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DevRel/Japan CONFERENCE 2023で登壇してきました!

こんにちは!MIERUNEの古川(@Yfuru2454)です。最近の目下の個人的課題はVo2max(最大酸素摂取量)をどうやってもっと上げるか?です。もういっそのことボリビアとかに引っ越すのがよいのかもしれないですね。


それはさておき、2023年3月10-11日に横浜で開催された、DevRel/Japan CONFERENCE 2023 に登壇してきましたので、その模様を今回はお伝えしたいと思います。

参加者記念撮影(via.Twitter)

DevRelとは

DevRelとは、Developer Relationsの略で開発者との関係性をよくするためのマーケティング活動のことを指します。詳しくはこちらの記事にマンガがあります。

また、このほかにも様々な解説記事解説本などもありますので、こちらもどうぞ。

MIERUNEってDevRelやってたの?

さてこれまでMIERUNEでは「DevRelをやっています!」とはあまり前面に押し出してきませんでしたが、DevRelの考え方に沿った発信活動やマーケティングをここ数年重点的に行ってきた経緯があります。
とくにMIERUNEが得意とする位置情報という技術は、古典的な基礎知識と、最新の技術情報の両輪、そこに近年増加しつつあるオープンデータなどがからみつくという特殊な分野です。
ですので、お客様にも可能な限りこのような技術的背景や課題が共有できているところからスタートできると、双方にとって良い成果になることが多いです。

そのため、可能な限り開発的バックグラウンドがあるお客様に向けて、位置情報技術に関する背景や価値を真摯に示し続ける啓蒙活動がとても重要と考えていました。これら啓蒙活動は広義のDevRelにも入ると考えており、わたしはDevRelコミュニティの活動や勉強会は数年前から注目していました。

※おそらく「DevRel」という言葉を知ったのは新潟で開催されたCode for Japan Summit 2018のIBMブースにいらっしゃった職業「戸倉彩」さんとの何気ない立ち話だったように思います。その後色々と調べてみて「ああ、自分たちが目指す方向性に名前がついていた!」とにやにやしたものでした。

その後、2022年8月のDev/RelJapanCONFERENCE 2022をオンライン(サテライト)で拝見したところ、多様な技術情報発信、コミュニテイのサステイナブルな運営、社内への成長フィードバックなどといったMIERUNEに関係深い話題が多く紹介されており、これはぜひ機会があったら突撃登壇やオフライン参加&交流をしたいものだ…と砂漠のサンドワームの如く虎視眈々と狙っていたわけです。

2022年8月の札幌サテライト会場


その後、2023年のDev/RelJapanCONFERENCE はちょっと早めの3月にオフライン開催されるという情報をキャッチし、地方テック企業もDevRel頑張ってみたという雑く身も蓋もないタイトルで2022年末にCfP(発表募集)にエントリーしてみました。
このタイトルや内容に込めた考えとしては、エントリーに書いたこのような課題意識でした…

これからのDevRelを考える上で、この活動は都市部の大きい企業やだけのお話ではないかもしれません。MIERUNEのような特定分野の強みをもつ地方の企業が、創業以来継続的に情報発信やOSSコミュニティへの貢献を軸としたDevRelを行ったことで得られた学びや成果をみなさんに共有したいとおもいます。

DevRel/Japan CONFERENCE 2023古川紹介ページより

今回は「東京でも大企業でもないへーシャ、DevRel的な活動やれてますよ!」という紹介することで、似たような立場の企業さんやコミュニティの踏み台になってもらえればよいかな、という視点での応募を行いました。そこそこ応募数があったそうで、CfP投票をしてくださった運営の皆様の後押しもあり、無事に採択され現地登壇することができました、ありがとうございました。

札幌から横浜会場へ行ってみた

これまでは自宅や配信会場などからオンライン登壇を行うパターンが多数あったものの、コミュニティ参加者がワイワイいる会場での登壇は本当に久しぶりでした。このため、記録用の写真をほとんど忘れていたくらいだったのですが、ちょっとしたエピソードを紹介したいと思います。

なんかもうモリモリ

こちらは「ステッカーエクスチェンジ」という、各コミュニティや企業のステッカーを一箇所に集めて好きなもの持っていって!という一種のインタラクションスペースでした。

撮影時はカンファレンスが始まって1時間ほどで、積雪量ならぬ積ステ量=1cmくらいだったのですが、終盤は3-4cmくらいになっており、ステッカー好きのわたしは結構珍しいANACONDAやOctaCATの新種などをゲットしてニヤニヤしていました。

MIERUNEステッカー(作成秘話はこちら)

MIERUNEからもこのようなステッカーを持っていきまして、ポチポチ並べていると置いたそばからすぐGETしていく方が!

手に取りながら「ワオ、KANJIステッカーやん!」的な英語が聞こえたので話しかけると同時開催のDevRelCon2023のゲストの方でした。「これは日本の住居表示版のパロディだよ、あとフェイクの錆もついている」と教えるとゲラゲラ笑って数枚GETしていきました、漢字強い。あとインド系は住所好き(n=5)。
こんな面白コミュニケーションがとれたのもこのブースのおかげだったと思います。

Kanji is cooooool

その他会場の楽しそうな雰囲気を見たい方は#DevReljpハッシュタグをぜひ御覧ください。ヨーヨー強い。

オフライン登壇と大きな学び

私はDay1のビジネス・マーケティングデーでの登壇でした。昨年末にnoteに掲載した発信にかんするまとめがベースだったのですが、ハイコンテクストになりすぎないように、いろいろ分解再構築をおこなってまとめてみました。

会場では想像よりも多い生身の群衆の目前、しかも知り合いほぼ皆無という久々の演台はなかなかプレッシャーがかかりましたが、講演中はみなさんの頷いたり笑ったりといった反応が心地よかったです。会場で聞いてくださったみなさま、Tweetに上げてくださった皆様ありがとうございました。

なお、最初のツカミは猛烈にスベったので、次回からはクリックタイミングをリハでちゃんと確認しようと思いました。まあでもこういうビターな忸怩たる学びをガッツリ与えてくれるのもオフラインならではですね。

ツカミをスベったわりには、登壇後に数人の方が名刺を持って「ウチもこういうのやりたかったんですよ!」など、アツい感想を肉声で伝えてくださったりして嬉しかったです。また、お礼にレアなキーボードキャップや謹製マステを渡せたりして「あああ、ワイはオフラインコミュニティイベントの娑婆に帰ってきたんだ…」と実感せずにはいられませんでした。みなさま重ね重ねお礼申し上げます。

また、発表は質疑込みで20分+休憩&交流タイム10分というスケジューリングはこのようなコミュニケーションやインタラクションをとるにはとても良い設計であったので、自分たちのイベントにも今後生かしていきたいと思いました。

金言メモ

他のみなさんの発表…たとえば技術広報やコミュニティのありかた、チームワーク、採用などなど、今後のDevRel的振る舞いに多いに役に立つ内容でした。スライドはこちらにまとまっています

なお、プレゼン芸人的には、事前に配布されたスピーカーガイドに「フォントは24pt以上を推奨します」との記載があり「おおわかってる!」と感激したものでした(小さすぎると大変趣深いこんなスライドになります)。
あと、登壇したらすぐUPする文化が普通に浸透しているのも良いコミュニティだなーと思っていました。

みなさん「発表終わったらすぐUPするでしょフツー」的ムーブが
かっこよかった

すべてを紹介するのはちょっと大変なので、金言としてNotionに記録したごく一部をここにピックアップしておきたいと思います。
たとえば…

情報を出し惜しんでいる会社は存在していないのと同じである

DevRelで理解・共感・行動の連鎖を起こすには?
小島さん


多くの方々が発信の重要性について何度も述べられていましたが、その中でも基調講演での小島さんのこのフレーズはいきなりヤラれました。

参考までに、これは私がオープンデータ漫談でよく引用するグラフです

総務省令和4年版通信白書より(単位はGbpsだよ)

動画データなどがあるとはいえ、濁流のごとく一秒間に総計30Gbもやり取りされている情報過多ななかで、積極的に何も発信しないで「まーいいことやってるから、いつかわかってもらえるよね…」という「いつか」はほぼやってこないのでは…と考えています。
そのため、発信しない会社は存在していないのと同じ…とはとてもしっくりきた言語化でした。

アウトプットしないのは知的な便秘!

継続的コミュニティマネジメントとアウトプット
吉江さん

情報を頭の中に溜め込んでいるとなんだか脳内がいっぱいになる違和感が増えていきます。この現象を吉江さんは「便秘」と一見アレだけど理解しやすい言語にすることで多くの方に理解できる道筋を作ってくれたと思います。

以前社内でも「なぜわたしたちはアウトプットするのだろう」という話題が出た際にも話してたのですが、脳外…つまりインターネットの海に情報をアウトプットすると、そのぶん脳内リソースが空いたような余裕ができ、そこにあたらしい知識がインプットとしてするりと入ることがよくあります。わたしはこれをトコロテン現象と勝手に名付けています(ちゃんとした名前があったら教えて下さい😅)。

天突きで押し出されるところてん
Photo by tjabeljan CC BY 2.0

また、壁にぶち当たってググるとまるで同じ疑問にぶつかって悶絶しながら検索したあげく、うまく解決している人がいる!…と思ったらその記事を書いてたのが実は昔の自分だったという経験をされた方もいるかもしれません(命名:すごいぜ昔のオレ現象)。このようなことを経験していると、より情報発信の重要性にも理解が進むと思います。

また、MIERUNEはオープンソースコミュニティから産まれ、世界中のオープンソースの技術情報や文化に大いに助けられてきました。

地方テック企業もDevRel頑張ってみたより

オープンソースへの貢献において、収奪的焼畑農業から脱却してサステイナブルな成長支援を行うことは重要なテーマです。 つまり情報を吸い取って利潤を追求するだけでなく、どうすればコミュニティや次世代にも資源を残すことができるのかという観点からも「継続的な情報発信」による参加は今後も重要なムーブメントであることをより一層思い知ることができました。

DevRel Japanでは、このお二人の他にもたくさんの方々が情報発信とその成果に関するお話を話されていました。このことから私達MIERUNEがこれまでやってきたことが「暗中模索」から「ひとつの確信」に変化したことは大きな収穫だったと思います。

オフラインイベント or  オンラインイベントについて

情報発信の他に印象に残った話題として、「オフラインイベント or オンラインイベント(ハイブリッド)」についてでした。
「おだしょー」さんによるオフライン → オンライン → ハイブリッド コミュニティ運営の答え合わせの発表は、いわば戦前世代的なコロナ禍前のコミュニティイベントでの「熱量」を知る者として、大変示唆に富む内容でした。

オン/オフなどという手法を検討する前に、本来それぞれのコミュニティが目指すゴールはどこなのか?…をこの機会にもう一度考え直してみるきっかけとしてはというメッセージとても腑に落ちました。

上記の吉江さんでの発表やそのあとのおしゃべりでも関連するのですが、ドラッカー言うところの「顧客は(どこのどんな)誰か?」という根源的な問いかけにも関連するとおもいます。DevRelでもビジネスでもコミュニティ活動でもご近所付き合いでも「なぜ?」「何のために?」「誰のために?」などといった根源的な問いかけ直しはいつも続けていかなくてはいけない…ということを再認識しました。

この興味深いセッション後、頷きすぎて105度くらい曲がってしまった首を伸ばすために廊下に出る寸前、演者のおだしょーさんが新参者の私にむかって「いやーすごい笑って頷いてくれてありがとうございましたー」と急にお声掛けくださったのは驚きました。なんというオープンマインド!
立ち話ではあるものの今後のイベントや方向性についてフジロック配信の例などもふまえ5分ほどあれこれ意見交換もできたのもオフラインならではの嬉しいハプニングでした。

また、ariakiさんによる技術書同人誌博覧会運営に関する様々なご苦労は深く胸に刺さる内容でした。

とくに「技術同人誌」という物理的アイテムをキーとして出展者と来場者でのコミュニケーションを重要視してきた技術書同人誌博覧会のコミュニティとしては、コロナ禍における度重なる中止や規模縮小などで大変ご苦労されたお話でした。
終盤ariakiさんがフトおっしゃった「今年は運営の"リハビリの年"ですね」という言葉がとても心に残りました。

昨年のDevRel/Japan CONFERENCE 2022 で衝撃的だったのは(うろ覚えですが)「海外のカンファレンスではほぼオフラインになっていて、リアルコミニケーションに皆さん飢えていたようです」というトークセッションでのフレーズでした。

(たぶんここの福崎さんのお話だったかな…まちがってたらごめんなさい)

ステッカーエクスチェンジでの交流、拍手、爆笑、乾杯、ちょっとした雑談など、今回五感に響く様々な刺激や出会いは、これまで液晶ディスプレイに映った参加者や流れていくチャット欄に向かって薄暗い自室でプレゼンしていた状況と比べ物にならないくらい別の体験であったことを思い出させてくれました。

もちろんオンラインは遠隔地から気軽に参加できたり、運営コストも低いなど多数メリットがありますし、自分自身もたくさん享受してきたとおもいます。
でも「熱量(Groove)」を浴びることはオンラインではかなり難しかったんだということを今回痛感させられました。リビングでフジロック中継見てビール飲んで熱心に踊ってるような物足りなさといいましょうか。

無論オン・オフについて何ら明確な答えはないと思います。私達も含めコミュニティはまた焼け野原で「なぜ?」「何のために?」「誰のために?」などといった根源的な自問自答しながら「正解っぽい何か」にむけてあっちこっちへと少しづつ転がしていくチャレンジを継続していくしかないのではないか…とも考えています。


終わりに

まだまだ書き足りないことはたくさんあるのですが、このまま書き連ねていくと(気持ち的に)30Gbpsを更に超えそうな分量になるので、このくらいでおさめておきたいと思います。

DevRel/Japan CONFERENCE 2023 イベント、参加して本当に良かったです。

人との強固なつながりもできたし、日々自分が感じている課題についてもより深く考えることもできました。また、関連する他のイベントにも顔を出したり、自分たちのイベントにも今回知り合った方をお呼びしたいとも考えています。東京以外の方やビギナーの方、コミュニティを運営されている方も機会があれば参加することをおすすめします。

また、コミュニティイベントを運営してた身からすると、カンファレンスの開催って鼻からスイカ産むぐらい本当に大変なことだと思います。
しかもコロナ禍で環境やマインドががらっと変わってしまった現在、ほぼリプレイスに近い作業でオフラインイベントを実施することは、多くの参加者によるオープンでポジティブなマインドだけでなく、運営側の高質なチームワークがなければ成し遂げれなかったのではないでしょうか。
これもひとえに、Atsushiさんを始めとした運営チームみなさまの力量、そしてスポンサーの皆様のご支援が多数あったからと思います。
本当にありがとうございました、お疲れさまでした。


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