『呼吸をふわっと整える』セルフ・ライナーノーツ


整体の現場で起きていることとは、一体なんなのだろうか? ずっと考えてきました。それがこれまで本を書いてきた一番大きなモチベーションです。

実感として間違いなく言えることは、呼吸が変わること、深くなること。” 同時に” 身心のバランスが動き、リラックスして軽くなること(場合によっては大きくゆるんで、かったるくなることもありますが)。

そこにある動き、働きを " 気 "と呼んでいますが、それはモノとして計測できるわけではありません。いわば ” 非科学的な何か ” なわけですね。ただし、今回は ”気 ” という便利なキーワードを一切使っておりません。

” 気 ” には流れとしての側面と、あいだ(細胞と細胞、器官と器官、人と人、人と環境のあいだ)に起きる働き(共鳴・相互作用)という側面があります。今回の切り口は ” あいだ ” のほうです。

そこをもう少しツッコんで、” あいだ ” のどこに?という問題ですね。「間(ま)がいい」「間がわるい」とはよく言われます。この ” 間 ” の中身は、空っぽで何もありませんが、ここで何かが起きるのです。

呼と吸のあいだ、人と人のあいだ、動きと動きのあいだに生まれる ” 間 ” (=虚)が動きを生む。身心をホッとさせたり、逆に ” 活 ” を入れたりもする ” 間 ” 。化学反応をうながす触媒のようなもの(「虚触媒」とでもいいましょうか)ですが、モノとしては存在しないない何かが、” 間 ” というわけです。

そして、” 間 ” がもっともよく立ち現れるのが、呼と吸のあいだ。つまり呼でもなく、吸でもない、” 虚 ” の瞬間です。
 
この呼吸の ” 間 ” の感触が ” ふわっと ” している。” ふっと ” 何かが動き、” ふわっと ” した手応えがあるのです。

                                                                                                                       つづく

書影_呼吸をふわっと整える_オビあり

『呼吸をふわっと整える』は2019年10月16日 河出書房新社から刊行予定です。Amazon では9月7日より予約受付中

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