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デジタルファッションってどうやって作るの? 【プリーツ編】

peak silenceの3人によるリレーコラムです✍️
今週はMIEMの当番です。


peak silenceでは、リアルファッションとデジタル表現を融合させながら、新しいスタイルを探っています。

今回は3DCGを使ったデジタルファッション制作について解説します。
最終的な見た目は同じでも、そこに至るまでのプロセスがたくさんあるのも3DCGの特徴です。


peak silenceの場合、ROROの2人がデザインやコンセプトを考え、MIEMが3DCGで形にし、3人でブラッシュアップしながらより精度の高い表現へ落とし込んでいくスタイル。

アイデアの共有にはFigmaを活用。
オンラインミーティングでは、リアルタイムにペンを走らせ、その場で操作しながら意見交換をし、細かいニュアンスの調整も含めMTG内で決定しながら進めています。

Figmaはアイデアやメモを共有する場としても便利

デジタルの世界でもこだわる「生地の質感」や「着心地」

リアルなアパレルブランドを手がけるROROは、デジタルの世界でも「生地の質感」や「着心地」にとことんこだわり、極限まで追求します。
その視点が加わることで、デジタルでも着用可能なリアリティのあるイメージに仕上がります。
自分にとっても新たな発見やチャレンジの連続です。

デジタル上で服を作る身としては、そんな細かいところまで気にしたことがなかったので驚くことばかり。
でも、意識の向け方が変わったことでクオリティが格段に上がっていくのを実感しながら日々作業しています。

自分一人の作業だと、今ある思考と技術の範囲内でしか作らない(作れない)ので、異業種の仲間とのクリエイティ部活動は、まるでスポーツジムのパーソナルトレーナーのような…
自分の限界を越えさせてくれる存在だと感じながら作業しています(笑)
(3DCGのスキルアップにはかなりおすすめです💪)

パーソナルトレーナー側の話はこちらの記事から👇


プリーツ生地の制作実践編

今回は生地についての話です。
3DCGでプリーツ生地をどのように表現するか実践を交えて解説します。

デジタルファッションの世界では、テクスチャやディテールの表現が作品の印象を大きく左右します。
その中でも、プリーツ生地の再現は特に難易度が高いと感じます。
ただその分、完成した際の美しさが一際目を引く部分であるのでやはりここはこだわり抜きたいです!

プリーツといえばISSEI MIYAKEが有名ですね。

ちなみにプリーツ生地とはこんな生地です。

一言でプリーツといっても生地の折り方によってデザインも様々。

質感をしっかり確認したくて、百貨店に何度も足を運びました👀
デジタルで作るからこそ実物を観察するのはすごく大切です。

中でも新宿伊勢丹3階のフロアは学びの宝庫でいくら時間があっても足りません。


普段何気なく着ている服や靴も、意識して細部に注目してみると、重なりの部分や、織りの継ぎ目など、一体どうやって作られてるんだろう?と驚くことがたくさんあります。

これを読んでいる皆さんも今着ている服のディティールを見てみてください🔍

凄すぎてよくわからなくなるやつ↓↓↓↓↓
紙版画の技法を使って作られているそうです。


それではデジタルファッションにおけるプリーツ表現の方法を紹介していきます!

まず始めに、AdobeのSubstance 3D Assets等で素材を探してみたのですが、プリーツ生地そのものは見つかりませんでした。

便利だけどなかなか理想のものは見つからない…
クライアントワーク等には向いてそう

そこで、参考写真をもとにオリジナルのプリーツ生地を制作することにしました。


1. マテリアルで表現する

  • 使用ツール: Photoshop → Substance Sampler

  • プロセス: 写真からプリーツのテクスチャをPhotoshopで調整し、Substance Samplerで入れることでマテリアルが完成します。
    (AIでいい感じに調整してくれるからすごい🧠)

  • メリット: 作業が比較的簡単で、素早く結果を確認できる。

  • デメリット: 細かい調整が難しく、ディテールの再現に限界がある。

今回参考にしたプリーツ生地の現物サンプル
写真に撮ってPhotoshopであれこれやって正方形にする

※あれこれ:傾き調整、左右反転、複製、色補正

Substance Samplerでマテリアル化

予想以上にそれっぽく表現できました!


2. モデリングで表現する①〜③

①Marvelous Designer

  • プロセス: 布のシミュレーションを行い、自然なプリーツを生成する。

  • メリット: リアルな布の動きや質感を再現できる。

  • デメリット: シミュレーションに時間がかかる場合がある。重力に逆らっているような表現もできなくはないが、今回は一部分だけがそのような表現にしたかったので、全てをMarvelous Designderで作るのは難しいと判断。(もしできる方法があったら教えてください…!)

プリーツ専用のツールが準備されているので作りやすい

②Cinema 4D

  • プロセス: 手動でモデルを作成し、細かいシワや形状を作り込む。

  • メリット: 自由度が高く、細部まで表現できる。

  • デメリット: 作業負荷が高く、データが重くなりやすい。また途中で変更がしにくい。

好きな形で作れるので自由度は最も高いが…

ZBrushで作る手もあります。
と、いろいろ書き始めたものの実は作り方がいくつもあります。

完成したものだけをみると違いがわからないかもしれませんが、使用するソフトや機能などを使い分けることで作業効率も大幅に変わってきます。


3DCGは時間との戦い!!

ちなみに、自分の場合モデリング作業が全く苦になりません。
時間があるなら永遠にやっていられるのできっとこれは天職だと思っています。

モデリングとはデジタル空間で立体的な形を作っていく作業です👇

理想の生地のマテリアルが売られているならそれを購入しカスタマイズをしていくのもありだと思っています。全てを完全にゼロから作る必要もないし、AIなどを活用しながら効率化していくことにも賛成です。

現在、peak silenceのファーストコレクションを製作中ですが、最終的にプリーツを使用する部分は折り目が見えるか見えないかわからないくらいに細かい部分になるかもしれません。

しかし、その細部にこだわるプロセスが作品のクオリティを支える重要な部分なので手を抜くことはできません。
完成した際にはどの部分で今回のプリーツの表現が使われているのか、ぜひ探してみてください!


今週のサウンドトラック

最後に制作中に聞いていた曲をシェアします。
昨年リリースされた1st EP「半神」は個人的に2024年のベストでした。

2025年は満を持してVirgin Babylon Recordsからリリースということで、好きなアーティストが好きなレーベルからリリースされるのは嬉しいですね。

森谷抱擁 / 貴方の森


デジタルファッションスタジオ
peak silence

https://x.com/peaksilence_st
https://www.instagram.com/peak.silence/
https://www.youtube.com/@peaksilence.studio


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