北陸新幹線は福井まで延びたけど
北陸新幹線が延伸しましたね。東京駅を出て、長野を経由して日本海側に抜け、金沢まで走っていた新幹線が、更に北陸を西へ進み、福井県の敦賀駅まで行くようになりました。
ちょうど、「もうすぐ新幹線がくるよー」という時期に福井に行ったので、新幹線がやってくるのに向けて、駅ビルをきれいにしたり、商業施設ができていたり、式典の準備をしていたりと、このチャンスを生かして人の流れをつかもう、という想いが感じられました。
「新幹線」って、確かに、日本人にとってどこか特別な電車ですよね。
ただ、新幹線延伸にともない、名古屋から金沢までを結んでいた〈特急しらさぎ〉と、大阪から京都を経由して北陸を通り、金沢まで走っていた〈特急サンダーバード(昔は特急雷鳥って言いました)〉の運行が終わったそうです。
なんだか、釈然としない。
個人の事情は色々あると思います。北陸地方で生まれ育って京都の学校に行ったとか、親戚が名古屋にいるとか、息子が大阪で就職したとか、娘家族が東京に住んでいるとか。
そういう個別の事情に合うとか合わないとかの話ではなく、日本中どこでも、東京(または首都圏)とつながることを良しとする発想が、なんか納得できないんです。
平たく言ってしまえば、「東京から乗り換えなしで行けることが、そんなに大事か?!」と思ってしまう。
私は、父親が転勤のある仕事だったので、特に〈ふるさと〉と呼ぶような土地を持たずに育ち、それでも、両親の出身地から、心情的には関西エリアに親しみを持っています。ただ、今では人生で一番長く住んでいる土地は東京になったので、傍からみたら「東京のひと」かもしれません。
長く東京に住んでみると、ここには何でもあるけれど、〈ここにしかないもの〉が少ない、と感じます。確かに便利だし、人も情報も文化も、色々なものが集まってくる場所ではある。でも、幕の内弁当みたいな感じで、「色々なものをちょっとずつ、満遍なく」という感じがするんです。
比べる訳ではないけれど、「うちは、おろしそばだー!」「さばずしだー!」みたいな、その土地固有のものは、本当に魅力的だと感じます。とんがった魅力。だから「東京がなんぼのもんじゃい」と言いたくなってしまう。(いや、別に東京を批判したい訳じゃないんですよ。)
確かに首都圏は人口が多い。海外からの旅行客にとっても玄関口となる場合が多い。だから、首都圏からの交通アクセスがいいことが、人を呼ぶには必要なのかもしれません。
でも、首都圏とさえつながれば、それでOK、というのは、やっぱり納得がいかない。(そもそも、誰にとってのOKなのか、誰がOKって思ったのかも良く分からないのだけれど・・・)首都圏は日本の全てではないもの。首都圏とつながる(=新幹線延伸)代わりに、近畿や東海との人の往来を不便にしてしまってはいけなかったと思ってしまう。
まぁ、人の動きが変わったり、新しい産業が興ったりするのは、すてきなことだと思う。でも、その人の動きは、首都圏から全国に向かう放射線ではなく、もっと、あちこちで、人と人、土地と土地の行き来が盛んになったらいいと思うんだよね。