ミニ四駆で学ぶモーターの発熱
ミニ四駆を題材に、モーターについてわかりやすく解説します。
電池をつなぐとモーターが回転しますが、
モーターが発熱するのはなぜでしょうか?
またその発熱のエネルギー源は何でしょうか?
モーターの発熱を理解するためには、モーターのエネルギーについて知っておく必要があります。
今回はモーターのエネルギーと発熱を学んでいきます。
▶ モーターのエネルギーとは?
モーターのエネルギーには、
電気エネルギー:
モーターに入力されるエネルギー
回転エネルギー:
モーターが出力するエネルギー
損失:
回転動作に関係無いエネルギー
(発熱など)
があります。
これらのエネルギーは、ミニ四駆の走行状態とどのように結びつくのでしょうか?
次は各エネルギーの特性について、それぞれ掘り下げていきます。
▶ モーターが出力するエネルギー
モーターが出力するエネルギーは、ミニ四駆を前進させる力として使われます。
ミニ四駆を前進させる力(回転エネルギー)は、以下の式で表されます。
この式は
モーターの回転数が高いほど、
またトルクが高いほど
回転エネルギーが高い
という事を示しています。
トルクと回転数のグラフから、出力を計算すると以下のグラフとなります。
以前の記事で学んだように、モーターの回転数はトルクが高いほど低くなります。この二つを掛け算すると、
最高回転数では トルクが0なので出力0
最大トルクでは 回転数が0なので出力0
となり、最も出力が高いのは回転数/トルクがちょうど半分になる所となります。
▶ モーターに入力されるエネルギー
ミニ四駆でモーターに入力されるエネルギーは、電池から発生する電気エネルギーです。
電池からのモーターに入力されるエネルギーは、以下の式で表されます。
この式は
電池の電圧が高いほど、
また電流が多い(負荷トルクが高い)ほど
電気エネルギーが高くなる
という事を示しています。
トルクと電流のグラフから、入力を計算すると以下のグラフとなります。
電圧は3[V]で一定であると仮定しています。
(電流を多く流すと電圧が下がりますが、それは電池の性能の話なのでモーターの性能とは切り離して考えます)
入力(電気エネルギー)は電流の3倍で比例する事になります。
つまり負荷トルクが大きいほど、入力エネルギーは増えています。
▶ モーターの損失と発熱
モーターに入力された電気エネルギーが回転エネルギーに変化するとき、
ブラシの摩擦やコイルの電気抵抗といった、
回転動作に関係無い無駄なエネルギーが発生します。
これを損失と呼びます。
損失は、以下の式で表されます。
入力と出力のグラフから、損失を計算すると以下のグラフとなります。
このように発生してしまった無駄なエネルギーは、
どこかに消えることは無くほぼすべて熱に変わります。
これがモーターの発熱の正体です。
マッハダッシュモーターの場合、最大損失は41Wとなりました。
これはLED電球1個分と同じくらいです。
▶ 損失の原因と対策
モーターの損失は中々難しい理屈となりますので、ここでは導入部分だけ触れます。
- 損失の原因 -
銅損: コイルの電気抵抗など
鉄損: 磁気エネルギーのロスなど
機械損: 軸受けやブラシの摩擦など
興味がある方は上記のキーワードで調べてみて下さい。
- 損失の対策 -
ならし運転:
ブラシ部分の電気抵抗を低減する
モーター放熱:
コイルの電気抵抗が上昇を抑制
軸受け部の注油:
軸受け部の摩擦低減
いずれもミニ四駆では基本となるチューンアップかもしれませんが、
エネルギーの損失を減らすという観点で見ると、新たな発見があるかと思います。
▶ まとめ
電気、回転、損失がモーターの3大エネルギー【ここが一番のポイント!】
回転動作に関係無い無駄なエネルギーが損失
損失は負荷トルクが増えると指数関数的に増える
▶ 最後に
今回はマッハダッシュモーターのトルク/回転数実測値から損失を算出し、モーターの発熱について解説してみました。
ミニ四駆という身近な題材を通じて、モーターについて楽しく学べる記事を目指しています。
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”XXについて知りたい!”
など、皆さんが知りたい事を教えて下さい。
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▽「ミニ四駆で学ぶ」シリーズ
◎ "ミニ四駆"は株式会社タミヤの商標登録です
◎ モーターの画像は、株式会社タミヤのホームページより引用しています
◎ SlidesCarnivalによるプレゼンテーションテンプレートを利用しています