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【北の極寒と手の温もり】第20回目参加 startup weekend旭川

今回、Startup Weekend旭川にオーガナイザー(運営)として参加しました。これまでにも3日間のイベント内容を記事にしてきたので、今回もその形式で振り返ってみたいと思います。

初日は、一緒に過ごす仲間を決める日です。「どこかのチームに入りたいな」と思いながら、参加者による1分間ピッチを聞いていました。どのアイデアも面白そうで、この時点で「どこかのチームに入る」と心に決めました。

Startup Weekendの最大の魅力は、「全国どこに行っても面白い人たちに出会えること」。これまでの経験から、運営だけをしていると、3日間一生懸命に取り組む参加者との間に、距離感が生まれると感じることがありました。参加者同士が共有する感情や経験は、共に行動した者にしか分からない部分があるのかもしれません。

例えば、

  • 「コーチングで徹底的に指摘される悔しさ」

  • 「深夜まで前に進めないもどかしさ」

  • 「アイデアが先行し、課題が見えなくなる混乱」

これらの苦しい体験を乗り越え、最終日のピッチをやり遂げたときに生まれる喜びと達成感。それを共有することで芽生える共感や絆が、Startup Weekendの醍醐味のひとつだと感じています。

自分にとって、このイベントは「切磋琢磨できる仲間に会いに行く場所」。そのため、運営だけではなく参加者としての挑戦も含め、3日間全力で取り組む意義を改めて実感しました。

では、どのチームを選ぼう。選ぶ方としたら、主に3つかなと思います。

  1. 「頭をたくさん使いそう」

  2. 「検証のため遠くに行けそう」

  3. 「とにかく面白そう」

今回、特に興味を引かれたのが「コミュ障の克服」をテーマにしたアイデアです。「最終的にどう着地するのだろう?」とワクワクしながら話を聞いていました。(最終発表の話になりますが)結局、芸能人の真似をするというユニークな方向性になりました。発想としてとても面白かったです。

最終的に私が選んだのは、ものづくりをテーマにしたチームでした。「指先を温める」というアイデアです。世の中には手袋やカイロといった便利なアイテムが数多くあるにもかかわらず、「まだ困っている人がいる」という事実に興味を持ちました。この課題に対し、どんな話を聞き、どんな行動をして、どんな成果を出せるのか——期待に胸を膨らませながらチームを決めました。

チーム

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2日目は課題を整理するところからスタートしました。「指が冷たい」という問題に対し、「具体的にどんな状況で冷たくなるのか?」を深掘りしていきます。

  • 室内か?屋外か?

  • 作業中か?それとも作業の前後か?

話し合いを進める中で、さまざまなケースが挙がり、「確かにこれもありそうだ」と考えが広がるばかりで方向性を定めるのが難しい状況に。そこで、オンラインアンケートを実施することにしました。

アンケートの目的:

  • 指が冷たいと感じる状況をヒアリングする

  • 想定するシチュエーションがどれだけ該当するかを確認する

  • その他にどんなケースがあるかを洗い出す

アンケートは朝のうちに作成し、順調な滑り出し??

アンケートの結果、室内・屋外問わず「これが多い!」という明確な傾向は見られませんでした。ただ、「手袋は動かしやすさが重要」という点が浮かび上がってきました。例えば、指先を自由に出し入れできる手袋があることを知り、さっそく調査を進めました。

指先を覆い、必要なときだけ外せる手袋を調べていくと、「作業中に指を出すことで冷たくなる可能性がある」といった新たな課題も見えてきました。実際に使ってみないと分からないため、近くのお店でいくつか手袋を購入して試すことにしました。

試行錯誤の結果、指先を切り取る簡易的な改良を加えた手袋を試作。良い感触を得つつも、「もう少し暖かさがほしい」と思い、防水機能の手袋の使用も検討しました。しかし、素材が硬く動かしにくいという別の問題が浮上。こうして議論を重ねていると、コーチングの時間を迎えました。

最初のコーチからは、デザイン性と機能性の両立について良い反応を得ました。しかし、別のコーチからは「そもそも手袋が解決策として最適なのか?」という指摘を受けました。

自信を持って進める半面、「せっかく手袋を作ったからこのまま進めたい」という思いも半分。ただ、自分たちが何を思っても顧客の声を聞かねば。旭川駅でのヒアリングを実施しました。

あまりにも極寒

結果。驚くべきことに、駅で話を聞いた多くの人が「寒いけど手袋はしない」と答えました。理由としては「寒さは我慢できる」や「スマホを使うときは我慢するか、手袋を外せば十分」という意見が大半を占めました。さらに、指先が出るスタイルの手袋はあまり選ばれないことも分かりました。

この結果を受け、チーム内で解釈のズレを認識し、方向転換を決断。これまで進めていた「作業中も使える手袋」という方針を見直すことにしました。

議論の中で、あるメンバーが「緊張すると指先が冷たくなる」という自身の経験をシェアしました。この課題を解決する方向で進めることに決定。

具体的なケースとしては、発表前に緊張で指先が冷たくなることがあるとのこと。

代替案として、

  • ストーブ:必ずあるとは限らない

  • カイロ: 温めるには良いが、手で持つ必要があるため作業性が下がる

  • 熱シール: 温かさは得られるが、見た目に難あり

  • 手袋: 指全体を覆うと手汗が出るため室内では不向き

こうした議論を経て、次の日の行動計画を立て、2日目を終了しました。ヒアリング結果を元にPDCAを回し、チーム全員が心から「欲しい」と思える課題を掲げられるようになったのは、大きな収穫だったと思います。

それにしても旭川は綺麗

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3日目も、2日目と同様に午前8時にスターバックスに集合しました。それにしても旭川のスタバは本当に綺麗で、富山にあるスタバに似ていると改めて感じました。

最終日はプレゼン準備が中心でした。前日までに課題の整理が進んでいたため、既存商品の課題を整理し、それに基づいてどんな製品を作るか相談。会場に移動後、手袋の改良を進めることになりました。

完成したのは「指袋」。手の甲や関節を覆わず、指先だけを温められる仕様です。これを手に持ち、チームメンバー2人が周辺でヒアリングを実施し、自分はピッチ資料の作成を担当しました。

ヒアリングでは、13人に意見を聞くことができました。その中の半分が冷え性や緊張で指先が冷たくなることを気にしており、数名は「これが欲しい」と言ってくれたとのことです。全員が購入を約束したわけではありませんが、価値を感じる人がいることが分かり、一定の手応えを得ることができました。

準備を整え迎えた最終プレゼン。しかし、結果は8チーム中3位以内に入ることができませんでした。課題の具体化や仮説検証を繰り返せた点では良い成果が得られたと思いますが、悔しい結果に終わりました。

まず、プレゼンの構成に課題があると感じています。伝えたいキーワードを整理し、各スライドごとのメッセージを明確にすることが重要だと改めて気付かされました。今回、ストーリー形式でユーモアを交えた構成にしましたが、肝心の「何を伝えたいか」が弱かったことが反省点です。

制作物の「見た目」の重要性も痛感しました。手袋の試作品について、「デザインがダサい」とフィードバックを受け、悔しい思いをしましたが、最終的には「見た目は重要」という基本に立ち返る結果となりました。内容が良くても、デザインや印象が大きく評価を左右することを強く意識する必要があると感じました。

今回、嬉しいこともたくさんありました。特に、チームメンバーが「これを本気でやりたい」と言ってくれたことは、自分にとって何よりの喜びです。さらに、学生の参加者が多かったことも印象的でした。全員が学生だった2位のチームは、難易度の高い技術を組み合わせた提案を行っていました。大きな刺激をもらいました。彼らが将来どのように成長していくのかを考えると、自分も負けられない気持ちになります。

みんな高校生なんだって

また、優勝したチームが同世代だったことも嬉しかったです。Startup Weekendでは、老若男女関係なく切磋琢磨できるのが魅力ですが、同世代と出会えると一層の刺激を受けます。北海道で同世代が活躍する姿を見て、自分が初めて参加した3年前を思い出しました。当時は同世代の参加者が少なく、少し寂しく感じていました。それだけに今回の経験は特別なものになりました。
どうやら、ぼくの知り合いからSNSのフォローをして欲しいとのこと。ぜひフォローを。

こうしてワクワクした3日間があっという間に過ぎ、気付けば12月。このワクワクの気持ちを何かしらの形でぶつけられたら。とりあえず小樽に行こう。

ありがとうございました!

みんな
オーガナイザー

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