木村充揮 レッツゴー古希♪『One and Only ~僕は死ぬまで歌い続けるぞ!!!いいだろ?~』
3月24日(日)大阪フェスティバルホールの木村充揮 レッツゴー古希♪『One and Only ~僕は死ぬまで歌い続けるぞ!!!いいだろ?~』へ。
この日がちょうど誕生日、昨年から続く古稀祝いシリーズのファイナル・イベントだ。
ロビーからあったかいムード
噂には聞いていたが、座席数2700席。
赤じゅうたんのロビーを通り、3階席まである立派なホールを見上げる。
フェスティバルホールといえば、オーケストラからロック、ジャズ、演歌まで多くの伝説を生み出してきた場所。「天から音が降り注ぐ」との触れ込みどおり、音響のすばらしさでも知られている。
マイルス・デイヴィスの『パンゲア』やディープ・パープル『ライヴ・イン・ジャパン』はこのホールで録音されたし、Tさんによればイベントに憂歌団で出演したことがあるらしい。ジューシィ・フルーツが一緒だったというから80年代前半のことだろう。
ロビーには物販のほか等身大の木村さんパネルが2か所。
知人が「キムラ、でかなったな」と笑っていたので
等身というのは間違いかもしれませんが、とにかく皆さん楽しそうに記念撮影していました。
私もお言葉に甘え撮ってもらいました。
「オネエさん、もっと照明の方に顔向けたほうがエエよ」
と声をかけてくれるオトウさん。
この距離感。大阪に来たっていう感じがする。
かりゆしの夜で祝祭ムード
17時に予定通り暗転し、スクリーンがおりてきて、久本雅美、宮藤官九郎、トータス松本、Char、BEGINという錚々たるメンバーからのお祝いメッセージでスタート。
そしていよいよ幕が開くとそこに先ほどメッセージを贈ってくれたBEGINの3人がスタンバイしているという心憎い演出に、どよめきが起きた。
まずはBEGINが3曲披露。うち1曲は木村さんに贈るということで八代亜紀の「舟唄」だ。
温まったところで、さりげなく木村さんが登場。
みんな照れるのが分かっているから、簡単にハッピーバースデーなんか歌わない。その代わりBEGINから贈られたのは「かりゆしの夜」。客席にカチャーシーを舞う高く上げた腕が揺れる。
たった一人のフェスティバルホール
いよいよ、たった一人でステージに立つ木村さん。
この企画を耳にしたときからフェスティバルホールの舞台で一人歌う木村充揮が観たかった。聴きたかった。
「おかわり」の声お酒はもちろん、煙草もOK。
いつもどおりの木村さんをというスタッフ、そして会場の
心遣いが見える。
「夜明けのララバイ」がホールを流れ、しみ渡っていく。
さてさてこのあとは「秘密の」ゲストが次々にステージに登壇。
お祝いにかけつけたゲストたちと
大西ユカリさんとは「天王寺」を。
やっぱりユカリさんと木村さんが歌う「天王寺」は格別だ。
自分は大阪のもんじゃない。よそものなんだなと寂しさというか悔しさを感じる瞬間もあるけれど、歌を通じて自分の天王寺を生きてきたせいか「5月にゃ野音で春一番」のところで毎回、ぐっときてしまう。
勘違いでなければ近藤房之助さんは確か歌い始める前「オゼキの曲やろう」って言った気がする。尾関ブラザーズの尾関さんのことですよね。
永井ホトケ隆さんは「Ain't Nobody Business」から「嫌んなった」へ。
バッグを提げコートのままの金子マリさんは「さっき4時に着いたばかりよ」と言いながら大きな花束を渡す。曲はマリさん詞・木村さん曲による「ラリル」。人と人とをつなぐ信ずる気持ちの尊さと、言葉の危うさを感じていつも聞き入ってしまう。
有山じゅんじ さんはゲストはシークレットだと前置きされているにもかかわらず、ふらーっと下手から登場。ホールでもライヴバーでも変わらない。この予定調和ではない気負わない空気ががみんなをリラックスさせてくれる。曲はおなじみ「Let It Shine On」。木村さんはいつもどおりステージでお酒をおかわりしたり、煙草吸ったりしているし(許可をとったスタッフの皆さんすばらしい)ね。
三宅伸治さんのサザンソウル調ギターで始まったのは上田正樹さんが歌う「シカゴ・バウンド」。とキー坊の歌はさすがホール全体をがっちりつかんでいく。ここで木村さんが弾いたソロがまたクールだった。
木村さんのギターはブルースに負けてないから、ぐっとくる。
未来へつなぐロックンロールバンド
小休憩をはさみ、再びスクリーンにUA、negicco、斉藤和義、ザ・クロマニヨンズ、そして加山雄三という世代を超えた各氏からのお祝いメッセージ。
客席からも拍手が起こる。
幕が開いて、木村充揮ロックンロールバンドの登場。
私はこのバンドで立ってギターを弾き、立って歌う木村さんが好きだ。
年齢も憂歌団のキャリアも超越して、今この時、音楽をやってるのが好き!
という気持ちが伝わってくるからだ。
前田サラという若いサックスの恐れをしらないブロウも、木村さんを後押ししてくれる。
古稀ということでキャリアを追いかけて懐かしさでお祝いするやり方もあっただろうが、私には「今」の木村さんのエネルギーをラストに爆発させたこの構成がすごくかっこよく感じられたし、ここからまだまだ道は続くんだと実感できた。
全員でのアンコールから、「ケサラ〜CHE SARA〜」へ。
木村さんの声がホールいっぱいの人一人ひとりの人生を包み込む。
出会った人、別れた人いろいろな思いを乗せて
おめでとう、よりも、ありがとうと告げたくなるエンディングだった。