日の差す方へ
こんなに穏やかな棚田コンサートも10年、11回目にして唯一かもしれない。
お天気に恵まれたのは雨の日に棚田で開催した、たった一回を除いて毎回晴れではあったのだが、寒かったり、暑かったり、それにほぼ前日は雨の日がほとんどで、棚田はちょっと湿気ていたり、今日は穏やかだねという日も確かにあったけれど、後半になって寒くなってきたり、風が強かったり、打ち上げ終わる頃に天気が崩れることもしばしばと、まあ色々あった。
前の日から当日片付けてさようならするまでずっとおだやかな天気で、なんともいえない光に満ち溢れていた2日間だった。
それにいつもなら一年に一度で、慣れてきたとはいえ、一年ぶりの緊張のようなものがあったのも、今年に限って二回の開催になり、3週間前にコンサートをしたので、みな余裕があった。
全ては準備万端で、あとは弾くだけであった。
弾く前にひとつ決めていたことがあった。
映像に残るからといって、格好つけない、頑張らない、飛ばしすぎないように最後まで落ち着くこと。
とにかく、見た感じからではなく、音で伝える。それだけおもっていた。
それにはもう一つの理由があるのだが、それはまたいつか話す時があるかもしれないが、今はひみつ。
撮影隊と演奏者で準備を進める朝。
前日から棚田へ続く道を歩いていて、落ち葉のカサカサ鳴る音が楽しくて、棚田の持ち主茂さんにお願いして、道の落ち葉を掃かないようにしてもらった。
棚田の石舞台にいると、ふとした拍子に木からハラハラと落ち葉が舞う。
木は落ち葉を落とす瞬間を決めているようで、一斉に落とすんだね。
風と相談しているのか、風が吹いて落ちているのか、風がなくても落としているし、落ち葉が舞う音は耳に心地よかった。
このくらい秋が進んだ中でのコンサートも初。
いつもは10月半ば。
今回はいつもより3週間遅れての開催。
前回、3週間前のコンサートの時は、毎年の装いとだいたい同じ頃。
(棚田コンサートの続きは明日)
今日はTwitterで悲しい知らせがあった。
多摩川で暮らすおいちゃん達の一人が突然亡くなったという知らせ。
私が会った方なのかどうかは知らない。
もしそうであったらとてつもなく悲しい。
そうでなくとも、死は誰のものでもあるけれど、河川敷の暮らしは、突然それが訪れる確率が非常に高いという現実を改めておもう。
寒くなっていかこれからの季節、我が家では薪ストーブがらそろそろ活躍する。
家の中にはゆめちゃんがいて、あったかく守られた空間があり、仕事があって、生きていく目処がある。
そんな私にとって冬は歓迎する楽しい季節でもあるけれど、同じ空の下、寒さに耐えて暮らす人がいるのが現実。
その亡くなった方が、いまは安らかでありますように。
祈り