
函館に全国の技術知見が注がれる!YAPC::Hakodate 2024 参加レポート
MIERUNEの井口です。先週のPyCon JP 2024に続いて、北海道函館市で開催されたYAPC::Hakodate 2024に参加してきましたので、本記事にて参加報告いたします。
なお本イベントへは、弊社が社員のテックイベントや研修等への参加を促進するために実施している「スキルアップ支援」の補助のもと、参加してきました。
YAPC::Hakodate 2024
YAPCはYet Another Perl Conferenceの略で、Perlを軸としたITに関わる全ての人のためのカンファレンスです。 Perlだけにとどまらない技術者たちが、好きな技術の話をし交流するカンファレンスで、技術者であれば誰でも楽しめるお祭りです!
Perl由来のカンファレンスなのでPerlに関するトークがさまざまある一方、分野問わない広範なトピックのトークも多いため、私はPerlの経験がなく初参加でしたが、たいへん楽しく過ごすことができました。
バス送迎
会場のはこだて未来大学は市街地から離れた場所にあるため、函館駅から大学までの送迎バスがチャーターされていました。

会場


印象に残ったトーク
シェルとPerlの使い分け、そういった思考の道具は、どこから来て、どこへゆくのか?
UNIX・コンピュータの歴史を振り返りつつ、将来への示唆の述べられていました。「生成AIの登場によりジュニアエンジニアが食べていけなくなるのでは」というコメントは印象的でした。あとSHIROBAKO愛が伝わってくる脚注の圧が最高ですね。
プロファイラ開発者と見る「推測するな、計測せよ」 by Daisuke Aritomo (osyoyu)
900ページ超のオライリーを抱えてはるばる函館まで…。プロファイラとはあまり縁がありませんでしたが、思った以上に奥深い世界が広がっていました。
テストコードの品質を客観的な数値で担保しよう 〜Mutation Testingのすすめ
テストを「変異(Mutation)」させて失敗することを確認するというMutation Testという手法を学びました。品質の低いテストでもカバレッジを高くなることはあるわけで、Mutation Testを実行するかと別に、品質の高いテストを心がけたいものです。
ADRを運用して3年経った僕らの現在地 by Takafumi ONAKA (onk)
実際に取り組んでみたいと思ったのがこのトークで紹介されていた「ADR」でした。ADRは「Architecture Decision Record」の略で、その名の通りシステム設計における判断をその背景と併せて記録しておくものです。こういったドキュメントは、議事録的な価値に加え、設計に至る過程を明文化することで思考の整理・知見の共有に寄与すると考えています。
Keynote: Develop to Survive by @moznion
キーノートは特に印象的で、「チームとしての強さ」にフォーカスしがちであるが、チームは「個人」が集まって成り立っていて、「個人」に焦点が当たらないことに違和感がある、と。個人技を高める必要は依然としてあり、そのためには「とにかく書こう」と述べられています。
この発表を聞いて私は某課長のこのセリフを思い出しました。
我々の間には、チームプレーなどという都合のよい言い訳は存在せん。有るとすればスタンドプレーから生じる、チームワークだけだ。
全員がスタンドプレーしているチームというのも多分難しいのでその辺はアニメのセリフであることを割り引きつつも、「チームワークは個人技の上に成り立つ」という点で、同じ主張ではないかと思いました。
プロジェクトの成果や問題の要因に「個人技」はなかなか主張しづらいもので、ゆえにチームの成果や問題と捉えることは多く、これ自体は間違ったことではないと思います。一方で、十分な個人技があれば発生しない問題・得られる成果もきっとあるはずで、個人技を高めることもチームの強さに繋がると思います。
なんにせよ、とにかく書いていきましょう!Develop to Survive!
ランチ



懇親会

たいへん豪華なお食事でした(からあげをたくさんたべました)。
エンジニアの知人との懇親を深め、新たなつながりを得られました。
YAPC函館市電LT
メインイベントの翌日、「YAPC函館市電LT」なるサブイベントが予定されており、LT枠で突撃しました。

なおMIERUNEでは過去に、会社で札幌市電を貸し切ってドンちゃん騒ぎきわめて真面目なイベントをしたことがあります。
今回の函館市電LTでは、技術、コミュニティ、イベント運営、市電…さまざまなトピックのLTが市電の3区間内という制限時間のもと繰り広げられました。3区間の距離は一定ではないですし、交通事情で容易に伸び縮みする絶妙な時間設定であります。きっと函館市電はLTのために作られたのでしょう。そういえば同じような話がありー

なんと札幌時計台もLT会場として知られています。点と点が繋がってきましたね…!

カラオケ用に設置されているらしい、スピーカー類やモニターがたいへんよい味を出していました。終盤、前後で計2つあるモニターがひとつずつ故障していくドラマは他のどこででも味わえないでしょう。
なお私はSvelteKitを力の限り褒めるLTをしました。かつて、あるいは今後、あれほどの人間が「SvelteKit最高」と唱える市電は存在するだろうか(いや、ない)。
まとめ
普段はFOSS4G、たまにPyConのようなイベントに出ていますが、初めて参加したYAPCはこのどちらとも違った雰囲気がありました。いつもと違うところに行くと色々発見がありますね。みんな違ってみんな良いということで、日頃よく関わるコミュニティでの活動や社内カルチャー醸成の糧にしたいと思います。この度はイベント運営のみなさま、ありがとうございました!
