「成功」という選択、「失敗」という選択
世の中は自粛、自粛、ジシュク、じしゅくのオンパレード。業務上、週に何度か外に出ることが「許されている」ので、私は仕事ですという顔をしながら変わりゆく街を眺める。
本来ならば、日の暖かさを感じ新しい年度の始まりに心がそわそわする時期である。(と思ったらすでに湿気を皮膚に感じるが、、、)多くの人が街に繰り出し、楽しそうに嬉しそうに闊歩する姿をたくさん目にするはずだった。
ある友人が人生の門出を迎えたと報告があり、久しぶりに集まってちょっとしたパーティーを開こうと企てていた。オンラインにすり替わってしまったのは残念だが、「離婚記念パーティー」は大いに盛り上がった。
誰もが羨む彼女
彼女を一言で言うと「頭がキレる我が道を行く」タイプである。顔は博多弁を喋る北川景子という感じだろうか。色々な男性がよってくるものの仕事が恋人だと言い切る姿は同性ながら惚れたものだ。
そんな彼女が「私のことを特別扱いしない」所に惚れた素敵な男性と出会い、安いケーキでも美味しそうに食べるからと言う理由で結婚する。
結婚をする前に彼女達は婚前契約書を作成し、色々と決め事をしたようだ。その一つ「子供を持たない」は彼女が一番希望していたことだ。
可愛いと思えないのは罪なのか
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「子供を持たない」と決めた理由にはこんなエピソードがある。社会人になって2年目の頃、彼女の大学時代の友人Aが結婚し赤ちゃんが誕生した。サークル仲間でお祝いを兼ねて家を訪問したが、その間、彼女は違和感をずっと感じていたらしい。それはAの赤ちゃんを見ても「可愛いい」と言う感情が一切、湧いて来なかったからだ。
他の友人達は皆口々に「可愛い」と言う言葉を発したが、彼女が発しようとすればするほど口から出なかった。気を使って「可愛い」と言う言葉を発すれば発するほど、罪悪感に苛まれたと言う。
彼女はその時のことを振り返り、私はちゃんとした人間になれなかったと嘆いた。真っ当には生きられないと。よく覚えていないけれど、私は「法を侵さない限り、色々な考え方や生き方があっていいと思う」と述べたと思う。
悪ガキっこのような二人だけの秘密を共有したかのようで、とても嬉しかったことを覚えている。
幸せな別れ
彼女はこの秘密を結婚前に大好きだった人へ打ちあけ、二人なりに話し合いを重ねた。お互い「納得」した上で結婚したはずだった。が、人の考え方や価値観は時と共に少しずつ変化していくものだ。数年のうちに「特別扱いしない」旦那様が子供を持ちたいと願うようになった。
二人は丁寧に何度も何度も話し合いを重ねたが、別れる方がお互いの幸せになるということで今回の運びとなった。
何を選んでも間違いなどはない
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彼女の職場や友人達の間では、彼女達は円満離婚をしたと言われている。かなりの違和感を感じる。わざわざ円満という言葉を使うのもおかしな話だ。
結婚し続ければ幸せで、離婚してしまったら不幸せという構図はないはずだ。当事者の決定は他人によって「成功」と「失敗」の烙印を押されることは決してない。ただ、残念ながら、この21世紀になった今でも社会の「偏り」は続いている。
彼女が幸せになる道を自身で選んだのだから、私は彼女にとって一番の応援者でありたい。そして願わくば、どんな選択をしても普通に喜び合える未来に近づきますように。