栄養ドリンクと水族館

小学生を受け持っていたことがあった。
高学年になった教え子が
うちに遊びに来てくれた。
男の子が5人。

こたつの上にあった栄養ドリンクを見て
5人が目配せをしあう。
『先生、1人200円ずつ払うので、これを売ってください。』

何か企んでるな、そう思ったけど、
もう私には責任はない。
言われたとおりに、
ドリンクを5本渡して100円玉10枚を受け取った。

海辺の水族館。
パパと私と子供。それに私の母の4人で行った。
『ここは入館しなくても、入口だけでも楽しめるんだよ。』
節約家のパパが言った。

海無し県からはるばる出かけてきたけど、
今日のプランはこのひとことで決まる。

入口にあるトンネル型の水族館の模型の前で
かわりばんこにペアを組んで
写真を撮りあう。

建物の向こうに見える海辺も写真におさめておこう。
そう思いカメラをかまえると、
下着姿の地元の子供らが水際を走り抜けていく。
通りすぎるのを待とう。

雲が流れてきて日がかげってきた。
あぁ、また私はシャッターチャンスを逃したな。

これは2本立ての夢の話。

もちろん私に教え子はおりません。
さあ、今日も栄養ドリンクを売りに出かけよう！