新春レーベル紹介祭り2023

新年あけましておめでとうございます。身代亜土夢です。

今年の正月は2日から仕事始めだったこともあって特に正月気分もなく終わった感じなんですが、皆様は正月ボケなどしておりませんでしょうか。
そんなボケ倒しているあなたにぴったりな音楽レーベルを紹介して新年のご挨拶に代えさせて頂こうかなと思います。通勤中とか大体このへん聴いてます。例によってBandcampでの紹介になりますので基本的に無料で聴けます。最高。


Ultimae Records

このnoteでも何度話題に出したかもう数えるのも面倒なくらい、自分の中ではまず間違いないレーベルがこのUltimae。シネマティックかつシリアスなアンビエント/エレクトロニカの傑作を次々と送り出す、フランスの超優良レーベルです。

見事に統一された世界観から織りなすビジュアルワークを伴ったその作品群は没入感が素晴らしく、高品質を維持しながらも一貫したコンセプトで運営を続けるその姿勢はストイックの一言に尽きます。
このレーベルの初期からの中心人物であるSolar FieldsCarbon Based LifeformsAes Danaには個人的に現在の音楽的価値観に特に強く影響を受けていて「アンビエントっていいなあ」と思わされた大きなきっかけにもなっています。近年では過去作のリマスター再発や24bit高音質版同時公開など音質面に力を入れているらしく、しっかりとしたオーディオシステムを使用している人には特におすすめできるレーベルでもあります。とにかく聴こう。

Virtual

自分の中ではBrian Eno以上にアンビエント/チルアウトという分野での最重要人物・Ishq。そんな彼の完全個人レーベルがこのVirtualです。イギリスのコーンウォールを拠点としていますが、Aphex Twinに代表される所謂コーンウォール一派には特に数えられることもなく唯我独尊の活動を続けている秘密基地のようなレーベルです。

彼の初期代表作『Orchid』は大自然を想起させるようなオーガニックなチルアウト作品でしたが、このレーベルにずらりと並んだディスコグラフィーはどちらかというと実験的な音響作品が多く、ものによっては非音楽的ですらある印象も受けます。彼の個人サイトにも書かれている『Psychoacoustic sound art(音響心理学的音声芸術)』がまさにこの音楽を表していると思います。
そう聞くと難解すぎて楽しめないんじゃないか?と危惧する人もいるかもしれませんが、そんなに敷居が高いものでは全くないので是非一度体験してみてほしいです。幾何学的な図形と風景に彩られたジャケットアート、そしてタイトルを見ながら次々と現れる電子音やサウンドコラージュに耳を傾けている内に気が付けば意識だけが未知の異次元空間へ飛ばされていたようなあの感覚。この音楽でしか味わえない、紛れもない音によるトリップだと思います。
ブリブリのいかにもヤクいですよアブないですよ感丸出しの短絡的な音でトぶとかキマるとかイキッてる人を見ると、こっちのほうが何倍も気持ちいいのになあと思いますがそういう人たちには恐らく分かってもらえないので俺は一人でしっぽりとIshqを聴き続けるのです。幸せです。

梅レコード

東京在住のカナダ人ミュージシャン・Precipitationが運営する東京発のアンビエント/ニューエイジレーベルです。彼自身の作風を汲んだ、「ある特定の時間と場所に宿る新たな精神性を吹き込んでいるアンビエント」(本人談)をコンスタントに発表しています。

レーベル名やジャケットアートからも分かる通りこのレーベルの作品は特に日本/東京に根差した日常の中でのアンビエンスを軸としているらしく、他に挙げているレーベルよりかはサイケデリック要素は低めな印象です。どちらかというとヒーリングミュージック的な位置づけで聴く意味合いが強いのかもしれません。
またこのレーベルの特色として作品ひとつひとつに意味深・哲学的な文章が添えられており世界観を深めることに一役買っています。こういった手法も個人的にはとても好きで、ふとした時間についレーベルページへ飛んで新作が出ていないか確認してしまいがちです。日常も切り取り方次第でアートにできるという視点を再確認できるレーベルです。

Neotantra

イタリア発のアンビエント/ドローン作品を主としたレーベル。

正直言ってあまり情報がなく実体がまだ掴めていない所なのですが、作品はどれも素晴らしいので自信をもっておすすめ出来るレーベルではあります。叙情的でニューエイジ的な味付けのものが多い印象です。やはりレーベルロゴを基調としたジャケットアートがどれも秀逸で、なんていうか俺はこんな風に一貫したコンセプトで世界観を作る手法がそもそも好きなんだろうなと最近気付きました。
余談ですがこの記事を書くにあたって改めてレーベル名の意味を調べるとなかなかアレな言葉でもあるようで、作品だけ聴いてる限りではそんなイメージは微塵もなかったのでまたひとつ見方が変わって来ちゃうなと思いました。

Before & After Silence Recordings

90年代から現在に至るまで膨大な作品群を残し続けている電子音楽家・Mick Chillageが2020年アイルランドに設立した個人レーベル。

活動歴の長いインデペンデントな作家にありがちな事ですが、長いキャリアの中で様々なレーベルで作品を発表して来た彼の過去作をすべて把握し切るのは正直かなり大変だったりします。なのでこうして一つ継続して追える活動場所があるのはファンとしてはとてもありがたいことです。
白地に図形が描かれたシンプルなアートワークがまるで「とにかく音を聴いてくれ」と言っているようで、Ishqと同じく長年独自の世界を音に著してきた自信すら感じさせる所。レーベル名の通り静謐な世界へ行きたい時は彼の音楽に入り込みましょう。



以上、本年もどうぞ宜しくお願いいたします。

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