コミュニケーションは問題の坩堝(るつぼ)
こんにちは。リンクアンドモチベーション中村です。
現在私は、「全社システム刷新プロジェクト」でマーケ&インサイドセールス領域のシステム移管を担当しています。プロジェクトを推進していく中で痛感しているのは「コミュニケーションは問題の坩堝(るつぼ)である」ということです。今回は、本プロジェクトにおいて開発ベンダーとのコミュニケーションミスから発生した問題の振り返りと学びを「コミュニケーション編その1」としてお届けします。(※プロジェクト詳細についてはまたの機会に)
エビデンスなき「できる」は夢物語に終わる
<背景>
本プロジェクトでは現在利用中のSalesforce社のPardot(現:AccountEngagement)を新しい環境に再構築します。Pardotには「アセット」と呼ばれるマーケティング活動に利用するランディングページやフォーム等の作成物があります。アセットの中には500個近く作成されているものもあったため、再設定の工数確保が課題でした。そこで、開発ベンダーより現環境に設定しているアセットを新環境に機械的に自動移行する方法(アセットコピーフロー)をご提案いただき、実行することになりました。ご提案いただいた時は「一気に移行ができる!」「ばんざーい!」と関係者全員が大喜びでした。ところが、いざ移行を始めると以下のような問題が起こってしまったのです。
<起こった問題と結果>
■問題
・機械的移行が「できる」とされていたアセットの大半が実際には「できない」と判明
・機械的移行を進める中で、複数回にわたって「できない」アセットが増加
■結果
・ほぼ手動対応を余儀なくされ、2回にわたる派遣スタッフの採用と社内リソースの集約を実施
・プロジェクト予算の消費と他の社内プロジェクトの中止が発生
<原因となったコミュニケーションミス>
今回起こった問題をプロジェクトを進める上でのコミュニケーションポイント=「目的」「対象」「方法」「基準」「納期」で振りかえってみました。それにより、上記問題の発生原因の1つとして、開発ベンダーと当社の間のコミュニケーションミスにあったことがわかりました。(※納期は対象外)
①「目的」「対象」・「基準」の確認不足(何を・どの程度)
そもそも、機械的移行(アセットコピーフロー)のご提案を頂いた時点での「できる」は開発ベンダーからすると「できそうな方法がある」というやわらかい状態でした。しかし、私たちは「アセットをそのまま自動で移管できる」と捉えており、移管可能な対象アセットの確認にとどまっていました。そのため、アセット内でも機械的移行が可能な部分とそうでない部分があることがのちに発覚することになりました。
本来は
目的:手動移行工数削減という目的に見合っているか
対象:どのアセットのどの部分が移行可能か
基準:どの程度の設定まで機械的に移行可能か
を明確にする必要があったのです。
②「方法」の確認不足(どのように)
開発ベンダーは機械的移行(アセットコピーフロー)の開発をしながらできない部分を洗い出していくという方法で進めていました。しかし、私たちは「できる」という前提であったため、全アセットの移行検証の具体的な実施方法を確認していませんでした。そのため、検証環境と実際の構築環境の条件が異なっており、実際の構築環境では機械的移行の一部が動きませんでした。また、開発を進めながらできない部分を洗い出していくという方法であったため、進める度に「できない」ことが追加されるという状態を作り出してしまいました。
ここでも
方法:どのような手段・ステップで、どのような環境で実現可能なのか
といった具体的条件を洗い出し、現環境での再現可能性を確認する必要がありました。
<学び>
今回の件で得た学びは「必ずエビデンスを確認する」ということです。特に新しい技術や、リファレンスが少ない方法を実行する場合はより具体的なエビデンスを取ることが重要です。
その際には前述したコミュニケーションポイント=「目的」「対象」「方法」「基準」「納期」を観点として用いながら具体化し、双方間の認識をすり合わせていくことをお勧めします。
今回の学びを活かし、描いた計画が夢物語にならないよう、質の高いコミュニケーションに努めていきます。続きは「その2」で!
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