癌を告知されて 〜家族にどう伝えよう〜
母の誕生日に、勇気を出して綴った癌の体験第一弾
たくさんの人に読んでいただきコメントいただき、心から感謝しています。
質問もたくさんいただきました。
少しずつ文章の中でお返事していけたらと思います。
今回は、癌を告知された後にそのニュースを家族に伝える作業と葛藤、みえてきた自分の進むべき道などについて書いてみたいと思います。
最初に伝えた人=夫
癌であるという事実を知って、私がそれを一番初めに伝えたのは夫でした。
そもそも、夫にしかこんな大変(かもしれない)状況になっていることを知らせていませんでした。
基本、大変なこと(特にネガティブなこと)を一人で抱えがちだった私は、夫と出会って、どんなことでも分かち合う喜びを教えてもらいました。そんな状況になってから癌になったのも幸運だったと思います。
と同時に、癌や重い病の患者さんを支えるご家族の方々は、本当に本当に大変だと思います。
そして、そんな事実を伝えるのもとてもとても苦しい作業だと今回学びました。
仕事中だった夫に、まず病院からLINEで癌だったことを伝えました。
結果がわかることになっていた今日、良いニュースを伝えたかったのに、決して良いとは言えないニュースになってしまったことがすごくすごく残念だったけど、帰ったら元気な顔をみせたいと思いながらメッセージを送りました。
彼が、妻である私の「癌」をどう受け止めてどう思ったかはもちろん彼にしかわかりません。
ただ、なんとなく思うのは、彼と私は似たところがあり、自分のことなら強くいられるけれど、自分の身近な人や大切な人に起こることには、自分のこと以上に心配したり辛くなったり、やるせなさを感じたり… とてもとても苦しませてしまったのではないかということ。
瑞人、ごめんね
それでも彼は、弱さや辛さを一才見せず、私が私らしくこの状況と向き合えるようあらゆる面から全力で寄り添ってくれました。
そして、私のことをよくわかってくれている夫は、私を「病人」としてではなく、いつもいつも変わらず「美穂」として向き合い続けてくれました。
これが、私が自分らしく病との向き合い方をデザインできた最も大きな要因だったと思います。もういつ思い出しても感謝の涙が溢れます。
夫は、脳ヲタクで科学をバックグラウンドにもつ人なのですが、同時にまだ科学で説明のつかないことに対してもとてもオープンで、様々な分野の叡智をつなぎ合わせて新しいものを創ることが得意なイノベーターだと私は思っています。多くの人にとってなかなか理解し難い考え方やあり方をすることが多い破天荒な私のこともよく理解してくれて、それを脳的だけでなく彼ならではの解釈とアドバイスを加え、愛と優しさたっぷりに説明して勇気付けてくれるということをやり続けてくれました。
そのおかげで、私は、自分の直感と夫と様々な叡智を味方につけたような強い気持ちで、多くの時間を過ごすことができたのだと思います。
癌がわかった夜、お互い似たところもある死生観についても話し合い「ああ、大丈夫だな。何がどうなっても大丈夫。私は私でいて大丈夫。」そんな安心感が心に広がったのを覚えています。
瑞人、ありがとう
夫以外の家族にも伝えなくちゃ
このニュースを伝えるのは、もう夫だけで終わりにしたい…
これが私の正直な気持ちでした。
私は、good newsを人に伝えるのは大好きだけど、bad newsを伝えるのは最も苦手なんだと、知ってはいたけれど身をもって学びました。ましてや、自分が癌だなんていうニュースを、私を大事にしてくれている人たちに伝えることは、考えただけで目眩のする作業でした。
新潟の実家にいる家族、夫の両親、私の大事な人たちになんて伝えよう。。。
とわけのわからないお祈りをしてみましたが、そうもいかないことはわかっていました。
私がその事実をどんなにポジティブに受け止めていようとネガティブに受け止めていようと、癌である事実は変わらず、それが両親や家族にとってどれだけショックな事実か….
悲しませるんだろうなあ
心配させるんだろうなあ
残念がるだろうなあ
癌の告知をうけたときより落ち込む私がいました。
とはいえ、仕方ない
深呼吸をいっぱいしているうちに覚悟が決まってきました。
もうありのままの事実を話すしかない
どう受け取るかはもう任せるしかない
ただ、私は私らしく、良いことに繋げられるようにしよう
それがのちに私を大事にしてくれる人への恩返しになるはずだから
そう思って、またLINEでメッセージを送りました。
前向きに捉えているメッセージも、どこまで響くかわからないけどちゃんとつけて。
その当時はちょうどコロナが流行り始めた頃で、不要不急の外出はしないようにということがあらゆるところで言われていました。
私にはこれがとてもありがたかったことだったのかもしれません。
当時の私には、そのニュースを知って心配したり悲しんだりする家族の顔を見る勇気はとてもとてもありませんでした。
意を決してメッセージを送った後は、また切り替えて私らしくこの状況に向き合うことにしました。
お父さん、お母さん、お姉ちゃん、みっちー、お義父さん、お義母さん、本当に心配かけました。大変、大変、お世話になりました。
そう、私は私でいる!
色んな思いはあったけれど、やっぱり今できること、良いことに繋げられることにできるだけフォーカスしたいとあらためて思いました。
ましてや私は、幸運なことにスーパーヒーローのような夫がそばにいてくれて、それがやりやすい環境にいるんだからと。
自分のためにも愛する家族のためにも、さらに自分らしくい続けよう!と何度も自分に言い聞かせ、私は、約1ヶ月後に決まった手術に向けての準備を始めました。
主治医の先生によると、私の場合は初期の癌なので、手術だけですむ可能性も高いと話してくださいました。もちろん手術の後に、摘出した癌をきちんと調べて次の治療を考えるので絶対ではないけれど、と。
そして、手術のあとはだいたい5日くらい入院すれば退院できるとのことだったので、合計約1週間仕事をしなくていいよう手配し、娘を家族にお願いできるよう準備をしました。(協力してくれた夫と義父母の協力に本当に感謝しています。)
また、
自分の病気のことをちゃんと理解して、最善の策をとらなくちゃ!
そう思い、色々調べ始めました。
受験勉強をする学生のごとく、がんや乳がんについて猛勉強しようとしました。
。。。。。
が、
数日経過して気づいたこと
私にはむいてない!!!!!
驚愕の事実でした。
命に関わる自分の病気についてのリサーチが自分に向いていないなんて!
私の場合、病気について調べれば調べるほど、負のエネルギーが高まり、恐怖心や心配が大きくなりました。いや、これは私の場合だけではなく多くの人にとってはそうなのかもしれませんが。
ですが、それってつまり「このことを良いことに繋げたい!」とあんなに誓った自分の気持ちと真逆の方向に向かって行っているということなのです。
そして、調べれば調べるほど、私という人間がどんどん病人になって行っている気がしました。
自分が自分でなくなる感じです。
自分をまるごと病に明け渡す、そんな感覚さえもちました。
これじゃあいけない!!!!!
それなので、病気や治療のことは主治医やセカンドオピニオンをくださるプロの方にご意見をきいた上で、家族と直感と相談して最後は決めることとし
もとへ!
私のエネルギーの多くは「良いことに繋げる」活動に向ける!
そのマインドに戻り、それは(私の場合)自分の病気について深く知ることではないと学びました。
そこからは、癌を「病」としても もちろん真面目に捉えて向き合うものの、同時に
それ以外の向き合い方を必死に探し始めました。
癌を「素敵なこと」として捉えるための言葉探し
さまざまな本を読んだりリサーチしたりして、
癌を「病」以外の「何か感謝できるもの」「ワクワク取り組める何かに繋がるもの」として捉えているものをさがしまくりました。
それが「良いことに繋がる」だろうし、自分に合っていると思ったからです。
そうしているうちに
ついに、出会いました!!!!!
というような言葉たちに出会えたのです!!!(感涙)
これだ!
もちろん、癌を病としても受け止め、治療はちゃんとする
と同時に、可能性の扉として、変革を引き起こす道を歩き、さらなる自己発見の旅に出る!
そう決めました。
高まる日常への感謝
そして、これまたいろんな本を読み漁ったり、日々を今まで以上に丁寧に暮らそうとしている中で、日常への感謝、家族への感謝、愛がどんどん高まりました。
当時、まだ1歳の娘の愛しさ
結婚2年目にして、こんな大変なことに一緒に取り組んでくれる夫の優しさ
いろーんなことがさらに輝きを増して私の中に入ってきました。
大切に過ごしたい
心から思いました。
ちょうどその頃は、夫が脳の本を初めて出版することになっていたので、大好きなケーキ屋さん、上糖舶来さんに連絡をしてサプライズケーキをつくってもらうことにしました。
自分が癌になって来週手術なんです、なんて一言も話しませんでしたが、いつも親身のプロパティシエ、小島和美さんが色々話を聞いてつくってくださったケーキとクッキー♡
素敵だったなあ
美味しかったなあ
今でもはっきり覚えています✨
本当にありがとうございました!
せっかくの嬉しい時期に、大変なニュースが重なってごめんね、瑞人
でも、私からしたら本当に本当に嬉しいニュースと重なって、そっちに心を向けられたこともすごく嬉しかったんだあ
脳、心、とどんなふうに付き合っていけるかのヒントが溢れた本
BRAIN DRIVEN
私の心もものすごく救ってくれた本でした✨
そうこうしているうちに手術の日が刻一刻と近づいてきて、
私が考え始めたのは
1歳の娘にどう伝えるか
ということでした。
手術をしたら胸に傷がついて、お風呂に一緒に入ったらきっと気がつく
その前にちゃんと説明しておこう!
1歳だろうが0歳だろうが、子どもは、本気で伝えたことはしっかり受け取ってくれる
これは私が子どもたちと20年以上向き合ってきて常に教えてもらってきたことです。
私は、娘に何をどう伝えたいんだろう
どんな捉え方や生き方を娘に伝えたいんだろう
それをじっくり考えました。
みなさんならどんなふうに伝えますか?
続きは、次回のnoteで共有させてください。