"パリコレモデル"という言葉は日本だけ
よく"パリコレモデル"という肩書きを目にしますよね。
でもこの言葉、日本人だけが言っているようです。
いつも聞くたびに、パリコレモデルってなんだろう?と思います。
パリで開催されているコレクションを歩いたことがあるモデル?
パリの公式ファッションウィークのランウェイを歩いたことがあるモデル?
ランウェイに限らず、パリでモデルとして仕事をしたことがあるモデル?
パリで事務所に所属しているモデル?
その定義を私は知りません。
いつもパリやミラノで、公式ファッションウィークのハイブランドを歩いているモデルの友人にも聞きました。
彼女は、「とてもじゃないけど私がパリのファッションウィークのオフィシャルモデルだなんて言えない。
いつも歩ける保証なんてないし、ブランド専属モデルでもない。
パリコレモデルという言葉はフランスには存在しないよ。」と言います。
毎シーズン何かしら公式ランウェイを歩いている彼女ですらそう言っているのですから、
公式のショーを歩いたことのない私が「パリコレモデルです」とは口が裂けても言えません。
でも日本に帰国すると、私に対して肩書きとしてそう使ってくださる方もいらっしゃいます。
でも私は「そうです、私はパリコレモデルです」とは言えないです。
それに、公式ショーやトップメゾンを歩くモデルだけがモデルではないのです。
モデルには色々な種類の仕事があります。
公式ランウェイだけではないし、写真に残らない仕事もあるのです。
インスタに写真があがっていなくても、その裏では仕事をしていたりもするのです。
"パリコレモデル" の言葉から想像されるような、有名なブランドでのランウェイを歩く仕事をしている人たちだけではないのです。
みんなオーディションをし、仕事を勝ち取り、働いて、お金をもらって生活をしています。
モデルとして"パリコレモデル"になること、だけが「モデルである」ということではないのです。
公式ランウェイでなくても、有名ブランドでなくても、一つ一つのお仕事が貴重で大切なものです。
お仕事をいただき働き生きているという事に誇りを持って良いのだと思います。
何か肩書きがないとその仕事を誇れないというのは、とても悲しいことです。
もちろん公式ランウェイを歩きたい、このブランドを歩きたいという夢や目標はあります。
でもその過程で、自分を大きく見せすぎたり、逆に小さく見積もったりしなくて良いのだと思います。
私はみなさんの思い描くような"パリコレモデル"ではないけれど、プロのモデルとして生きています。
自分のできる限りを尽くして仕事に誠実に向き合い、クライアントさんの満足のいくものを共に創り、一つ一つのご縁を大切に働けていることに誇りと喜びを感じています。