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【まちのよろず屋への道】地域おこし協力隊1年目の記録

新潟県の海沿いに位置する人口約3900人の小さな町 出雲崎町。
2023年12月に私がここの地域おこし協力隊に着任してから、早くも1年2か月が経とうとしています。
出雲崎町6人目の地域おこし協力隊として活動した1年間を振り返ります。


地域おこし協力隊としてのミッション

私の地域おこし協力隊としてのミッションは「まちのよろず屋になる」
町の人口減少・高齢化に伴い、行政職員数が減って攻めの業務に手を付けられなかったり、地域でできないことが増えてきたりします。そんな「できたらいいけど、なかなかできない」ことに、行政・地域と連携しながら取り組む仕組みづくりをし、出雲崎がこれからも持続できる状態を目指すのが最終的なゴールです。
すぐに目に見える結果にはつながらないことも多い「なくても何とかなるけど、あったらいい」。そんな小さな「あったらいいな」を少しずつ実現していきます。

1年目の取り組み

ふるさと納税

1年目はふるさと納税と子育て家族向けの情報発信をメインに行いました。
ふるさと納税では、寄附受付業務(書類準備・発送等)などの事務作業から、納税サイトの返礼品更新、事業者との連絡等、日々の細かい仕事を行いました。加えて、6月からは寄附者全員にメッセージの手書きを始めたほか、お礼状のデザイン変更、特集記事の作成などを行い、単なる寄附額増加だけではなく、ふるさと納税を通して出雲崎ファンをつくる取り組みを試しました。

返礼品撮影に同行して
時には撮影のモデルしたり
ふるさと納税サイトに公開する特集記事を書いたり


チラシ作ってみたり



寄附者へのメッセージ書きは最初30人でもヒーヒー言っていたのに、最後のほうはなんと100人の方へお書きするほど、たくさんの方にご寄附をいただきました。中にはメッセージに対してお返事をくださる方もおり、手が腱鞘炎になるかと思うほど書き続けた意味があったのかな、と思うところです。
結果的に、今年度出雲崎町は12月時点で過去最高の寄附額・寄附件数となりました。

しかし、1回寄附額が増えたから終わりではないのがふるさと納税。

出雲崎町は「100年後も元気に続いているまち」を実現するため、「出雲崎町に誇りを持ち、挑戦できる環境をみんなでつくる」ことを目標にふるさと納税に取り組んでいます。町職員だけでなく、町民全員でこの目標に向かって取り組めるよう、事業者説明会・懇談会も開催してきました。
今後は、より効率的に無理なく取り組める仕組みづくりを模索していきます。

大量の書類を封詰め・発送しました

情報発信

子育て家族向けの情報発信では「子どもと出雲崎」というInstagramを設立し、子育て世代が欲しい情報を切り口に町内施設やイベントを投稿してきました。「子育て応援宣言のまち」として、町の支援だけでなく、町内全体に「子ども連れに優しい」雰囲気が広まってほしい、情報があることで、出雲崎を目的地の選択肢にしてほしい、という思いで行っています。
 さらには、そこから移住につながれば嬉しいです。

@kodomo_izumozaki

また、町のFacebookへの投稿も始めました。3年ほど更新が滞っていたため、許可を得て月に3~4回ほど投稿をしています。

その他

■新津邸での活動
2024年6月~11月、週2回「新津邸」という町所有の古民家で活動をしました。基本的には私の仕事場。そのついでに開放するので、お気軽にお立ち寄りください、というスタンス。
お客さんを呼ぶための施設ではなかったので、お茶を出すとか特別なサービスはしていませんでしたが、ご近所の方が「お客さん来た?」と訪ねてくださる他(別にお客さん来ないなら来ないでいいんだけど、やっぱり皆さんそこが気になるらしい…)、新聞を見て訪れてくださった方、通りかかって看板を見て来てくださった方等、ふらっと寄ってくださる方も思いのほかいらっしゃいました。
本当はもっとあの場を使って「地域おこし協力隊」とか「まちのよろず屋」の活動について発信したかったのですが、様々な事情が重なり、無理をしてまで本来の目的ではない施設管理に時間と労力を割かなくても良いかな…と定期開放は11月で終了としました。
短い期間でしたが、「役場外に拠点を持つ」という実験がでました。
(こうやって、短期間のものでも実験を繰り返していけるのも地域おこし協力隊ならではかなと)

新津邸


■紙風船とクリスマスの撮影会
お隣の長岡市地域おこし協力隊の方とのコラボで、「紙風船とクリスマスの撮影会」を開催しました。
きっかけは、ふるさと納税で紙風船の注文が少ないこと。
実は、紙風船って出雲崎町が全国シェア100%と言われている伝統工芸品なんです。でも、都心の店舗では人気なのに、ふるさと納税ではあまり出ない…。かわいいデザインもたくさんあるので、「もっと紙風船の可能性を知ってもらいたい」。そこから、「バースデーフォトで風船を使っているのだから、紙風船でもフォトブースが作れるのでは?」と考えたのが始まりです。
そこから、フォトグラファーとしても活躍されている長岡市地域おこし協力隊の方に相談し、企画が動き始めました。
時期的にクリスマスをテーマとし、期間中にはプロカメラマンによるワンコイン撮影会も企画。
さらに、「冬の出雲崎の周遊観光促進」のために町内観光施設にクーポンプレゼントのご協力をいただきました。

地域おこし協力隊として初めて行った企画イベント。
ふるさと納税ピーク時にこの期間一人でやるのはなかなかにハードでしたが、町内外の方にお越しいただき、「ここ行ってみようか」「この紙風船かわいい」「とても素敵。また企画してください」などのお声をいただきました。少しは目的が達成でき、今後につながる企画になったのではないかと思います。


ぶっつけ本番、頑張りました
チェキプレゼントをしたんですが、チェキが意外と良い


■U・Iターンフェア
東京で開催された新潟県のU・Iターンフェアにも参加しました。
急遽参加することになり、初めての2人だったため準備不足な部分もたくさんありましたが、もともと移住関係には興味があったので良い経験になりました。
特に今回のテーマが新潟での暮らしをイメージする「イマジン新潟」ということで、私が初めて出雲崎を訪れた時の「ドラマや映画にある”夏”が存在するまち」を最大限伝えられるように取り組んでみました。
この「ドラマや映画にある”夏”が存在するまち」という出雲崎町の印象は、今後もキーワードになってくると改めて感じます。

手作り感満載の出雲崎ブース


■ふるさとCM
昨年度は地域おこし協力隊が企画・製作し審査員特別賞を受賞した「新潟ふるさとCM大賞」。
今年は特に撮影も編集も出演もしていませんが、ちょろっとだけ企画などに関わらせていただきました。
結果は…悔いの残るものに。何より、動き出しが遅かった…。
でも、今回様子が分かったので、来年こんな感じのやりたいなという構想が生まれました!
学生時代、映像編集やっていた身としてはやっぱり任期中に1回でいいから企画・編集等にがっつり関わりたいものです。


心残りなこと


1年目に取り組んだ内容的に役場庁舎で仕事をすることも多く、「地域おこし協力隊」としてより「役場の人」と見られてしまいがちなのが悔しいところです。
1度、Instagramの投稿で、「役場の人に発信してもらうのは申し訳ないから投稿を削除してほしい」とコメントをいただいたことがあります。私が投稿したアカウントは「地域おこし協力隊 きたたにみほ」個人のアカウントで、決して出雲崎町地域おこし協力隊の公式アカウントでは無いし、もちろん町のアカウントでもありません。投稿内容を事前に町に確認することもありません。それなのに、町職員の投稿ととらえられてしまったのが個人的にはとても悔しかったのです。
私は決して役場の仕事をするためだけに地域おこし協力隊になったのではなく、むしろ「役場ができない仕事を役場と住民の間で行いたい」と考えています。そのため「役場の北谷」よりは「地域おこし協力隊の北谷」と認識してもらえると嬉しいのです。

これからについて

私事ですが、この度第2子出産のためのお休みをいただくこととなりました。図らずとも、1年目の区切りとなるお休みです。
(ここだけの話、実は、新津邸開放を辞めた一番の理由はこれです。私は妊娠中、匂いが気になるタイプで古民家独特の匂いが受け入れられませんでした…。その中で毎回掃除をして、夏は暑く・冬寒い場所を開けるのは、なかなかに大変だったのです)

「まちのよろず屋になる」というゴールのために、復帰後の2年目は新たに空き家・移住関係をメインに取り組む予定です。

(1年目はふるさと納税がメインでしたが、ふるさと納税をやるための人ではないので!このまま3年間終えるつもりはありません。)

移住定住サイト「GOOD LIFE IZUMOZAKI」の空き家バンクの情報・物件を充実させる他、移住希望者の相談や現地案内を行い、出雲崎での暮らしがイメージできるサービスを行いたいです。
もう一つ挑戦したいのが、フィルムコミッション(映画やCM等の撮影誘致・サポート等を行う)。私が出雲崎町に抱いた第一印象が「映画やドラマにある夏が存在するまち」でしたので、出雲崎のそういった可能性をもっと活かしていきたいです。

映画やドラマにある”夏”が存在するまち

さらにもう一つ、長期的に取り組んでいきたいのが「地域おこし協力隊のサポート」。行政職としての地域おこし協力隊事務の経験も活かし、出雲崎町を中心とした地域おこし協力隊のサポートを行っていきたいです。
「産育休を取得し、母として働く地域おこし協力隊」という立場からも発信していきたいなと思っています。


「あなたは何をやる人なの?」

これまでの出雲崎町地域おこし協力隊の皆さんは「本」「農業」「動画」など、自分の得意なことを活動にいかされている方が多くいました。
それに対して、わたしは幅広くいろいろなことに取り組む、というスタンスだったため、「活動の軸が分からない」と言われることが多々。しかし、あえていろいろなことに取り組むからこそ、うまれるつながりがある。

それが「まちのよろず屋」です。
 
今後も、ゴールは見失わず、いろいろな方法、方向から実験していきたいと思います。それができるのが「地域おこし協力隊」だと思うので。


2年目突入の日に撮った写真


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