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ストーリーの力を感じる旅

ベトナムと日本の連休が重なるゴールデンウィーク中、社員の結婚式に参加するため、京都・大阪一人旅に行ってきました。一人の時間、(ほぼ)初めての土地、久々の日本文化に触れる機会、とあって、この旅行期間中を通じて「感じる」ことのもたらすパワーの力強さ、そして、その「感じる」という感覚が芽生えるのは、常にそこに「ストーリー」がある時である、という大切な自分の中での気づきを得る旅となりました。


多様性がもたらす活気に驚く四条河原町散歩

人で賑わう新京極商店街

京都では四条河原町沿いのホテルに滞在していたこともあり、暇さえあれば、近辺のすこぶる栄えている商店街をぶらぶらしました。何筋にも交差する大規模なアーケード街は、伝統とモダンの両方を体現する店が立ち並び、国籍も年代も混ぜこぜの多様性が感じられる場所でした。

既にこの時点で、「なんだこの活気に満ち満ちたLivelyな感じは!」と、私の中のワクワクが止まりませんでした。と同時に、「これは外国人観光客が訪れる気持ちがわかる!」とインバウンド需要の高まりは一過性なはずがないとも妙に確信しました。


「京都ゆにくろ」に学ぶメッセージ性と企業姿勢

地元企業を紹介する京都ライフジャーナル展示@京都ゆにくろ

さて、そんな、四条河原町近辺の散歩コースの中で、私の滞留時間が最も長かったお店が「京都ゆにくろ」です。ユニクロは言わずと知れた超グローバル企業ですが、店舗の丁寧なローカライズに言葉を失うほどの感動がありました。京都ゆにくろで目を引いたのは、店舗の至るところにメッセージ性がうめこまれており(丁寧に見ると、商品群1つ1つにもメッセージ性がある)、中でも京都に根差したメッセージアウトをしたり、「京都ライフジャーナル」という地元の企業をフィーチャーした展示をしたりして、京都の街とユニクロの「Life Wear」というコンセプトの重なる部分を来店者に語り掛けるメッセージアウトをしていたのでした。

単に商品を売っているのではなく、想いを届けている、そう感じさせました。それを、ユニクロほどグローバルに展開していながら、各店舗の土地柄にあわせてローカライズしている丁寧さに脱帽です。しかも、物販の店と思いきや、商品をローカライズしているだけでなく、店舗が打ち出すメッセージまでローカライズしている

そういえば、私が住むホーチミンのユニクロ店舗も地元のブランドとタイアップしたり、地元色のあるデザインTシャツを販売したりと、ローカルの面白味を取り入れた展開をしたり、店舗デザインに地元の建築家をアサインしたりとローカライズの取り組みがなされていることを思い出しました。京都だけでやっているのではなく、グローバルにローカライズの取り組みをしているのだと思うと、更にその丁寧な企業姿勢に感動しました。

京都ライフジャーナルの展示をはじめとしたメッセージ性の高い京都ゆにくろ店内で、1つ1つ京都ゆにくろが打ち出すメッセージを読み込んでいたら、さながら美術館巡りのように時があっという間に過ぎてしまいました。

でも、本当にその企業姿勢が大きな学びを私にもたらしてくれました。1つ1つの商品や店舗というユーザー接点で、自分たちの思いを的確な言葉にのせてメッセージアウトしていくことの大事さ、そして、そのメッセージを体現した商品づくり、店舗づくり、企業努力を重ねると同時に、想いを語るだけではなく、実際に形にしていく企業姿勢の大事さを痛感したのでした。


ストーリーのある街、ストーリーのある企業

祇園の入り口

今回、メインで訪れた京都は、言わずと知れた日本の古都であり、当然、街の至る所に観光名所があり、街並みや景観、ちょっとした建造物や橋や川など、どこをとっても、古き良き日本が感じられる趣深い街です。歴史のある街には文化が宿り、だからこそ、訪れる者を虜にする魅力が宿るのだと思います。

そういえば、これまで世界各国色々と旅行に行っり、住んだりしたことがありますが、また行きたいと思わせる魅力的な街は、大概、歴史的な街です。パリ、バルセロナ、サンセバスチャン、マラケシュ、ダカール、モンバサ・・・。歴史の浅い場所や歴史的なものが温存されていない新しい都市計画で作りかえられた場所は、なぜか、あまり心に残らない。

おそらくこの違いは、「ストーリーの有無」なのだろうと思います。歴史や文化が宿る街に私が感じているのは、その歴史や文化が紡ぎだしたストーリーを感じているのだと思います。ストーリーがなくても「頭で考える」ことはできますが、ストーリーがないと「心で感じる」ことはできないし、記憶に残らない。人がまた行きたいと自然と思うような魅力は、頭ではなく心で感じることだからこそ、ストーリーが必要なのだと思いました。

この学びは、そのまま企業経営にも当てはまるとも思いました。企業経営においても、人を突き動かす原動力のコアな部分には、ストーリーが必要だと妙に腹落ちしたのです。頭で考えればやるべきこと、やった方がいいことは沢山あるし、どれもおそらく正解だろう。でも、それを実際やるためには、それをやるという行動に人を突き動かすストーリーが必要。この学びは、ちょうど、この旅行期間中に見たPivotの動画の中で映画監督の紀里谷和明さんが言っていた「この国がとるべき戦略は五万と議論されているが、やらない。それは、この国にはストーリーがないから。」という言論と重なって、すとんときたのでした。企業としての私たちが実現したいストーリーの解像度をあげることがとても大事だと思いました。

Pivotの紀里谷監督の回はこちら
https://www.youtube.com/watch?v=js9Ma8IE9Sw


結婚式で新郎新婦のストーリーに触れる

見事な日本庭園を誇る平安神宮での披露宴

今回の帰国の一番の目的であった社員の結婚式でも、ストーリーの力を感じました。

新郎新婦ともに自分が直接マネジメントをしていた事業部門出身で、そもそもとても身近な存在の二人ですが、結婚式で上映される二人の生い立ちやお付き合いの沿革、今後目指したいと考えている家庭像といった動画を見たり、二人のご両親とした会話・そのご両親の人となりを感じるにつけ、二人のオンだけじゃなくオフの側面、今だけじゃなく過去と未来展望の側面、というように、立体的なストーリーとなって見えてきたのでした。

ストーリーがより立体的になったり、解像度があがったりすると、そのもたらすパワーも比例してあがるのを感じます。日頃活躍してくれている社員の実像をもう一歩踏み込んで理解したり感じたりすることで、企業と社員の思いをより的確に重ねていきたいと思いましたし、そのためにはどうしていくのがいいだろうとより深く考えるきっかけにもなりました。


映画Winnyで生き様というストーリーを感じる

Winnyは生き様映画。めちゃおすすめ。

そして、京都滞在最終日に映画Winnyを見に行きました。本当は大阪に移動してから見たかったのですが、大阪では上映しておらず、京都で唯一この時期にWinnyを上映していた出町座という見るからにこだわり派の座席も4列しかない映画館に足を運びました。

Winnyは、金子勇さんという天才プログラマーの不当逮捕から無罪を勝ち取るまでの7年間の道のりを再現した実話です。

起きたこと自体の事の顛末がどうのこうのではなく、それに対峙した金子さん、弁護士さん、サイドストーリーとして出てくる愛媛県警の巡査部長さん、そして、この映画の製作に関わった監督さん、俳優さんなどなど、から様々な立場で本件に関わっている方々の「これからの社会を良くしよう」という思いが生き様というストーリーとなって伝わってきました。その生き様は多くの場合、その人の職業や仕事を通じた役割を果たす中で、それぞれ異なる立場から体現しているのでした。


自分の紡ぎたいストーリーは何か

さて、自分は自分の仕事を通じてどんなストーリーを紡ぎたいのか。この旅をきっかけに、このことをより解像度を上げて考えるべき時がきたと感じています。


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