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10年以上飼っていた金魚が朝死んでしまった。

移動遊園地が毎年近くの公園にやってくる。小さい子供向けの汽車の乗り物や、もう少し大きい子向けのちょっとしたスリルのある回転系の乗り物の横で、ゲームコーナーがあった。大きなぬいぐるみが当たるゲームの残念賞はなぜか金魚だった。

息子がまだ小さかった時、お友達のお父さんが、一緒にどうぞ、と言って息子を移動遊園地に連れて行ってくれた。息子は当時小学2年、夕暮れまでお友達と豪華遊園地と化した馴染みの公園で遊んで大喜びで帰ってきた。

手にはビニール袋に入った金魚が数匹。

そのうちの1匹だけが生き延びた。
そして11年経った今朝死んでしまった。

金魚をペットと呼べるのかどうかはわからないけれど、我が家ではこの金魚をスパーキー、略してパキちゃん、と呼んでいた。

当時連れてこられた数匹にも、名前がつけられていて、ゴールドフィッシュだからゴールディー、輝いているからシャイニー、黒っぽいのはミスターヌードルといった。けれど次々と病気になったりして死んでしまった。息子はミスターヌードルを善意から「地下水路で大きくなるよう」とトイレに流していた。極小だったからあっという間に消えていったらしい。


パキちゃんは、小指の先ほどの大きさからどんどん成長して、大人の手のひらぐらいの大きさになって、ひれも伸びて、優美な金魚となった。夜に水槽のライトをつけて観ると、水中をひらひらと動く姿が美しかった。

11年の間に息子は小学生から大学生になった。娘も中学生から社会人になった。気が付いたら家に子供がいない状態になっていた。

金魚の寿命は上手に飼えば10年-15年だそう。それを思うとパキちゃんは天寿を全うしたと思う。最近は元気がなく、動きも緩慢だった。

夕方、外が静かになってきて、水槽のモーターの音と水が流れる音がしなくなったのに気づいて悲しくなった。

その代わり夕日に照らされた風鈴の音が聞こえてきた。

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パキちゃん



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