なぜ立候補者が増加したのか考察してみた
はじめに
2024年に行われる東京都知事選では過去最多となる、56人の候補者が告示された。ではなぜ、候補者がこれほどまでに増加することになったのかを考察していきたい。
立候補者数が増加した要因
①有権者が1100万人を超える日本最大の首長選であることに加え、2012年に石原慎太郎都知事(当時)が任期途中に辞職したことに伴い、統一地方選挙(※1)から外れて単独で実施されるようになり、注目度がさらに高まった。
②特定の政党による複数の候補者の擁立・自身や団体の知名度向上のための出馬
以上2つの要因が考えられる。
(※1)統一地方選挙とは、地方自治体の知事や市区町村長と議員の選挙を投票日を統一して全国一斉に行う選挙です。1947年から4年ごとに行われてきました。総務省は統一地方選挙の目的について「投票日を全国で同じにすることで、国民の選挙に対する関心を高めることや、選挙を円滑に効率的に行うこと」としています。また、複数の選挙の投票を同じ投票所でできるため、投票所を借りる費用などの経費を抑えることにつながるということです。首長が任期途中で辞任したり、議会が解散したり、市町村合併が行われるなどして次第に選挙日程が変化し、回を重ねるごとに、統一地方選挙の対象から外れる自治体が増えていきました。100%統一されていたのは、第1回の1947年のみです。統一地方選挙は前半戦と後半戦に分かれており、前半戦では、知事や道府県議会議員の選挙、政令指定都市の市長選挙と市議会議員選挙が行われ、後半戦では、政令指定都市以外の市区町村長選挙と市区町村議会議員選挙が行われます。[2]
要因① 注目度の高まり
まず①の動向について考察する。東京都は日本の首都であり、今年の1月時点で総人口は1400万人を超える。また、日本を代表する企業もその本社や拠点を置き、かつ、官庁といった公機関の多くがおかれている。さらには東京都の予算(一般会計+特別会計)はおよそ16兆円あり、欧州の中堅国にも匹敵する規模である。
このような理由から東京都知事のポストの重要性は増し、かつ、そのポストをめぐって名乗りを挙げる人数が増えることは当然のことである。また、地方自治体の知事や市区町村長と議員の選挙を投票日を統一して全国一斉に行う選挙である統一地方選から石原慎太郎知事の任期途中での辞任のために外れて東京都知事選が実施されることもメディアからの注目度が上がる一因である。[1],[3],[4]
要因② 特定の政党による複数の候補者の擁立・自身や団体の知名度向上のための出馬
次に②の動向について分析する。特定の政党による複数の候補者の擁立・自身や団体の知名度向上のための出馬が56人の出馬の主な要因だろう。異常は2020年から起きていたと分析ができる。2020年の東京都知事選では、当時は過去最高の22人が立候補した。オリンピックやコロナが大きな課題になった時期でもあり、社会的に多くの意見があったのは事実だがそれだけでは候補者の増加の説明がつかない。この選挙では一つの政党が複数の候補者を擁立する動きが見られ、また、著名人や一部で有名な人物が立候補するなどこの選挙は大いに注目の的になった。[3],[4],[5],[6]
おわりに
そして2020年から4年後の2024年の都知事選では56人の立候補があった。毎日新聞(2024年6月20日掲載)は「寄付者に自身のポスターを掲示する権利を譲る計画を公表した政治団体「NHKから国民を守る党」が、関連団体も含めて計24人を擁立した影響が大きい」と分析している。これは動向①と長期政権の小池氏に対する反発の流れもあるが、動向②が主な候補者倍増の要因であると分析できる。
立候補者数が過去最多を更新した今回の都知事選挙、候補者数の増加がこれからも続くのか今後も注視していきたい。[3],[4],[5],[6]
[1]朝日新聞”【そもそも解説】東京都知事選告示 人口1400万人超の予算規模は”https://www.asahi.com/articles/ASS6N444QS6NOXIE013M.html
2024年6月21日掲載
[2]NHK政治マガジン”ねほりはほり聞いて!政治のことば”
https://www.nhk.or.jp/politics/kotoba/93955.html
[3]読売新聞“都知事選、全22回で延べ314人立候補…知名度が勝敗を左右”https://www.yomiuri.co.jp/election/tochijisen/20240627-OYT1T50084/
2024年6月27日掲載
[4]読売新聞“東京都知事選挙の候補者数、過去最多22人を上回る…大幅に更新の見込み”https://www.yomiuri.co.jp/election/tochijisen/20240620-OYT1T50054/
2024年6月20日掲載
[5]毎日新聞“東京都知事選、過去最多の56人が届け出 争点は小池都政の評価”https://mainichi.jp/articles/20240620/k00/00m/010/295000c
2024年6月20日掲載
[6]東京都選挙管理委員会事務局"東京都知事選挙(令和2年7月5日執行)開票結果”https://www.senkyo.metro.tokyo.lg.jp/election/tochiji-all/tochiji-sokuhou2020/result/
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