#30 シアタス心斎橋
コロナ禍で芽吹いた新たな映画館
2020年4月の緊急事態宣言から約1年。当時、映画館が一斉に休館し、このまま閉館になる映画館も出てくるのではないかと危機感を覚えた私は、自分なりの #SaveTheCinema として、来る日も来る日も大阪近郊の映画館のことを書き綴りました。20館以上の記事を書き尽くし、もうこれ以上は映画館のことを書くことはできないだろうと思っていたのに。
あれから約1年、2021年3月16日に心斎橋に新たなイオンシネマ「シアタス心斎橋」がオープンしました。あれほど映画館のことばかり書いていた私としては、これは書かないわけにはいかない! ということで、めでたく(?)#SaveTheCinema 更新です。
シアタス心斎橋
https://www.aeoncinema.com/cinema/shinsaibashi/
シアタス心斎橋の場所
シアタス心斎橋は、心斎橋にある商業施設の心斎橋PARCOの12階に入っています。大阪メトロ御堂筋線の心斎橋駅の南端、難波に近いほうの出口から、商店街側の大丸のほうに出ると、地下の改札口から直結して心斎橋PARCOの入口があります。大丸の本館のすぐ北側に位置しています。いちおうアクセス情報のリンクも置いておきましょうか。
心斎橋PARCOアクセス・駐車場・駐輪場
https://shinsaibashi.parco.jp/info/access
駅から直結しているので、さすがに映画を見たからって駐車場や駐輪場の割引はありません。コロナ禍で梅田や難波の映画館にも車で行くことが多くなった私としては、駐車場の割引がないのは少々残念ではありますが、都会ど真ん中の映画館なので仕方ないですね。
ちなみに、映画館のある12階まで昇るには、エレベーターとエスカレーターがあります。エレベーターは、各階停まりのものと低層階に停まらないものがありますが、映画館のある12階への直通エレベーターはありません。このため、時間には余裕を見ておいたほうがよさそうです。先日、12階からエスカレーターで足早に降りましたが、映画館から心斎橋駅のホームに降りるまで5分以上はかかりました。
改札を出てすぐのところにある券売機
心斎橋駅の改札と心斎橋PARCOの地下入口の間に、イオンシネマの券売機が1台設置されています。改札と心斎橋PARCO地下入口の間にゴジラがいて、その少し奥まったところに券売機があります。この券売機が、めちゃくちゃ便利です。心斎橋駅で降りて、まずシネマート心斎橋に1本目を見に行って、そのあとシアタス心斎橋で2本目を見よう、なんてとき。1本目と2本目の間の移動時間があまりないから、シアタス心斎橋のチケットを先に発券しておきたいなと思ったら、地下鉄を降りてすぐ、12階まで行くことなく発券できます。なんて観客のことがよくわかっているんですかシアタス心斎橋さん!って私は歓喜しましたよ。
会員制度・ワタシアター
シアタス心斎橋には、イオンシネマ共通のワタシアターという制度があります。詳細はイオンシネマりんくう泉南の記事をご参照ください。
サービスデー・サービス料金
シアタス心斎橋のサービスデーやサービス料金は次のようになっていて、割引料金で映画鑑賞できます。
・ハッピーマンデー 毎週月曜/1,100円
・ハッピーファースト 毎月1日/1,100円
・映画の日 12月1日/1,000円
・お客様感謝デー 毎月20日・30日(2月は28日or29日)
/1,100円
・ハッピーモーニング 平日の朝10時台までの上映回
/1,300円
・ハッピーナイト 毎晩20時以降の上映回
/1,300円
・ハッピー55(G・G) 55歳以上/1,100円
夫婦どちらかが50歳以上の場合に2人合わせて2,200円で鑑賞できる夫婦50割はありますが、レディースデーはありません。また、イオンマークのクレジットカード払いで、本人と同伴者1名までが一般料金から300円引きになります。
なお、基本料金は、一般1,800円、大学生・専門学校生1,500円、3歳から高校生まで1,000円、障がい者割引1,000円(付き添い2名まで)です。また、ワンドリンク付きのハイグレードシートが鑑賞料+1,000円、ワンドリンク、スイーツ、アメニティ付きのグランシアターが4,000円です。
グランシアター
シアタス心斎橋は郊外にあるイオンシネマとは一風違った雰囲気で、ロビーからすでに高級感があふれています。この高級感の最たるものが、グランシアター。DOLBY ATOMOSの入るこのシアター、なんと1席4,000円。グランシアター内の座席数は9席のみで、一般のシアターとは入場口も違います。まるで会員制のクラブにでも案内されるような。一般のシアターではチケットに印刷されたQRコードを読み取る機械にかざしてチケットが認証され、入場する仕組みですが、グランシアターにはQRコードの読み取り機がありませんでした。入口で係員にチケットを見せると、豪華な赤絨毯の廊下をエスコートされ、座席まで案内してもらえます。もはや映画館とは思えない。
4,000円のグランシアターのチケットを発券すると、映画のチケットのほか、「GTドリンク引換券」と印字されたチケットが出てきます。このチケットで、アルコール類を含むメニューから選べるドリンク1杯と、チョコレートやナッツ等のおつまみ1つがもらえます。劇場のコンセッションで注文した後は、座席まで運んでもらえます。また、抗菌仕様の使い捨てお手拭きを座席まで持ってきてくれたり、ブランケットをお持ちしましょうかと聞いてくれたり。気分は貴族です。なお、GTドリンク引換券は鑑賞当日のみ有効です。
さらに、イオン株式会社の株主優待制度で発行されるオーナーズカードを持っている場合、チケット購入時にカードを通すと、ドリンクSまたはポップコーンSがもらえる「オーナーズカード特典引換券」も出てきます。グランシアターではオーナーズカードによる割引はなく、4,000円の料金は変わりませんが、GTドリンク引換券とオーナーズカード特典引換券をあわせて使えばポップコーンもドリンクもおつまみもついてきて、どこまでもゴージャスです。
グランシアターの座席は、隣とパーテーションで仕切られた区画内に電動リクライニング機能のついた革張りのシートが設置されており、これまたゴージャスです。背もたれが倒れるのと、足元が上がってくるのとで、かなりフラットに近い姿勢になります。飲食時は普通に座り、映画観賞時はゆったりベッドに寝そべったような姿勢で、なんて調節も可能です。なお、リクライニング動作時の電動音はかなり控えめに抑えられており、少しくらい上映中に動かしても、静かな映画でなければさほど気にならない程度の音量でした。
座席の脇には、手元を照らす小さな照明や、携帯端末を充電できるUSBポートもあり、何から何まで快適です。
全席パーテーションで区切られた快適座席
シアタス心斎橋では、通常料金の座席でも全席がパーテーションで隣と区切られています。また、座席の後ろ側には座席同士をつなぐように布張りが施されていて、前後左右の区画がしっかり区切られた構造になっています。これは感染防止対策として最適であるのはもちろんのこと、隣の席の人とドリンクホルダーの取り合いになることもなければ、隣の人が携帯電話の画面を光らせてもまぶしい光が漏れてくることもなく、とても快適です。ただし、家族や恋人と腕が触れるような距離感で寄り添って映画を楽しみたい人には向かない構造かもしれません。おひとりさま万歳シアターです。
コンフォートシートとハイグレードシート
シアタス心斎橋のグランシアター以外のシアターでは、最前列に「コンフォートシート」、最後列に「ハイグレードシート」があります。コンフォートシートは、寝そべった体勢でスクリーンを見るようになっており、リクライニングはありません。この座席でドリンクを飲んだりポップコーンを食べたりするのには少々難がある気がするものの、寝そべったときの目線の先にちょうどスクリーンが来るため、最前列の座席にありがちな見にくさがまったくありません。また、隣との間はパーテーションで仕切られ、座席脇には携帯端末を充電できるUSBポートがあり、荷物を置く広めのスペースもあります。このスペースはグランシアターよりも広く取られていて、コンフォートシートが通常料金で利用できることを思えば、最もコストパフォーマンスに優れた座席と言えるかもしれません。
ハイグレードシートのほうは、鑑賞料金に1,000円の追加料金で利用できます。こちらはアルコール類を含むメニューから選べるワンドリンクが付いてきます。また、座席脇には携帯端末を充電できるUSBポートがあり、グランシアターの座席のように手元を照らす照明もあります。ハイグレードシートでは隣とのパーテーションが可動式になっており、家族や友達などと複数人で利用するときに隣の座席との区切りを取り払って利用することもできます。
多彩な上映作品ラインナップ
シアタス心斎橋は、イオンシネマでありながらシネコンらしからぬ上映ラインナップを備えているというか、多彩な上映作品がそろっています。他のイオンシネマで上映されているような作品から、ミニシアターで上映されるような作品まで、多種多様です。開館当初、『ラーヤと龍の王国』の字幕版を1日に何度も上映してくれていたのは、全国的にも珍しかったのではないでしょうか。特に大阪の南のほうの住人にとっては、以前なら梅田まで出ないと見られなかったミニシアター系の作品が心斎橋で見られるというのは、ありがたい限りです。
14階のスクリーン
シアタス心斎橋は、12階にスクリーン1~6とグランシアターがある計7スクリーンの映画館です。と思っていたら、たまに14階のイベントホールもシアタス心斎橋の上映スクリーンとして使われています。ここでは常に上映があるわけではなく、どういう基準で使われているのかはよくわかりません。この記事を書いている2021年4月13日現在、14階での上映はないようですが、2~3週間前には『騙し絵の牙』が14階で上映されていました。現在は上映がないので確認できないのですが、ここで上映がある際には14階でも劇場コンセッションが利用できると公式サイトに記載されていました。
新たな時代の希望となる映画館
シアタス心斎橋は、もともと1月下旬にオープンの予定でしたが、年明けからの緊急事態宣言を受けてオープンが延期され、3月16日に開館しました。こんな我慢の日々がいつまで続くのかと思うような世の中で、前途多難の幕開けだなと思った一方、こんな世の中でも新しい映画館がオープンするということに、とても希望があるように私は感じました。
こんな世界でも、感染対策が行き届いた構造の座席を備え、みんなが安心して映画を楽しめる場が増える。映画館好きの私にとって、シアタス心斎橋は新たな時代の希望以外の何物でもありません。困難な時代に、安心して優雅なひとときを楽しめる都会のオアシスとなるイオンシネマ。これから末永く、大阪の真ん中でみんなを笑顔にする暗闇を提供してほしいと願っています。
※料金や会員制度は、2021年4月現在の情報です。