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稽留流産の手術日のこと

稽留流産、手術は無事に終わった。

手術は日帰りで、外来の午前と午後診察の間で
行われた。

「もうすぐ手術なので、診察室前に来てください」と部屋の電話が鳴った。

診察室前で待ちながら、妊婦さんを眺める。

数ヶ月したら、わたしも同じようにお腹大きく
なってたのになと。

どうか、皆さんは母子ともに無事に過ごして欲しいと願った。

処置室に呼ばれ、いよいよかと緊張する。
処置台がとても冷たくて、今の自分を表している
ようですごく悲しかった。

先生が「これから始めるけど、いいですか?頑張ろうね」となんとも言えない表情をしていた。
悲しんでくれているのか。
でも、すごく寄り添ってくれているのが感じ
取れたのが救いだった。

産婦人科医って大変だな。
そうか、麻酔薬はセルシンを使うのか。
一瞬でもお腹に来てくれて、小さな心臓の鼓動を
見せてくれてありがとう。
そんなことを思いながら、麻酔がよく効くからと
深呼吸してからは記憶なく手術が終わっていた。

処置台からベッドへ移り、看護師さんの会話を聞きながらストレッチャーで移動。麻酔が効いており、ぐるんぐるん目が回って。眠たい。
病室のベッドに戻り、ぐっすり眠った。

だんだん息がしっかり出来るようになって、自分の呼吸音で目が覚めた。
と同時に目から涙が溢れた。
ああ、何もなくなっちゃたんだ。

流産もショックだったが、思った以上に流産手術は精神的ダメージがあった。

退院まではひたすら何も考えず寝た。
寝れなかったけど。

術後の診察で、問題なく退院の許可が出た。
「今日は本当辛かったね。頑張りましたね」と
先生から言葉をいただいた。

悲しいが、ずっとあった下腹部の違和感が取れ
なんだかスッキリしていた。
下腹部の違和感なのかつわりなのか食欲もなかったが、それも解消された。

夫と娘が迎えに来てくれ、病院の近くの庭園へ
寄った。
ちょうど鈴虫の放虫祭がやっていて、娘も鈴虫の
籠をゲット。

まだ麻酔が残っているのか、若干ふらふら。

前日から何も飲食しておらず、お腹が空いていた。
吐き気が出るから、術後は遅めが良いと看護師からは言われていた。
そのため売店で自家製梅ジュースを買った。
ほどよい酸味が喉を潤し、すごく美味しかった。

娘はかき氷を食べていた。
妹か弟、できなくて残念だったな。
でもこんな辛いときは、本当に家族が居てよかったなと娘と夫のやり取りを眺め考えていた。

放虫祭では、娘が選んだ場所で鈴虫を虫籠から
放した。
赤ちゃんの旅立ちを思い浮かべながら
しばらく見守った。

ひとまず、手術が無事に終わってホッとして
帰路に着いた。





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