ツォク供養に適した、日時
昨晩はグル・リンポチェの御縁日でしたので、午後8時からツォク供養を執り行ないました。直前にも関わらずご賛同いただいた方には御礼申し上げます。
昨晩は一切智者ジグメリンパ(1729-1798)の埋蔵経法「ロンチェン・ニンティク」の正行であり、外・内・秘密のうち「内なる本師瑜伽」とされる「本師 持明者集会」を厳修しました。
※関連する過去記事:「クンキェン・ジグメリンパの、涅槃日」
「持明者集会」はまさに古訳ニンマの至宝であり、各寺院で決まって執り行われる、正統派の儀軌になります。
儀軌は少し複雑で、長い。ムドラーや曼荼羅の観想が少し大変・・・ということで普段、自坊ではもっと短いのを修するのですが(それでも1時間以上)、昨晩は活仏・高僧と一緒に参加することができたため儀軌の進行もスムーズで、パワフルなツォク供養になりました。
また皆さまから預かった浄財を、皆さまのお名前(連名)で寺院に寄進することもできました。
チベット仏教の偉大な学匠、ロチェン・ダルマシュリー(1654-1717)はこう記しておられます:
これらの日は、護法尊やダーキニーと強力なコンタクトを取るのに特に適している日とされます。
ツォク供養は、法脈(師匠と伝授)に関する問題が生じたときや僧伽・法友間のトラブルが起こった時、三根本の境地に留まって浄化するものです。と同時に、私たちが福徳を積み、私たち自身のエネルギーを強化することができます。
といっても、それ以外の日にツォク供養できないのかといえば、そんなことはありません。いつ何時でもツォク供養ができれば、それに越したことはありません。
そこで密教の修行者は、日々の食事においてすらもツォク供養を適用します。食前に観想の力と真言により食事を浄化・加持し、口にすることで、シンプルなツォク供養に変容することもできます。
数年前の初夏のある日、実父が他界しました。それをチベットの師に申し上げましたら、師は一言「今から、ツォク供養をしましょう」とおっしゃりました。
それから驚くべきスピードで、供物の準備が始まりました。師は祭壇に捧げるトルマ(供物)を一つ一つ、手でこねて作り始めました。そのとき師へ献納したお金をすべて私に戻して、「これで供物をありったけ買ってきなさい」とおっしゃりました。私は夏の道を汗だくになりながら走って、供物を買いに行きました。
そうして1時間後には、見事にツォク供養を始めることができたのです。
たまたま居合わせたお弟子さん含め3人だけの、こじんまりとしたツォク供養が始まりましたが、それは素晴らしいものでした。病で苦しんで逝った父を安らがせ、満たしてくれたことをハッキリと感じましたし、残された私もどれだけ安堵したかわかりません。
あのときと同じ儀軌のツォク供養を、今でも私は執り行ないます。これを選ぶのは、グル・リンポチェとその法脈に対する安心感であり、あのときツォク供養を執り行なってくださった師への感謝でもあります。
9月20日(月・祝)は秋の彼岸入りです。
チベット暦では十五日で満月にあたりますので、夜にツォク供養を予定しています。
またこの日は阿弥陀如来/無量寿如来の御縁日にあたりますので、ご先祖様や祖霊への追善供養と、生きている私たちの長寿や無病息災を祈念いたします。近づきましたら改めてここ(note)にお知らせいたします。