再発を伝えられたAさん
今日は乳がんで治療中の50代のAさんが
以前、治療をした場所と同じ場所に
再発腫瘍が見つかったとして
主治医から説明を受けた後に
治療室に来られました。
診察室のスタッフより
主治医からの説明の後は
明らかに動揺されていたのでフォローを
お願いしたいと連絡が入りました。
治療が終わり、帰ろうとするAさんに
私は特別な声かけはせず、
そっと寄り添いながらただただ肩をさすりました。
「聞いてくださったんですか?また同じところに再発したみたいです。マーカーは落ち着いてるので安心してたんですけど…。いつかは、そうなってしまうのは頭でわかっていても涙が出て出てきてしまいます…。」
と涙を流されながら今の辛い思いを表出されました。
「娘2人にはまだ癌のことは話せてないんです。
癌が見つかった時は受験生だったりしたので
心配かけたくなかったので…。でも、今回は流石にね…。今までの治療はホルモン治療とそんなような事を話していたんですけど、もう薄々感じているとは思うんです。ですが、話すことで迷惑かけてしまうんじゃないかとか,娘たちのことを思うとタイミングが難しくて…。」
Aさんと初めて会ったのは
私が以前、放射線科の看護師として
勤務していた時でした。
中心静脈に留置するためのポート挿入の際に
担当したことがありました。
その時のAさんは
これから始まる抗がん剤治療に対する
不安を強く感じておられました。
Aさんの表情は固く、不安が強過ぎて
腕に痺れが出たり,不眠になったりと
身体面に様々な症状が出現していました。
処置の間、側により添いながら処置が終わるまで
不安の傾聴をさせてもらったという記憶が
残っていました。
そのようなこともあり、現在に至るまで
Aさんの抗がん剤治療中には
美味しいランチのお店の話や
たわいもない雑談などしながら
普段より不安が強い
Aさんが安心して治療を受けてもらえるような
関わりをしていました。
「家族に心配かけたくないお気持ちはよくわかります。私も子供たちに負担がかかるのではないかと感じてしまうかもしれません。ですが、Aさんが娘さんたちの立場だとしたら、どうして欲しいと思いますか?」
と質問してみると…
「そうですね。私だったらなんでもっと早く教えてくれなかったの?と言ってしまうかもしれません。色々とサポートしたいと思うから。」
と答えたので、
「もしかしたら娘さんたちも
そう思っていらっしゃるかもしれないし、
話してくれるタイミングを待ってるかも
しれませんね。
最初は思いのぶつかり合いになるかもしれないが何度も話すことで伝わっていくのではないかと
思います。」
と続けてお伝えしました。
「そうですね、タイミングを見て少しずつ伝えていけたらと思います。どうしても娘たちのことを思うと動けない自分がいたんですが、娘の立場から考えたりしてみたことはなかったので…。
弱虫なんでまた泣いてしまうかもしれませんが
これからもよろしくお願いします。」
と話されました。
最後に
1番はAさんがどうありたいかというところ。
主治医の先生、私たち看護スタッフ皆んなで
一緒に考えていくので、困ったことがあれば
どんな事でも伝えて欲しい。
とお伝えしてAさんと別れました。
治療を開始して5年目の再発ということは
あと5年生きられるかというと
非常に厳しいところであります。
Aさんの精神的苦痛の軽減を図ると同時に
ご主人やお母様にサポートしていただきながら
ACP(もしもの時の話し合い🟰人生会議)
の機会を作っていく必要があると考え、
今後もAさんがAさんらしく過ごせるような
療養支援に繋げていけるように看護支援を
させていただこうと思った時間でした。