
みんな同じじゃない。「最も個人的なことが最もクリエイティブなことだ」
映画『パラサイト』がアカデミー賞を受賞したことがtwitterで流れてきた。みんながリツイートするニュース速報を流し読みしていると、ポン・ジュノ監督が話した言葉が目に留まった。
ポン・ジュノ監督「私が若かりし頃、映画を勉強していた時に深く心に刻まれた言葉がありました。それは“最も個人的なことが最もクリエイティブなことだ”です。これは、私たちの偉大なマーティン・スコセッシの言葉です」
— tacrow (@tacrooow) February 10, 2020
そしてスコセッシ監督への拍手喝采。#パラサイト
pic.twitter.com/9sUQ0M1Zkz
「最も個人的なことが最もクリエイティブなことだ」
"個人的なこと"というには範囲が広いかもしれないが、映画の中で韓国の社会情勢がすごく顕著に表れていたことが印象的だった。あまり詳しくない私は、映画後にレビューサイトや監督のインタビューを読んで、ようやく映画が意味していたこと、一つひとつの言葉や動作にどんな意味があったのかを知った。「誰が見てもわかるように」作られたら、きっとこのストーリーは生まれてこなかったかもしれない。
*
ジブリの鈴木敏夫さんも、「ジブリ映画は日本人向けに特化したからこそ、海外の人に面白がられるようになった」と以前にコメントしていたことがあった。たとえば、千と千尋の神隠しは、キャラクターさまざまな神様が集まるなんてキリスト教徒からしたら全くもって理解できない話。けれどそれが新鮮にうつり、日本のオリジナリティとして認められたからこそ、アカデミー賞の長編アニメ部門にも選ばれたのだろう。
「みんなに刺さるように」は、結局みんなに刺さらない。みんなが経験していることは、ありきたりに変わってしまう。自分が感じたこと、自分が経験したことこそが、オリジナリティを生み出す源になる。
*
ちなみにパラサイトの個人的な感想は、グロいシーンや悪い意味でハラハラしてしまうシーン、ぶつけどころのない悲しさが随所にちりばめられていて、手放しで絶賛できない映画でした。ただ、見終わったあとも映画の場面の意味を考えてしまうし、監督のインタビュー記事やレビュー記事を片っ端から見てしまう、賞味期限の長い作品でもあった。
アカデミー賞受賞、おめでとうございます。
気になる言葉、魅力的な言葉を集める共同マガジン「コトバツムギ」を始めました。共同運営者は以前ライティングスクールで一緒に学んだスミヨ。さん。月~土までのうち、私は月・水・金を担当しています。
去年の毎日note
いいなと思ったら応援しよう!
