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飾り窓の見学ツアー禁止について考える
ふと飛び込んできたCNNのニュースに、少し気持ちがざわついた。
アムステルダムの売春地区は行ったことが無いけれど、ベルギーを旅行した時に飾り窓のある場所へ連れて行ってもらったことがある。女性の友人を訪ねた時に、車を出してくれた友人のいとこが、はるばる日本から来た私のために、珍しいものを見せようと考えてくれたのだろう。「オランダみたいな場所がある」と教えてくれたのだ。
「観光目的で来ると怒られるから、ゆっくり通り過ぎる程度にするね」と、目的地までの道のりでみんなに声をかける。車の中には4人。友人2人(女性)と私、そして友人のいとこの彼だ。
「女の人がショーケースのマネキンみたいに飾り窓に座っている」。そんな話を聞いたのもこの時が最初。大学4年生の冬だった。前方からきらびやかな明かりが見えてきて、車のスピードが少しずつ下がる。窓の外を見ると、飾り窓が3~4つ。ぽつんと椅子だけが置いてある窓もあれば、女の人が携帯をいじったり、踊ったりしている場所もあった。
遠くから見たその景色に、どんなことを考えたのかはあまり記憶がない。けれどショーケースの向こうにいる女の人の一人が私たちを見て怒りはじめ、すぐさまカーテンを閉じてしまったことはしっかり覚えている。「買う気が無いなら帰れ」と言わんばかりの勢いだった。
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アムステルダムに売春地区があることは、その時に教えてもらった。「ここもそうだけど、写真を撮るのは絶対だめだよ」と念を押す彼。"観光"で来ることにはやっぱり少し違和感があったのかもしれない。
見学ツアーが組まれていることはCNNのニュースを見るまで知らなかったので、今回中止の発表よりも、ツアーとして立派な観光資源となっていたことに驚いた。私が見た女性がアムステルダムに行ったら、どんな反応をするのだろう。女性たちはみんな、観光客に見られてどんな気持ちだったのだろう。
気になって調べてみたら、あんちゃさんのブログにたどり着き、見学ツアーが中止になってよかったのかもしれないと思った。
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その国特有のものは立派な観光資源だ。けれど、それによって傷つく人や、嫌がる人が出る場合には、それは本当に観光資源として良いものなのかと考えた。
うまい例かわからないけど、日本では原爆ドームが、悲しい過去を持つ代わりに広島の観光スポットになっている。実際に被害者となった人たちは、原爆ドームを見るたびに当時の気持ちを思い出したり、もう触れてほしくない過去を掘り返されたりしていることもあるかもしれない。けれど、もう2度と戦争を生まないために、観光地の一つとしてみんなに公開することで、今後の未来に残せることがあるはず。そのためにも多くの人に見てもらい、戦争の辛さを学んでもらえたらと思う。
オランダの飾り窓は、どんな意図で観光地化されていたのだろうか。レッドライトミュージアムだけでも良かったような、それとも、未だ過去の話じゃない、現在も残っている課題として見るべきものだったのか。
観光メディアを運営して、地域の魅力を見つけて発信しているからこそ他人事にせず考えておきたいテーマ。その対象はどうして魅力なのか、どんなメッセージを伝えるのか、きちんと考えて発信していきたい。
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