[DET]躍進のシーズンを振り返る〜先発投手編〜
ご無沙汰しております。MLBはポストシーズンで大盛り上がりですが、タイガースは一足早くレギュラーシーズンを終了し、77勝85敗、ア・リーグ中地区3位でシーズンを終えました。7年連続でポストシーズン進出を逃しましたが、再建が始まった2017年から4年間続いていたシーズン二桁借金がストップするなど、新監督A.J.ヒンチの下で予想外の健闘を見せてくれました。そこで今回から、数回に分けて主な選手たちの今年の活躍について、簡単にではありますがまとめてみようと思います。今回は先発投手編です。
ケイシー・マイズ
メジャーデビューした昨年は勝利どころかQSも達成できなかったが、2年目の今年は徐々に適応を見せ、先発ローテーションに定着して7勝を記録。bWAR3.3はチームの投手陣ではトップの数字だった。
ただ、所々で才能の片鱗を感じさせる場面はあったものの圧巻の投球を見せることは少なく、全米ドラ1という肩書きからするとやや物足りないといった印象。特にマイナー時代高評価だったスプリットをもう少し改善させたい。大量援護を貰いながらも5回まで投げきれずにみすみす勝ちを逃した試合も何度かあり、精神的な面でも鍛錬が必要だと感じた。ポテンシャルに疑いの余地はないので、3年目の本格化に期待したい。
8月末のSTLとのインターリーグではメジャー初打席でストレートの押し出し四球を選び、華麗?なバットフリップが話題となった。
タリック・スクーバル
マイズと同期入団の左のエース候補。開幕6連敗と最悪のスタートを切ってしまったが、その後はキレのあるフォーシームとスライダーで奪三振を量産し、最終的にはローテーションを守っていずれもチーム最多となる8勝、164奪三振を記録。6月末のHOUとの対戦では強力打線を相手に7回1安打、9奪三振の快投を見せるなど、好調時に見せるパフォーマンスは現状ではマイズを上回っている。
しかし7回まで投げたのはこの1試合のみであり、疲れが見え始めた8月に大きく調子を落としたことなどから、スタミナ不足が当面の課題。被本塁打の多さも要改善である。こちらも来年が3年目ということで、マイズと共に本格化して左右のエースとなってくれることを期待したい。
マット・マニング
元NBA選手の父を持つ大型右腕で、2016年全体3位指名のプロスペクト。一昨年に2Aで好成績を残し、昨年のデビューが予定されていたものの某ウイルスの影響で断念。今年は3Aで開幕を迎え、満を辞してメジャーデビュー…のはずだったが、3Aで打ち込まれる試合が続き、防御率8.07と精彩を欠いてしまった。結局、6月に業を煮やした首脳陣によって昇格させられ、半ばぶっつけ本番のような形でデビューとなった。
デビュー後は何度かマイナー降格を挟みながらも最後までローテーションの一角を担ったが、変化球の精度をはじめまだまだ課題は多く、序盤で大量失点しノックアウトされることもしばしば。来年はもう一度3Aからスタートし、万全な状態で昇格させた方がいいのかもしれない。彼もまた非常に高いポテンシャルを持っているため、将来的には先に挙げたマイズ、スクーバルと共に強力な先発ローテーションを形成してほしいところ。
ウィリー・ペラルタ
MIL時代の2013、14年に2年連続で二桁勝利を記録するなど実績はそこそこあったものの近年は不振を極め、昨年は無所属。今年はマイナー契約でスタートし、6月に怪我人の埋め合わせとして昇格した。
昇格後は圧倒的な決め球こそないもののシンカーを軸に打たせて取る投球を展開し、のらりくらりと相手をかわす投球を披露。一時は防御率1点台を記録するなどエース級の働きをしてくれた。シーズン終盤には全盛期を過ごした古巣MILと対戦し、自身と同性であり現在MILのローテーションの一角を担っているフレディ・ペラルタとの「新旧ペラルタ対決」が実現。両者共に6回無失点と互角の投げ合いで、ファンを大いに沸かせた。FIPは4.40と運に恵まれた要素も大きかったが、きっちりとローテーションを守ってくれたのは十分評価に値するだろう。
ホセ・ウレーニャ
MIA時代の2017年に14勝を記録して以降成績は下降の一途をたどり、新天地で再起を賭けた今年も厳しいシーズンとなった。
開幕直後は先発ローテーションの一角を担い、一時は4試合連続でHQSを記録するなど復活のきざしを見せたが、打線が冷え切っていたためその間わずか1勝しかできず。すると緊張の糸が切れたのか、その後は投げるたびに大量失点。フォーシームの平均球速が前年から1mph以上低下し、大半の試合で5回持たずにKOされた。7月に怪我で離脱し、翌月に復帰してからはリリーフへ配置転換。将来を見据えたイニング制限により序盤で降板したマイズやスクーバルの後を継ぐという形で起用されたが、ここでもパッとしなかった。来年はどこの球団に所属しているか分からないが、野球人生の岐路に立たされていることは間違いないだろう。
スペンサー・ターンブル
開幕は怪我で出遅れ、4月末に合流してからもしばらくはピリッとしない投球が続いていたが、5月18日のSEA戦でまさかのノーヒットノーランを達成。派手さは無いものの変化球を低めに集めて淡々とゴロを打たせていく投球が光った。
以降の登板では安定感が増し、本格的なブレイクを予感させたが、残念ながら6月に右肘を痛めてIL入りし、翌7月にトミージョン手術を受けシーズン終了となってしまった。来年はシーズン全休が濃厚とされているが、焦らずにゆっくりと傷を癒やして、また見事な投球を見せてくれることを願っている。
マシュー・ボイド
デビッド・プライスとのトレードでTORからやってきた際は左のエースとなることを期待されていたが、殻を破りきれぬまま30歳を迎えた。
キャリア2度目となる開幕投手を務めた今年は開幕から好投を続け、5月途中までは防御率1点台を記録するなど好調だったが、その後の4試合で5失点→5失点→4失点→5失点と炎上し、瞬く間にいつも通りの成績に。結局6月に上腕三頭筋を痛めて長期離脱し、8月末に復帰したものの今度は指を痛めて手術を受け、シーズン終了となってしまった。全治約9ヶ月となっており、来年オフの契約延長も微妙なところ。長年ローテーションを守ってくれた功労者であることは間違いないが、別れのときは近いのかもしれない。
フリオ・テヘラン
ATL時代に5度の二桁勝利を記録するなど実績は抜群だが、昨年はLAAで爆発炎上を繰り返し、10試合に投げて未勝利&防御率10.05という見るも無惨な成績を残してしまった。
今年は当然ながらマイナー契約でスタート。ターンブルがIL入りしたことも相まって開幕直前に昇格し、4月2日の移籍後初登板で勝利投手となるも、この数日後の練習中に右肩を痛めIL入り。以降は消息を絶ち、その存在が忘れられつつあった9月にシーズン中の復帰不可能とのニュースが報道された。2013〜19年の7年間で年間平均191回を投げたその肩が、遂に限界を迎えてしまったのかもしれない。
最後に
怪我人に悩まされましたが、若手たちの奮闘もあり、先発陣は近年の焼け野原状態からかなり改善されました。アル・アビラGMはFAでの先発補強を示唆しており、オフシーズンの動向にも注目です。
次回はリリーフ投手編を投稿する予定です。ここまでご覧頂きありがとうございました。
画像引用元
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