ミニ四駆で学ぶモーターの効率
ミニ四駆を題材に、モーターについてわかりやすく解説します。
本記事ではモーターの"効率"とは何かを学んでいきます。
例えば照明を蛍光灯からLEDに変えると、電気代が安くなる
という話を耳にした事があるかと思います。
これは蛍光灯よりLEDの方が、電力を光に変換する効率が高いためです。
ミニ四駆で使われるモーターも、同じように電力を回転に変換する効率 という指標があります。効率が高い使い方をすると、発熱が減ったり、走行距離を延ばすことも出来ます。
今回はモーターの効率について学んでいきます。
▶ モーターの効率とは?
モーターの効率とは、
・モーターに入力されるエネルギー量と
・モーターが出力するエネルギー量
の比率を表しています。
入力から出力で目減りしたエネルギーを損失といいます。
今回は
・効率の読み取り方
・効率と損失の関係
・タミヤの"推奨負荷"と効率
について学んでいきます。
▶ マッハダッシュモーターの効率
最初に説明したように、効率とは出力と入力の比率です。
この関係性は以下の式で表されます。
これまでの記事で、
マッハダッシュモーターのトルクと電流、
回転数の関係を実測してきました。
これらの実測データから入出力エネルギーを算出しました。
この入出力エネルギーの数値から効率を計算した結果が、
以下のグラフです。
最大トルクの約20%付近で、効率が最も高くなりました。
マッハダッシュモーターの最大効率は50%でした。
では "効率が低い状態 = 悪い状態" と言えるでしょうか?
▶ 効率と損失の関係
グラフ左側の水色部分が、最も効率が高い"おいしい"エリアです。
このエリアを境目に、左側と右側で効率が下がっていきます。
ここで左側を"気にしない"エリア、
右側を"やばい"エリア と勝手に命名しました。
それぞれのエリアについて、どのような状態か読み取っていきます。
- "気にしない"エリア -
ここは効率も低いので一見損失も多そうですが、
そもそも入力エネルギーが少ないため
損失の量も少なくなっています。
このエリアはミニ四駆が最高速度に到達し、
これ以上加速出来ないエリアです。
なぜ最高速度に達すると入力エネルギーが減るかというと、
電流が減ったからです。
最高速度に達した=負荷トルクが減った(加速が終わった)
状態ですので、電流が減っているのです。
- "おいしい"エリア -
モーターの出力が50%以上に達しており、
電気エネルギーを回転エネルギーに
一番変換出来ている領域です。
そのためモーター出力が50%と高いですが、
発熱量は12%と低い、
というのが"おいしい"の由来です。
ミニ四駆では最高速度に達しても、
・車体の負荷 (軸受け/ギヤ/グリスの抵抗等)
・走行負荷 (コースの傾斜/ローラーの摩擦等)
によって、負荷トルクが若干発生しています。
この負荷トルクを出来るだけ少なくし、
"おいしい"エリアで出来るだけ長い時間走行する事が、
電気エネルギーを無駄なく利用するコツです。
- "やばい"エリア -
やばいと言っても、"おいしい"エリア寄りの
負荷トルクが50%程度のエリアはあまり心配ありません。
最もやばいのは負荷トルクが100%に近いエリアで、
ここはモーターがほとんど回転しておらず、
ほとんどのエネルギーが損失(=発熱)になっている状態です。
このエリアはミニ四駆の走行状態で言うと
・タイヤの回転を手で止めている か
・上り坂で止まりそう
な状態です。
ミニ四駆の説明書に
"回転しているタイヤを無理に止めないでください"
と書いてあるのは、モーターにとって一番やばい状態だからです。
▶ タミヤの"推奨トルク"とは何なのか
ここで少し視点を変えて、タミヤの推奨トルクについて考えてみます。
上記の"推奨負荷トルク"とは、
いったいどんな状態の負荷なのでしょうか。
効率のグラフに当てはめて考えてみます。
負荷トルク1.8[mN・m](18[gf・cm])の場所は
効率が高い"おいしい"エリアとなっています。
つまり推奨負荷トルクとは、最も効率が良い使い方
という事になります。
この負荷トルク1.8[mN・m]から上に縦線を引くと、
電流と交差する点が3.5[A]、
回転数と交差する点が24,500[rpm]と
基本スペックの値と一致します。
つまり基本スペック値はすべて最高効率時の値
という事だったのです!
※ みはらぼの推定です。タミヤ様へ確認は取っていません。
▶ まとめ
効率とは入力エネルギーと出力エネルギーの比率【ここが一番のポイント!】
出力の割に損失が少ないのが、効率が高い"おいしいエリア"
推奨負荷トルクとは、最も効率が良い使い方
▶ 最後に
今回はマッハダッシュモーターの効率を算出し、モーターの"おいしい"使い方について解説してみました。
ミニ四駆という身近な題材を通じて、モーターについて楽しく学べる記事を目指しています。
”役に立った!”
”XXについて知りたい!”
など、皆さんが知りたい事を教えて下さい。
コメントお待ちしております!
▽「ミニ四駆で学ぶ」シリーズ
◎ "ミニ四駆"は株式会社タミヤの商標登録です
◎ モーターの画像は、株式会社タミヤのホームページより引用しています
◎ SlidesCarnivalによるプレゼンテーションテンプレートを利用しています