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【季節のおすすめ絵本】5月:お母さんに届けたい

この季節だからこそ、味わいたい絵本、というものがあります。
もちろん、子どもたちが、真冬に水遊びの絵本が読みたくなったり、雪だるまの絵本が好きすぎて1年中楽しんだりする姿も、それはそれで微笑ましいので、あんまり厳密に「絵本を使って季節を教えよう!」とは思わないのですが。
もっと緩やかな感覚で、〈今年も、この季節だなぁ〉とか思いながら、手に取りたい絵本があってもいいよね、という想いで、月ごとの絵本をご紹介していこうと思います。

5月の第2週目には、「母の日」があります。
店先にカーネーションが並び、スーパーのチラシにカレーの材料が載ります。(知ってました?母の日には、お母さんのために、子どもたちでカレーを作ろう、というチラシが多いんですよ!)
○○商戦のバリエーションの1つになっています。まぁ、そんなもんでしょう。

お母さんの絵本というと、〈子どもはお母さんが大好き。お母さんは子どもに一心に愛情を注ぐ暖かい存在〉みたいな描かれ方が、やっぱり多い。
〈母たるもの、こうでなくてはいかん〉みたいな画一的な感じがして、「それしかないわけ ないでしょう?」という気持ちになります。(そうです、この言葉は、ヨシタケシンスケさんの絵本のタイトルから引用しました。)

私は、下記の記事で紹介したみたいな、お母さんも、お父さんも、完璧じゃない、1人の人だよね、という描き方が好きです。

完璧じゃないし、時に子どもにテキトーな返事をしたりもするけれど、バタバタしながら、一生懸命やっているんですよね。

そんな訳で、今月のテーマは、ステレオタイプな「お母さん」とは一味違う「お母さんに届けたい絵本」にしようと思います。(来月は6月父の日なので、「お父さんに届けたい絵本」を紹介します。)

まずは、ちょっとタイトルをお借りしたヨシタケシンスケさんの本から。

なつみはなんにでもなれる』ヨシタケシンスケ:作 PHP研究所
ヨシタケシンスケさんのお話に出てくるお母さんは、基本的にはテンション低めで、登場する子どもたちの自由な発想を、驚くでもなく褒めるでもなく淡々と聞いている印象があります。
この本は、なつみがとにかく可愛い。可愛い、っていうのは、キャラクターみたいな可愛らしさではなく、自分の世界で一生懸命生きている感じが、本当に愛おしい。そのなつみにちょっと面倒くさそうに応じているお母さんが、とてもリアルなんですよね。あしらってるように見えるけれど、関心がないわけじゃない。面倒くさいけれど、それなりにやりとりも楽しんでいるように見える、それがいいんです。
毎日毎日、教育テレビに出てくるお姉さんのようにテンション高く、子どもを盛り上げなくてもいいんですよね。毎日のことだから。日常の中にいる、リアルなお母さん。このお母さんも、なつみと同じくらい、なんか愛おしいんです。

次はちょっと雰囲気を変えて、こちら。

せんたくかあちゃん』さとうわきこ:作 福音館書店
こちらは豪快なお母さん。「かあちゃん」という言い方がふさわしい。爽快な絵本ですよね。
この絵本が爽快な理由は、かあちゃんが「自分がせんたくが好きだから」だと思うんです。家族とか、誰かのために・・・って言わない。とにかく、自分がやりたいからやる。豪快に。だから小気味いいんですよね。
お母さんたちも、「自分の好きなこと」どんどん追及したらいいと思うんです。誰かのためにならなくてもいい。好きだから、やる。自分の好きなことを存分にやりきって、気持ちよさそうにしている「かあちゃん」のことは、子どもたちも、きっと大好きだと思いますよ。

今回のテーマに合う絵本を探していたら、こんな本に出合いました。

しげるのかあちゃん』城ノ内まつ子:作 大畑いくの:絵 岩崎書店
レビューを読むと、かあちゃん、かっこいい、かっこいいと大絶賛。
2トントラックを乗り回し、ガテン系の道具を使いこなし、大活躍するかあちゃんの話。
「お母さんっぽいお母さん」という概念がナンセンスだな、と気づく。いろんな大人がいて、色々な生き方がある。母になった瞬間にみんなが同じ「お母さんらしい姿」になる訳じゃない。当たり前のこと。みんなそれぞれの自分らしさのまま、お母さんになればいいんだよね。

最後は、番外編です。

みんなあかちゃんだった』鈴木まもる:作 小峰書店
「生後○カ月で、○○ができるようになります」を伝えるための本ではない。「○カ月のころ、こんなことあったね。そうそう、よく、こんな格好していたよね」と、自分たちのエピソードを思い出すためのフックが詰まった本。とても暖かくて、すてき。
母になった途端に「お母さん」をいうステレオタイプを纏うわけではないのと同じように、赤ちゃんも「○カ月」というステレオタイプで生きるのではなく、1人1人違う命を生きていることを思い出す。
読むだけではなく、この本を使って我が子はこうだったね、今こんな様子だよ、って、話が広がったらいいな。

いかがでしたか。
「お母さんだから」にあまりとらわれずに、自分らしくいられる母の日でありますように。

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