青木雄二先生-マンガ図書館Zで読める名作家達
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青木雄二 『ナニワ金融道 1』 #マンガ図書館Z https://www.mangaz.com/book/detail/219411
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知識と知性の海野螢先生
愛と命の田中ユタカ先生と、精神とか哲学とかに働きかける漫画家の方々が好きなんですが、ここにきて一気にリアルでシンプルな作品にのめり込んでしまいました。
最近目について、なんか気になったから初めて読んだら、土日が潰れてしまった「ナニワ金融道」の
青木雄二先生
をご紹介。
詳しい話はwikiを見てくれ。
※一応全年齢版だけど一部18禁な表現があるので、18歳未満は気をつけてな
お金に関する漫画といえば、全てを読んではいないんだけど、闇金ウシジマくんが闇金に手を出した人の転末を終始ダークに描いてます。また、カイジシリーズでも金にまつわる山谷をドラマチックに描いてます。他にも弁護士系マンガとかも金についてのドラマは色々ありますが、具体的にお金って社会ではどうあつかわれるん?というのはわからないもの。単なる買い物の媒体ならともかく、ローン・借金については教育の過程では結構タブー視されていた気がします。
そんな疑問を持ったり失敗した人が読んでりゃよかったと思えるマンガがナニワ金融道かと思います。絵柄的に人を選ぶけど、内容は正直、下手なお金に関する新書より遥かにわかりやすいかと。
それでも、漫画を読もうとしたら、レンタルでも1冊数十円とか、電子でも100円単位でかかってしまうし、かといってこういうマンガは図書館に置いてくれないし…
そんな人にマンガ図書館Z!
実際、これ2022年頃に取扱していただいたようで、青木先生本人及びご遺族や関係者に深い感謝を表したいと思います。
金融の実際の教科書として(バブルがはじけた90年代とはいえ)基本的な構造はあまり変わっていないので、借金とか契約とか念書とかそういう教本にはもちろんなるのですが、ストーリーとキャラの心情が淡々とリズムよく、だけど行間を読むような余白を描いていることで想像力を掻き立てさせられる構成は見事かと思います。絵的にはホント好みが分かれるかと思います。1話の始まりとかパースがすごいもん。今の素人絵描きの方が遥かにうまいかも。
主役の灰原がまるで金貸しに見えない普通っぽさ。
大阪が舞台なのに関西弁のイントネーションすらなさそうな丁寧語。
新人とはいえ人に突っ込みきれない、非情さをもちそうにない、下手したらつけ込まれそうな表層。
しかしながら、その時々になんのきっかけもなさそうに機転をきかす展開(もちろん帝国金融のメンバーやその他の策略もすごい)
話が感情とかをほとんど描かずに淡々とすすめられることで、リアルを即座にわかりやすく提示しています。と同時に、ほんの少しのストーリーを読者から想起させる描き方は、とても効率よく読者を魅了する方法におもいます。
借金したらどうなるのか、金利とはなにか、連帯保証人になるリスクとは、多重債務に陥ったら人間関係はどうなってしまうのか、書面で交わすことの意味は、人や金の問題の解決の仕方は…
あ、いや、基本は現実離れしたフィクションなんですが、本当にフィクションなのか?これは自分に当てはまるんじゃないか?というのを考えながら読んでいくのは、金というものと切れない関係が社会にある以上、どこかでぶち当たる問題をシミュレーションするのに役立つようにおもいました。最近だと新NISAはじめ投資が活発だから余計にね。そうでなくてもリボ払いでバカを見る人もよく聞くし。
タバコの使い方よ
話をしてる際、深刻な場面とかで金を貸す側とかは割とタバコを吸ったり手に持ったりしてるけど、このシーンの使い方がすごく心理描写というか優位にたっているというのを表していて、便利かつ有効な小道具になってるなって感心しました。尤も、今はタバコめっちゃ規制されてるから使い方がひどく難しくなったけども
セリフと吹き出しの使い方よ
基本的にはマシンガンのように言葉が並んでるし、大体説明する形になるんだけど、たまーに灰原とかが失敗するんすよ。そうなったとき、すごいなっておもったのが、顔は普通なんだけど、明らかに自信なさげなシーンで、吹き出しを大きく、フォントを小さく、言葉数を少なくすることで、声の小ささを表現してるのはすごいとおもいまった。基本的にキャラをクローズアップするような描写は稀で、大半は同じ大きさに描かれてるから、セリフが特に重要なこのマンガでは表現の一助として機能してるようにおもいました。
3回目のマンガ図書館Zのオススメ作家、書けた!
次は少年漫画でいきましょうかね←前回こう書いたけど全然少年漫画ちゃうかったわ