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ひとり社長の育児/リアルな仕事復帰

息子、無事に1歳を迎えました。

夫作の1歳のお誕生日ケーキ。

23年4月に第一子(息子)を出産した新米の母です。気が付いたら息子は1歳になり「赤ちゃん」から「幼児」になりつつあります。私は、フリーランスから法人化した直後に妊娠、出産前日まで仕事をし、産後2ヶ月ごろに仕事復帰をしました。経済活動しつつ育児をして家事を回すのは、冗談抜きに大変です。(子は全力で可愛いです。)
自分の特性的に、育児に耐性なさそうだったので割と念入りに産後の体力回復と育児の体制を準備しました。それなりにリスクヘッジをしていたことで、産後は思ったよりも楽しく育児と仕事ができています。

今回は、「どんな準備をしたのか」「効果のあった施策、効果のなかった施策」「やってみて気がついたこと」などをざっくりまとめました。似たような環境下で仕事と育児をしている方の参考になれば嬉しいです。


妊娠中にやっておいてよかったこと

個人的に妊娠中にやっておいて本当によかったことは、

  1.  出産育児に関する各種制度や助成制度を調べ尽くしてTodoにしておいたこと

  2. 出産育児予算を割と細かく算出しておいたこと

  3. 産後の仕事復帰のための体制づくりを固めておいたこと

この3つになります。(特に各種制度や助成制度はそこそこ大きな額になるので抜け漏れなく全て対応)3つともそこそこ面倒くさいですが、経済的な負担がどのくらいの金額になるのか、それをどんな方法でカバーできるのか、サポート体制をどうするのかが見えたことで、納得のいく育児体制がつくれたと感じてます。どこまでは、自分でコントロールできてどこからはコントロールできないのかが明確になったのも良かったです。

仕事復帰のリアル

仕事復帰は、ベビーシッターさんと実母のサポートもいれながら、結果として1年間在宅保育をしました。個人的には、産後(出産から3ヶ月間)よりも仕事復帰した後の方がはるかに大変でした。産後1ヶ月は業務をとめて産後2ヶ月目から徐々に仕事を再開。早期に仕事再開を予定していたので、とにかく息子の生活リズムを安定させるようにしていました。はじめから完全ミルクで進めたこともあり、食事睡眠のリズムも予測しながら仕事をしていました。産後3ヶ月目以降は以下のスケジュールで業務を再開しました。※業務は全てリモート対応


仕事復帰後のスケジュール(当時)
【AM4:00~6:00くらい】睡眠または仕事
どうしても終わらない仕事があった場合はここで子供が起きるまで仕事

【AM6:00〜9:00】家事や仕事
6時前後で子供が起床、食事や家事をして子供を見つつ9:00くらいから仕事開始。当時は息子も朝寝をしてくれていたので、シッターさんや実母が来るまでにある程度仕事をする時間がとれた。

【AM10:00〜PM13:00またはPM16:00】ミーティング
シッターさんには10:00~13:00に来てもらっていたのでこの時間帯にミーティングをいれていました。実母がくる日は16:00くらいまで仕事をしていました。シッターさんも実母も予定が合わない時は息子を見ながら仕事をしていたものの生後3ヶ月を超えてくると動いたり意思もでてきてかなり難しくなりました。

【13:00または16:00〜19:00】育児の時間
息子と散歩など。仕事はスマホでできるものを中心に、子供の昼寝にあわせて残っている仕事を進めました。17時以降は息子の食事、お風呂、寝かしつけ。生活リズムがしっかりついていたので子供は19:00には寝てくれて夜泣きもほとんどなくとても助かりました。

【19:00〜20:00】
夕食、家事全般
【20:00~23:00】
作業系の仕事
【23:00~24:00】
お風呂はいって就寝
睡眠が削れると色々支障が出るのでなるべく日付け変わる前に寝るようにしました。それでも息子の成長段階で一時的にリズムがくるったり、業務が重なったりで月に数回は深夜2時ごろまで仕事する日も。

※なお、平日だけでは業務量をカバーできないためこのパターンを土日関係なくずっと続けました。子供が成長するにしたがって昼寝の時間も変わるし、たまに夜泣きがあったり、平日はほぼワンオペだったので、色々疲れすぎてそれなりにしんどいタイミングもありました。

在宅保育で仕事は成立するのか

在宅保育で仕事は成立したものの、何かひとつのバランスが崩れるとリカバリーが難しいなというのが個人的な感想です。

先ほどのスケジュールでなんとか1年間在宅保育をしましたが、息子の体調不良とシッターさんや実母がこれない日が重なったりすると、仕事を調整しつつ睡眠時間削って仕事と育児をしなければいけなかったり、土日を完全にオフにできないことなどは割ときつかったです。

保育園に落ちた時は、本当にへこみました。結果として1年間在宅で保育となり、我が子の成長を間近で見れたのはとてもよかったですが、体力的にはきつかったです。ベビーシッターさんと実母が最高だったので、在宅保育に後悔はまったくありませんが、もう一度やれといわれたら断るかなと。(その後保育園にも無事に入園。徒歩3分の希望した保育園は保育士さんも栄養士さんも最高で息子も毎日とても楽しそうです。)

仕事と育児の両立という無理ゲー

仕事しながら育児(場合によっては家事も)をするという状況は、かなりハードモードです。
※高度成長期に確立した性別で役割を分担する(経済活動は夫、家事育児は妻)仕組みはもはや破綻しているものの、無意識に女性側に負担が多くなりがち。現在の子育て環境は、制度や国の助成制度などは増えてきたものの、都市部は基本ツーオペORワンオペです。第一子出生前後の女性の就業継続率は、30年前に比べ改善しているものの、約8割の母親が子育てと仕事の両立を懸念しているのも頷ける・・。

【引用】厚生労働省:第一子出産前後の妻の継続就業率等
【引用】インターネット調査:保育研究プロジェクト「子ねくとラボ」


人員は最低でも30人くらいは必要な20年くらいかかるプロジェクトを(失敗してはいけないという制約付きで)OJTもマニュアルもなしにぶっつけ本番で、2人OR1人で推進しなければいけないというレベルの難易度。これが仕事と育児の実態なのかなと思います。この現実を見て、妊娠した時点で私は「両立する」という幻想は追わないことにしました。また問題にぶつかった時の解決策として、個人の努力(若さ・体力・気合い・根性などをベースにしない)非現実的な課金(金銭的な余裕がある一部の人にしかできない方法)による方法は選択肢から外しました。年齢重ねている分、個人的努力の限界も弊害も痛感しているので、持続可能な方法を模索しました。

仕事と育児の最適解をみつける方法

夫作のつくりおき

仕事と育児の両立は無理ですが最適解を見つけることはできるような気がします。
最適解のポイントは、
「育児の中心人物(日本の場合は多くが母親)が心身ともに安定する方法を見つけること」(かつ、その方法は子供の成長に合わせて見直してアップデートする。)

育児をする当事者が「今」自分は

  • 子供とどんな時間を過ごしたいのか

  • その時間はどのくらい必要なのか

  • パートナーとどんな関係でいたいのか

  • 仕事はどのくらいしたいのか

を解像度高く把握していることが大事になると思います。

例えば、仕事をしていた方が気持ちが安定する場合は体の回復を加味しながら、早期に保育園に入れるなどして仕事の現場に復帰した方がいいかもしれません。

子供とゼロ距離でどんな瞬間も見逃したくない、子供のために衣食住の家事もしっかりやってきたい。そんな思考をもっていたら、経済活動はペースを落とし、子供といる時間を長くとる。納得できるレベルの家事育児ができる環境をつくった方がいいかもしれません。

重要なのは当事者がそのやり方で「自分の気持ちが安定するかどうか(納得できているか)」か。中心人物が心身の余裕があれば、多少のイレギュラーにも適応できるのかもしれません。あとは同じ状況は長くは続かないので1年間で帳尻合わせるくらいのゆるさも大事。

この1年やってみてよかったこと

以下は、この1年育児と仕事のバランスを色々模索していく中でこれはよかった!というものになります。(あくまで私の場合ですが)

  • 子供の成長を楽しんでくれる人を増やす

生後間もない頃から、息子と一緒にお散歩して、生活圏の中で息子を愛でてもらう機会をつくりました。私たち親子にとってのホームを広げておくことで、息子と一緒に心地よく過ごせる場所が増え日々の生活が楽しくなりました。

  • 信頼できるママ友、パパ友をつくっておく

生後2ヶ月ごろから地元の児童館をいくつか周り、雰囲気が合う場所に定期的に息子を連れて行きました。ここに通うことで、結果ママ友ができました。あとは住んでいるエリアが、ファミリー層が多かったので散歩しながらママ友パパ友をつくれたのはラッキーでした。育児のしんどさと嬉しさを解像度高くシェアできる人がいるの重要。

  • 相談できるパパママ先輩をつくっておく

同じような仕事環境で育児をしている先輩パパママを見つけておくと、とても良いです。本当に役に立つ育児グッズや困った時にどう乗り越えたのかなど経験則は非常に役立ちます。経済環境や仕事環境、育児の価値観があまりにも違うと参考にしにくいので、なるべく近しい人を見つけておくとよいのかなと。

  • 子連れが歓迎されにくい場所やシーンをさける

仕事をしながら育児をしているとしんどい時期があるので、そのタイミングに敵対心をむけられると心が折れます。私も2〜3回程度ですが子連れに無関心またはうざがられる経験をした際は、なんとも言えない感情になりました。なので、なるべく子供がいることが歓迎されない環境にはいかないようにしていました。(例:ラッシュの時間になるべく移動しない・子供が歓迎されにくいお店にはいかない・気持ちと時間に余裕がなさそうな人には近づかない・仕事に集中したい人が集まる場所にはいかない)

  • 相談できる子育ての専門家をつくっておく

育児は専門領域だと認識した上で、困ったことは専門家(ベビーシッター、地域の児童館職員、保育園の先生、地域の保健師、医療関係者など)に相談。子供のコンディションを理解し、経験則と専門知識に裏付けされた具体的なアドバイスはまさに神。下手にネット検索するよりはるかにいいアドバイスがもらえます。自分は育児の素人なのでプロに頼るというスタンスが大事。

  • 困ってます、助けてくださいを主張する

乳児を抱えていると話しかけてくれたり、大丈夫ですか?とか声をかけてくれる人がとても多くありがたいです。子供がいると両手ふさがって大変なことが多いので、たとえ相手が初対面でただのすれ違うだけの人であったとしても、何に困っているか、助けてほしい(この荷物を少しの間持ってほしい・息子を一瞬でいいから抱っこしてほしい・そこのドア開けてほしいなど)にどうして欲しいかを伝えるのは大事。あと電車のって車椅子ベビーカー専用スペースに該当者以外がいたら「ベビーカーですー。あけてください」と割とはっきりと主張するの大事。

  • とにかく睡眠、睡眠、睡眠。

育児はとにかく睡眠時間の確保だけはしてください。睡眠時間が減ると、色々支障でます。部屋がどんなに散らかっていても、多少食事が乱れても、仕事が残っていても、睡眠さえとっておけばリカバリーできます。睡眠時間少ない自慢する人の意見は全力で無視してください。

  • 今後も通用する仕事の仕方を模索する

当たり前ですが、子供が生まれたら、自分の時間を全部仕事に投下する的な働き方は成立しません。稼働時間に依存せずに、仕事において付加価値をどう生み出すかは、検討が必要です。出産した年齢にもよりますが、子供が成長した3年先、5年先にどんな仕事をしていきたいのか・そのために今どうするべきかを立ち止まって考える必要があるかなと。

どんな形でもいいからパートナーに気持ちをつたえる

子供が生まれるとパートナーとの関係も変化していきます。我が家は、夫が料理全般を担当し神レベルのつくりおきをしてくれ、子供の成長を誰よりも楽しんでくれます。ですが、この1年は平日はほぼワンオペ、夫は日付が変わってから帰宅することもあり「家事を一部やり・経済活動もして・金銭的な負担も背負って・育児の負担もほぼのっかってくる」という状況に限界を超えることもしばしばありました。

夫に対して泣きながら気持ちをぶつけたことは何度もあります。
中でも、私自身が最も違和感を感じたのは、夫には育児を休むという選択肢が無意識にあって私にはその選択肢が存在しないこと。(同じように育児の比率をあげてほしいとは思わないけれど、「前提が違う」独身時代と同じような生活が成立するとしたら、それは誰かがカバーしているからだと認識してほしいと思っていました。)

例えば、在宅保育をしていた時期は

  • 仕事が遅くなっても朝ゆっくり眠るという選択は私にはないけれど、夫は仕事が深夜になったら朝は寝ている。

  • 在宅保育を選択したのは夫婦2人だが、ベビーシッターの調整も、ベビーシッター補助制度の手続き対応も、息子の体調不良で仕事の調整をするのも、病院に予約して連れていくのも基本は私。

  • 息子の朝のルーティン、夜のルーティンは私が中心。私も育児素人なのに息子が泣いて収拾つかない時は私にパスされる。

  • 家事をやらなくていいよと言ってくれるけど、やらなかった家事は結局私が明日やる。

  • 夜、病院が閉まっている時間に、息子の異変に気がついて全てをひとりで対応する。この時の孤独感半端ない。

  • 何をやっても息子がまったく泣き止まない時でも最後までどうにか対応する。これが連日つづいて睡眠けずれるとメンタルにくる。

  • 休日のお出かけの準備も片付けもほぼ私がやる。

といった感じで無意識に育児の主体が私(母親サイド)になっていくこと、気がつくと自分のための時間がなくなっていっていくことが個人的にはつらかったです。(とにかく妻でもなく母でもなく、仕事以外の自分のための自分の時間をつくることが難しい)

つらかったので何度かキレて泣きながら夫に伝えましたし、そのおかげで少しずつ改善しています。すぐに現状を変えることは難しいこともありますが、言わないと気付けないこともあるので伝えるのは大事。

※念の為お伝えしておくと、夫は育児能力も家事能力高めです。人の気持ちに敏感な人で、仕事もいい意味で要領よくパフォーマンス出しつつ、努力を惜しまない人です。妻の支離滅裂になった気持ちも、受け止めます。それでも相当意識しないと、母親サイドに育児の負担がのります。

最後に

子供が生まれて、確かに多くのことが変わり嬉しさと同じくらい大変なこともあります。子供が可愛いだけではどうしようもない瞬間もありますし、たまに白目剥いて天を仰ぎたくなります。
※個人的には、100%の人が育児をされた経験を持ち、その何割かは育児をする経験をしているのに、ここまで解がでないのもすごいなと思う。個体(親の個人差、子供の個人差)と環境(経済、地域、育児体制)の違いでベストアンサーが変わる。

でも「子育て」をリアリティを持って語れるようになったのは、生活者としても仕事人としてもプラスだと思っています。子育ての正解はこれからもわからないと思うんですが、子供を理由に自分の選択肢を狭めることはしたくないなと思っています。

この1年、本当にたくさんの人に支えてもらいました。
・ポンコツなりに育児と仕事をどうにか進めてきた自分
・キャパ狭めの妻がキレても、受け止めてくれた器用な夫
・短い育児休暇の後、変わらずお仕事を依頼してくださったクライアントのみなさま
・息子の成長を我が子のように楽しんでくれるママ友パパ友のみんな
・先輩パパママ、ベビーシッターのIさん、退院してから毎週息子の世話をしてくれた私の母。
・お散歩コースで息子を可愛がってくれたカフェのオーナーさん、スタッフのみなさん。
・名前も知らない多くの人のたくさんの優しさ。
こういったものが積み重なって、この1年息子の成長を楽しむことができました。本当、ありがたいの一言に尽きます。これからも多くの人に関わってもらい息子の成長を見守ることができたらと思います。

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