国は、教員の働き方改革に本気で向き合ってほしい~蛇口の栓を閉めようとするアクションを!~
理想を実現するために問題の根本に向き合って
先日、中央教育審議会の「質の高い教師の確保特別部会」にて、教員の時間外勤務手当に関する否定的な意見が相次いだという記事を目にし、残念な気持ちになりました。小学校教員の採用倍率が2を切ろうとしている現状で、まだこんな意見が出されているのかと。
理由は「教員一人一人の時間外勤務が必要かどうか、管理職が毎日毎日、個別具体に見極めることは事実上難しい」「教員の高度専門職としての自律性を損なう」というものでした。
しかし、私の以前の職場であるエンジニアリングや営業の仕事でも、その境界を引くことは同様に難しいです。議員の調査研究の仕事にしても、どこまで深追いしても終わりがありません。
教員は子どもたちのためならどこまでも尽力する人たちです。授業の準備や学校での研究活動においても、どこまでやってもキリはありませんし、それを若手教員が初めから効率よくこなせるとは思えません。管理職は目配り、気配りをしながら、効率化の方針に基づき組織的に管理し、指導する必要があります。一般に、高度な専門スキルは、適切な人材育成と支援体制を備えた組織の現場で育つものです。これは教師に限った話ではありません。別の言い方をすれば、その育成を効果的に行うことができる人が管理職であるべきです。
トラブルは経験の少ない教師のエスカレーションミスで重篤化
実際、流山市で起きたトラブルは、トラブルが発生した際に経験が少ない教師が対応し、適切に上司への報告や情報共有が行われず、エスカレーションの誤りによって問題が深刻化するケースがほとんどです。このため、自然と若手教員の勤務時間が長くなる傾向にあります。
先生が滅私奉公で頑張りすぎる弊害についてはこちらで記述したのでご覧ください。
流山市の教師の残業状況
流山市における教師の残業時間に関しては、令和4年度6月に行われた教職員の出退勤時刻の実態調査によれば、千葉県の小学校教諭の残業時間が44時間5分であるのに対し、流山市では52時間10分、中学校教諭については県平均が55時間39分であるのに対して流山市は61時間5分と報告されています。これは、文部科学省が公立学校の教師の勤務時間の上限として定めるガイドライン(月45時間)を超える状態にあります。
月45時間でも1日あたり2時間越えになります。子育てや介護との両立や授業研究の時間を考えれば、もう少し少なくても良い気すらします。
https://www.pref.chiba.lg.jp/kyouiku/syokuin/press/2022/r4-2jittaichousa.html
これに対し、流山市は働き方改革をけん引し、問題を是正しようとしております。私が提案した内容も入っております。
流山市の独自の取り組み
流山市では、労働時間を削減する取り組みとして、電子黒板の使用とクラウド上に授業教材を保存する仕組みを導入しています。この取り組みにより、全ての小中学校で授業教材を共有できる体制を整え、教員が生徒との主体的で対話的な学習を実践しやすい環境を提供することを目指しています。このようにして、教員が生徒に直接向き合う時間を作り出すことができます。この取り組みは、おおぐろの森小中学校から始められ、最初の3年間で全ての中学校に展開する予定です。ペーパーレス化の推進など、この取り組みは多岐にわたります。もちろん、私もこれを推進していますが、実際には現場の知恵によってさらに改善されています。
先に蛇口閉めよう!教師のウェルビーイングを大切に
先日、ある方から次のような指摘をいただきました。「問題を解決する際に、水道の蛇口が開いたままで水が流れ続けている状態で、床に漏れた水を拭き取るのではなく、まず蛇口を閉めるべきだ」と。
これには、教師の方々が、安心して個々の子どもの向き合うために、ご自身の資質を最大限に活かせる、やりがいのある環境をつくることです。
それには、学校だけでなく、個人としての豊かな経験も必要だと思います。
若い方々はご自身のウェルビーイング(幸福感)を大切にします。小学校教員の採用倍率が2を切っている今、仕事に生きる目的を見出す人が多いからこそ、競争力がないということ、その結果が今です。
ベテラン教師から話を聞くと、長時間労働にならざるを得ず、自分の子育てはパートナーに任せたり、何とか綱渡りをしてきたという話をよく聞きます。教師とは、人としての幅と深さをもって子どもに向かう仕事なんだ、だから全身全霊で対峙されてきたのでしょうし、その姿勢には頭が下がります。
でも、私はご自身の子どもを持ち、育てることの大変さや喜び、豊かさも経験してほしいと考えています。家庭環境や社会のニーズが多様化している今、子どもと向き合う仕事をしているからこそ、ご自身の子育て経験(ジレンマも含めて)が活きてきます。また、祖父母の介護を含め、家族や地域での様々な事柄に対応する時間を大切にできる労働環境も大事です。すぐに答えがでない子どもの成長に対し、壁にぶつかることもあるでしょう。活路を見出すために学べる(心と時間の余裕を持てる)環境を最初から整えるべきだと思います。
働き方改革、どんどん進めます
今期においては、教師のキャリア育成(特に教育委員会におけるキャリアの定義)、コーチングスキルの導入、教師が対応すべき業務と専門部隊に委ねるべき業務の明確な分担、外部人材の活用など、具体的な提案活動を積極的に行っていきます。
特に、教師が対応すべき業務と専門部隊に委ねるべき業務の分担については、私のマニフェストには記載していませんでしたが、現場での深刻ないじめの発生を受け、警察とのより効果的な連携についても調査を進めていきます。