【実測】ミニ四駆で学ぶモーターの回転数
ミニ四駆を題材に、モーターについてわかりやすく解説します。
本記事ではモーターの回転数について解説します。
モーターの回転数は、トルクと比較してイメージしやすいと思います。ただ同じ電圧であれば回転速度が速いほど消費エネルギーが減っている事はご存じでしょうか?
今回はモーターの回転数と消費エネルギーの関係について学んでいきます。
▶ マッハダッシュモーターの回転数
タミヤ公式HPのスペック値
上記の回転数はいったいどんな状態の回転数なのでしょうか?基本スペックだけでは読み取ることはできません。
そこで実際に測定した結果と比較します。
(測定方法は後半で解説します)
スペック値と実測値の比較
上段は前項の基本スペック値で、下段が実測値です。
回転数は実測値の方が高いですが、電流は実測値の方が低くなっています。
▶ 回転数と電流の関係を図示してみる
回転数と電流の関係を図で整理してみます。
図の見方
[横軸] は負荷トルクです。そもそもトルクがわからない、という方はこちらも参考にしてみて下さい。
[縦軸左] は電流です。青い点が電流を表しており、図左側の数値を参照します。例えば電流5[A]の時のトルクは26[gf・cm]と読み取れます。
[縦軸右] は回転数です。赤い点が回転数を表しており、図右側の数値を参照します。例えば回転数が24,500[rpm]の時は3.5[A]、トルク18[gf・cm]と読み取れます。
図を読み解く
回転数(赤線)に注目してください。
左上が負荷が無いから回しの状態
(負荷トルクが低い)
右下がモーターの軸を完全に固定した状態
(負荷トルクが高い)
となります。
基本スペックの回転数
図で示したスペック(水色)の部分に、頭の中で縦線を引いてみて下さい。
回転数 24,500[rpm]の時、
負荷トルク18[gf・cm]、
消費電流3.5[A]
と読み取れます。
この数値は基本スペックの高い方の値と一致しています。
ただ低い方の値
回転数 20,000[rpm]の時、
負荷トルク13[gf・cm]、
消費電流2.6[A]
を図に当てはめてみても、一致しません。
こうなる理由は後述します。
▶ 回転数と電流の相関関係
負荷トルクが上がると、回転数が落ちて電流が増えています。
これはモーターの回転数が高い場合、負荷トルクが低い=電流が少ない、つまり消費電力が低くなっている事を表しています。
■ 注意点 ■
これらの考え方は、電圧が一定であることが条件です。電圧が低くなると回転数が下がるのはイメージしやすいですが、負荷が増えて回転数が下がる事とは違う現象です。
基本スペックの低い方の値が図に当てはまらなかったのは、図が3.0[V]の時を表しているからです。
▶ モーター回転数の測定方法
ここからは少し話題を変えて、モーターの回転数を測定する方法について解説します。
一般的には
最近はスマートフォンのアプリを使う場合が多いようです。
▽ Android
▽ iPhone
今回はアプリを使った計測は行っていませんが、単に回転数を測定するだけなら上記アプリで十分かと思われます。
光学式センサーで回転数を測定する
以下のような測定環境を作り、モーターの回転数を直接測定しました。
モーターの回転数を光学式センサーで測定しています。
▽ 光学式センサー
将来的にモーター特性測定の自動化を行いたいので、MCUやPCとの接続を考慮し光学式センサーを利用しました。
また回転数と電流の相関を確認するため、電流も一緒に測定しています。電流測定方法についてはこちら。
それぞれオシロスコープで測定しています。
測定結果
上段が電流、下段が回転数です。
モーターの1回転が、パルス1山分です。パルスの周期から回転数を読み取ることが出来ます。
余談ですが、下段のパルス1山ごとに、上段の電流波形では6山の脈流が発生しています。この数はモーターのコギングが1回転で6回発生している事と結びついています。
▶ まとめ
回転数は負荷トルクが高いほど低くなる【ここが一番のポイント!】
回転数が高い方が、電流(=消費エネルギー)が少ない
これらの現象は電圧が一定である事が前提
▶ 最後に
今回はマッハダッシュモーターの回転数を実測し、電流や負荷トルクとの関係性を解説してみました。
ミニ四駆という身近な題材を通じて、モーターについて楽しく学べる記事を目指しています。
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