Twilight Venus

夕焼け染まる 帰り道
君を後ろに乗せ 漕ぎだす自転車
君の家まで 三十分
ゆっくり流れゆく 時間(とき)と景色

いつも君は 後ろから楽しげに
僕に話しかけ そして
僕の返事を待たずに 次の話題へ
いつも同じ 繰り返してきた

君の前で 僕はいつも
素っ気ない素振り 繰り返して
だけど本当は ドキドキしてた
過ぎ去ってゆく時間(とき)

太陽は 海の彼方へ吸い込まれ
周りは 赤から紫に
もうすぐ 君の家だね
自然に落ちる 自転車のスピード

明るく瞬く 金星が
外すことが 出来ずにいる
僕の仮面を 照らし出す
過ぎ去ってきた時間(とき)

(君はいつも僕に話しかけてくれたね)
(とても優しくとても楽しげに)
(僕は君の声を聴いてるだけで幸せなんだ)
(君の事が愛おしくてたまらないけどこの関係を壊したくなかったんだ・・・)

時間(とき)は過ぎゆき 風の便りに
君が結婚したと 聞こえてきた
あの時 僕がもっと素直だったなら
違う未来が あったのだろうか

あれから何十年過ぎたのだろう
今でも夕焼けと共に思い出す
お互いに想っていたはずなのに
どちらからも言い出せないまま


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