減少率を市区町村ごとに分析、子どもを産む中心世代である20〜39歳の女性人口が2050年に半減し、人口減少に歯止めがかからないと指摘されました。国や自治体の対策が急務だとしています。流山市は自立持続可能性自治体に選ばれましたが、複雑な気持ちです。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA230SG0T20C24A4000000/

理由は木下さんのnoteにも関係しますが、この論点は害悪の方が大きいと思います。孤立・無縁化した社会で子どもを育てるのに、子育て支援の政策は大切な事業ですが、少子化対策(合計特殊出生率を高める)という目標に対して効くものではありません。少子化対策は、個々の自治体では無理です。

〇〇費の無償化し、選ばれる自治体に。消滅可能性都市から復活??

「〇〇費の無償化し、子育て世帯の呼び込みに成功、消滅可能性都市から復活した」という報道を見るたびに、残念な気持ちになります。今の自治体のカテゴリのまま〇〇費の無償化などの政策を競わせることは、自治体間のゼロサムゲームを助長するからです。

行政サービスを維持することが困難になる自治体が、子育て世代の数だけ増やしたところで、まちの活性化につながりますでしょうか。
お金がかかる子育てだけにお金を集めれば他の事業執行が厳しくなります。少子化対策に向き合うなら、こういう政策こそ国策でやるべきです。

流山市も〇〇費無償化の競争に巻き込まれています。
例えば、
・子ども医療費の助成に約11.4億(流山市の負担分:約7.6億
※令和6年度当初予算

(ちなみに、、子どもだけではありません。医療費で言うと、流山市は、後期高齢者医療費助成:約23.6億円に対し19.2億円、後期高齢者医療特別会計にも4.6億円に対し、1.7億円負担しています)

※令和6年度当初予算「こちら

自治体は、地域資源・事情を踏まえて、若者や女性にとっても魅力的な策をひねり出すべき

自治体における女性の数に焦点をあてるのであれば、女性を子どもを産む対象としてしか見ない切り口より、女性の生き方に向き合っている木下さんの論考の方がよいように思います。戦う女性は少ないですから(若者もしかり)、その自治体が嫌になれば、声を荒げることなく静かに去ります。

 自治体は、若者や女性にとって魅力的なまちづくりを行うべきです。
 流山市にも各地方都市から沢山の方が視察にいらっしゃいますが、そこでの課題意識や、ご意見を聞くと「若い人、子育て世代を増やしたい」とおっしゃりながらも、彼らの価値観に向き合っていない姿勢が目にあまります。「本気じゃない」「うわすべり感」が感じられる場面が残念ながら多くございます。木下さんもよくおっしゃていますが、自治体のために若い人や女性がいるのではなく、その自治体が魅力的だから移り住むわけです。
 その街に住む当事者市民(若者、女性)に向き合い、どんな政策が必要か、自分の頭でひねり出す姿勢が必要です。「向き合う」とは、今は見えていない声になっていない潜在的ニーズにも含みます。
 それには、男女共同参画視点をもった市民参画促進や、シビックプライドの醸成をコツコツやることの方が重要です。

流山市の人口獲得戦略はどうだったの?


 流山市は、莫大な人口をもつ都内に住む共働き子育て世代をターゲットに人口誘致するための政策を実施し、人口増を実現しています。
 ターゲットが子育て世代なので未婚率が少なくなるし、共働きになると世帯収入も増えるため、合計特殊出生率の底上げにも貢献しており、つまり、ゼロサムゲームに負けなかっただけとみることもできます。
(もちろん3人以上のお子さんがいるご家庭も多いので、一概には言えませんが)

 流山市は莫大な人口をもつ首都圏で待機児童問題があったがゆえにチャンスがありました
 駅に送れば各保育園に送迎してくれる送迎保育ステーションを設置し、PR「働く親を応援するよ」というメッセージ(ラブレター)を首都圏PR広告で打ち、プロモーションをしました。
 かくいう私も「仕事が続けたいが保育園に入れないかも!」とひやひやしていましたから、流山を選びました。当時流山は働く母親が3割程度でしたが7割までに増加しています。
 しかし現在の保育ステーションの利用は全体の2%程度(以前は10%)まで下がっています、次の手が必要です。

 全地域では適用できないというのは、流山市がDWEKs(担税力のあるパワーカップル)にターゲットをあてられたのは首都圏という結婚前の若い人達が集まる、いわゆるブラックホール自治体が通勤圏にあったから、首都圏に対する差別化戦略を行ったということです。
 しっかり理解しなければいけないとは、例えば視察が多い流山市の送迎保育ステーションは、本来待機児童対策とセットの事業として運営しているので保育園が増えた今では、利用率は全体の2%程度になっており(私が使っていた頃は10%程度あった)、いわゆる保護者にとっての便利サービスとは意味合いが違ってきています。
 何を目的にどのように運用するのかを見定めた上で自治体に適用するようにしないと「それじゃない感」が強くなってしまうということです。
 流山市が自立持続可能性なのかどうかは、今現在の妊娠可能性が高い女性の数が多いというだけです。「それじゃない!」と思う人が増えれば他の自治体に移り住むでしょう。

 重要です。子どもは年齢によって必要な施設が異なり(未就学児は保育園・幼稚園、その後は小学校、中学校など・・)その人口ピークをどう乗り切るのか、ピークが続くわけではありませんから、その後の施設の空きをどう活用していくのか。
 日本は、土地の財産権があるため自治体で人口統制をし難い仕組みの中、日本のマクロ環境、周辺自治体との関係など整理しながらのかじ取りが必要でしょう。

おほめ頂きました^^。

どの自治体でも必要なことは

コツコツ実施する中長期の政策

 戦略は重要です。しかし同時に重要なのはコツコツ実施する中長期の政策です。
 まちづくりというのは寿命の尺では足りないお仕事だといわれます。
私もどんなバトンをもらい、将来にどうつなぐのかを整理していこうと思いますが、子育て支援でいえば、子育てが豊かだと実感できる、みんなで子育てをする地域づくりには、これまでも、これからも貢献していきたいです。

 全ての方の100点にならないのが民主主義です。ありたい姿を掲げた上で、自治体の政治・行政に参画してくださる、批判だけでなく行動してくださる市民と一緒にまちをつくるプロセスを通じて、よりよいものに収斂できるよう、中長期視点の政策も重要です。

市民に向き合い、知恵を掘りおこし、力を活かそうとすること

 流山市は人口誘致政策と同時に、女性の生き方に向き合うこと、市民の知恵と力が活かそうとする政策を地道にコツコツやってきました。
もちろん100点満点では全くなく、お叱りを受けながらトライ&エラーでやっていくことが多いのですが、「課題があるなら、自分たちも、ひと肌脱ぐよ、何かやるよ!」という素敵な市民の方々がたくさんいてくださります。

その営みを行政として丁寧に取材し関わりをつむごうとしてきた事業がございます。個人的にはそういう所こそ自慢したいです。

流山市が自立持続可能性を継続するためには?

 さて、流山市が自立持続可能性を継続するためには、次のステージの戦略を作ることです。
 個人的には、山積する教育課題への対応、コンパクトな都市の中に多様な街の個性をつくる、ウォーカブル、市民の知恵と力を活かす、多様性を活かし進化を遂げる、環境政策を経済政策に、甚大化する災害に対して強いまちづくり、がキーワードをキーワードとしてまとめていきたいと思っています。

引き続き、流山市で今現在、子育てされている当事者と一緒に「本当に子育てしやすい状況は何か?」を考えたり「ママ・パパであってもその人のウェルビーイングを応援するためには」という課題に向き合い、努力することです。

さらに現在は、多様性の時代ですから、今後はむしろ、ママ・パパでなくても!という所に焦点をあてて、政策を考えていくことも重要だと思います。
「あなたと一緒に創る」なら、多様な事業がうまれていくはずです。


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近藤みほ(流山市議会議員)
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