創作怪談「恋愛リアリティショー」
皆さんは、恋愛リアリティショーという番組形態をご存知だろうか。
若い男女数名をカメラで追い、そこで発生する恋の模様を映す、といったものだ。
そこでの告白をキッカケとして、交際、結婚に至るカップルもいる。
これはそんな、甘酸っぱくも青春真っ只中の、恐怖とは全く縁の無いような世界の中で起こった話である。
その日、メルカリにて募集された俳優達は6人。
男子はタツヤ①、タツヤ②、タロウボウ。
女子はハルコ、ナツヒコ、フユミ。
面倒くさいので、
男子を番号1.2.3 女子を4.5.6と呼ぶ事にする。
今回の舞台は、週に一回だけ船が来る、無人島。
ここでのサバイバル生活の中で、6人は恋を育む事となる。
最初は6人とも、よそよそしいながら、挨拶や
簡単な世間話から徐々に距離を詰めて行く。
そんな中で2番が、"あ、アレを見ろ!"と空を指さした。
バァン!!
突然の銃声。
6が膝から崩れ落ちる。
一瞬の静寂。
だがすぐに、4.5が悲鳴をあげる。
1.3は音のした方を見る。
2が、銃を手に持っていた。
...オレな、人を殺した事があるんだ。
今回、こんな無人島に手頃な人数で来られた。
さぁ、恋愛リアリティショー改め、
快楽殺人リアリティショーの、...ハジマリだ。
すぐに銃声が、13回ほど鳴り響いた。
空を飛ぶウミネコ達が海へと落ちていった。
そうして、2はカメラマンに言った。
おい、お前。シッカリ撮っておけよ。
言う通りにしておけば、お前は最後までは生かしてやる。
そう言う2を見ながら、
撮影スタッフと1.3.4.5が後ずさる。
2は後ろを振り返る。
...クマがいた。
グルル、とうめいたかと思えば、
一瞬にして2の首元目掛けて手を振り下ろす。
ポキャッと音がしたかと思うと、2は5mほど
吹っ飛んで、息絶えてしまった。
これはもはや、恋愛リアリティショーでも、
快楽殺人リアリティショーですら無い。
サバイバルリアリティショーと化してしまった。
やがて数時間後、カメラは空に飛ぶような突飛な動きを
見せた後、地面に落ちてジッと1箇所を写した。
そしてそこには血まみれのカメラマンを口でくわえて
引きずって行くクマの後ろ姿が映っていた。