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一人暮らしのはじまり


大学受験

自分にとって、結構大変だった高校生活が終わった。
今でも覚えてる。高校の卒業式の日。
周りの同級生たちが、思い思いにクラスの友達や先輩後輩などと記念写真や卒業アルバムに寄せ書きをしてもらってるのを横目に、ボクは誰に呼ばれることもなく、ひとり(ちょっぴり周りのこのような状況を羨ましく思いながら)帰る支度をしていた。
ボクが2年生の時に同じクラスで後ろの席になった男の子を見かけた。
彼は、後輩の女の子から告白をされていて、その女の子はどうやらその場でフラれたらしい。泣いていた。
その柔道部だった彼。カスミ君。ちょっとボクも憧れていた。
長身で、ちょっと眠そうな(ガチャピンのような)目をしていた。全体的にバランスの取れたスタイルをしていて、男前だった。

自分にはもしかしたら、この「進学校」は、合わなかったかもしれない。
高1では、なんとか授業に食らいついていったけど、
高2では、クラスに馴染めずうつ病発症。ストレス過多だったと思う。

高3で、「大学進学」への思いが強くなり、巻き返しを図った。
放課後も教室や自習室に残り、一人受験勉強をした。
数学や化学などのいわゆる理系科目が滅法苦手で、得意科目や得意でなくても好きな科目を中心に、頑張って勉強した。
高2の時は、学年の三分の一はほとんど勉学に手が付けられなかったから、逆転目指してほんとに頑張ったと思う。

センター試験(現在の大学入学共通テスト)では、あまり振るわなかったが、自己採点をもとに自分の成績でも受けられる大学を探した。
・国公立大学
・歴史や考古学が学べる
・一人暮らしができるくらい実家から離れている
上記が主に、当時のボクの大学に求める条件。

ボクは中国地方のS根大学の法文学部を前期後期とも志望大学とした。

ひとつだけ、隣県の「文学部文化財学科」があるのN良大学が、私立では受かっていた。S根大学が落ちたらこのN良大学に進学するつもりだった。

合否発表の日

大学の前期試験が終わり、高校の卒業式を挟み、高校を卒業しても、ボクは高校に自主登校し、後期試験に向けて勉強していた。

小論文や論述の試験対策で、例えば、「律令国家について、下記の単語を用いて400字で論述する」問題などの問題を解いて、先生に添削してもらっていた。

ウェブで合否が分かったのだが、その当時家にはPCがなく、ネットも引いてなかったので、高校の先生に確認してもらった。
結果は・・・

第一志望の「S根大学 法文学部」に合格していた。
ほんと嬉しかった。自分の努力が報われたと思った。

ボクの通っていた県内屈指の進学校では、東大京大に何人も合格していたし、ボクのような地方の国立大学に進学する人の方が、肌感では少なかったように思う。
でも、ボクは、自分の合格を誇らしく思った。
これから始まる、一人暮らしの4年間に希望を抱いた。

中国地方の地方都市での一人暮らしのスタート

三重県から西へ西へ。
前期試験では、JR岡山駅まで出て、そこから「特急やくも」に乗って向かった地方都市の県庁所在地。

S根県M江市は、住んでみるととても住みやすい良い街だった。
大橋川や、しじみで有名な宍道湖(しんじこ)を擁し、まさに水都と謳われるに相応しい街だと思った。

「弁当忘れても傘忘れるな」
日本海側気候で、冬はどんより、曇りの日が多くどことなく湿気が多かった。雨の日も多い。

「携帯」「パソコン」「文明の利器」

一人暮らしを望んだのは、ひとりで生活してみたい、という好奇心も勝っていたと思う。自炊したり、部屋を自分好みにしたり、希望が膨らんでいた。親から仕送りをもらっていたボクは、まったくそんなことはないのだけど、「自立」したいと思っていた。
今思えば、息子二人に一人暮らしをさせてくれ、その上仕送りをしてくれた親ってすごくないか?(息子二人と書いたが、ボクには双子の弟がいる)

経済的に、そして精神的に「自立」できているか?と問われたら、今でもいささか疑問符が付くが、当時の「バカな」自分は、「一人暮らし=自立」と思っている節があった。

大学進学を機に、携帯を契約し、大学生協でPCも買ってもらい、ネットも部屋に引いた。

一人、アパートの部屋で、PCの検索窓に
  
 「男同士␣セックス」
 「男のセックス」
 「男␣裸」
 「ゲイ」

と検索しまくった(のを覚えている)。
そして、出てきた画像や動画に興奮して、やっぱりボクは、男の人が好きなんだ、と確認できた。
でもこれは、軽々しく他言できないし、「墓場まで持っていくべき問題」と、当時のボクは真剣に思っていた。

性自認は「男性」で性的指向も「男性」です

性自認も、性的指向も、ゲイという言葉も、2002年に大学に入学した当時のボクは知らなかったし、馴染みがなかった。
「ホモ」という言葉は知っていたけど、「ゲイ」という言葉には馴染みがなかった(と記憶している)。

上記の見出しは、
❝自分は自分のことを「男」だと思っていて、恋愛感情や性的魅力を感じるのも「男」❞
だということを表している。

つまりは、男性の同性愛者=ゲイ(Gay)である。

ボクの大学生生活は、自らの性自認と性的指向を確認することから始まった。


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