医療広告規制に違反していませんか?ー最近のニュースより(20.7.2)
最近のニュース
最近、医療広告に関してこのような記事が掲載されていました。
(有料会員向けの記事ですが、途中までは読めます)
2019年度だけで、1137サイトが医療広告規制に違反していたそうです。これらのサイト運営側には、厚労省は注意喚起を行っていることを明らかにしました。
また、記事によると医療広告に関するネットパトロール事業の概況によると、1万300サイトの通報を一般から受け、医療広告関係で審査の対象となったのが、1044サイトとのことです。
そもそも医療広告規制とは?
改めて、医療広告規制とは何かについて少し。医療機関には、医療情報の特性上、広告に一定の規制が設けられています。
以前こんな記事を書きました。
この記事を簡単にまとめますと、そもそも医療は広告が禁止されていて、ある項目に限って広告しても良いよ、というのが国のスタンスです。
医療広告をみて、医療を受けて大きなリスクを負うのは患者さんです。そのため、患者さんの健康を守るためにも、医療機関が医療広告をすること自体「医療広告ガイドライン」によって規制しています。
医療広告規制の動き
さて、先ほどの記事に戻りますが、国として医療広告が適正に行われているかどうかをチェックしている実態が、この記事で明らかになっております。
そして、医療広告ガイドラインに照らして、内容が適正かどうかチェックしていたこと、そして注意喚起だけに留まらず、その後もウォッチしていたことが明らかになりました。
規制よりも大切な視点
医療機関によっては、医療広告に関するコンプライアンスを知らぬままに、独自の判断でサイト運営してしまうことがあります。良い記事だと思って載せた、といううっかりパターンもあると思います。
実はこの医療広告規制のお話は、「国からお咎めを受けるからコンプライアンスに則ってサイト運営を行わなくてはならない」というルール以上に、もっと大切な視点がございます。
少し説明します。
もともと広告には、患者さんに自分達の医療機関を選んでもらいたい意図が盛り込まれますから、ついうっかりと誇大広告を掲載してしまうことがあるでしょう。
ただ一方で患者さんは、この医療広告をみて、その広告を信じて、サービスを選びます。もし「がんに効果的な薬があります」なんて、誇大広告を掲載した場合はどうでしょうか。
本当はそんな効果は全くないのに、信じてサービスを受けてしまった場合、その薬を服用して、健康を損ねるなど、取り返しのつかない被害を受ける恐れがあるのは、患者さん本人です。
つまり、医療広告規制によって、国はその情報弱者である患者さんを守ろうとしているわけです。
またコンプライアンスを意識したサイト作りは、患者さんに対して医療機関の真摯な姿勢を示すことになります。
医療機関のみなさん、特に広報担当のみなさん、一度サイトの内容が医療広告ガイドラインに沿ったものか、改めてチェックしてみては如何でしょうか。
厚労省のサイト「医療法における病院等の広告規制について」のリンクは下記の通りです。最新の国の動向についてもチェックできます。
※2020年度内に、医療広告規制に関する事例解説書が作成されるそうです。改めて出たタイミングで解説できればと思います。