岸田文雄氏の経歴と公約を徹底解説！

はじめに

9月29日に投開票が行われた自民党総裁選で岸田文雄氏が新総裁に選出されました。10月4日、衆参両院の本会議での総理大臣の指名選挙が行われ、第100代の総理大臣に自民党の岸田総裁が選出され、岸田内閣が発足しました。

本記事では岸田氏の経歴と公約について解説していきます！
まずは、総裁選の振り返りから。

総裁選の振り返り

9月3日に菅総理は退陣を表明し、17日告示・29日投開票の自民党総裁選への出馬を見送りました。
菅総理大臣の後継を選ぶ自民党総裁選挙は河野太郎氏、岸田文雄氏、高市早苗氏、野田聖子氏の4人の立候補で行われました。結果は

▽岸田氏が国会議員票146票、党員票110票の合わせて256票
▽河野氏が国会議員票86票、党員票169票の合わせて255票
▽高市氏が国会議員票114票、党員票74票の合わせて188票
▽野田氏が国会議員票34票、党員票29票の合わせて63票

この結果、4人の候補者のいずれも過半数を獲得できず、1位の岸田氏と2位の河野氏の上位2人が決選投票に進みました。
決選投票の結果、

▽岸田氏が国会議員票249票、都道府県票8票の合わせて257票
▽河野氏が国会議員票131票、都道府県票39票の合わせて170票

河野氏を抑えて、岸田氏が新しい総裁に選出されました。

経歴

2007年に内閣府特命担当大臣（福田内閣）の沖縄及び北方・国民生活・科学技術政策・規制改革担当となりました。
就任時に「岸田大臣室の心得」を定めて現場主義を掲げ、沖縄及び北方担当大臣として離島地域に数多く訪問しました。

2008年には、消費者行政推進担当大臣（福田内閣）となり、消費者のための行政事業として消費者庁新設を実現します。

2012年～2017から外務大臣（第二、三次安倍内閣）を担当し、連続期間として戦後最長の４年８ヶ月の在任となりました。岸田氏が外務大臣を務めるときに国連でSGDsが採択され、「誰一人取り残さない」をモットーに活動します。

2017年には防衛大臣を兼任し、『核兵器のない世界』に向けた取り組みを前進させる決意をもって活動します。

2017年～2019年には、自民党の政策責任者で、いわゆる党三役のひとつとされる自民党政務調査会長を務めます。
政務調査会は
　　・自民党の政策の調査研究及び立案を行う
　　・選挙の際においては、自民党の公約を取りまとめる
という役目を持つ役職です。

岸田氏の経歴についてはこの動画もチェック！↓

公約

岸田氏の公式HPでは総裁選に向けての公約が公表されています。

画像を使いながら岸田氏の公約を分かりやすくまとめていきます！

岸田文雄 総裁選特設サイト 声をかたちに。信頼ある政治 自由民主党総裁候補 岸田文雄

まず、岸田氏は「自民党のガバナンス改革」として、以下の四点を掲げています。

「比例73歳定年制」は小泉政権から適用された自民党独自の決まりであり、『73歳以上の衆院選候補者は比例代表への重複立候補が認められず、小選挙区で敗北した場合、比例復活当選ができないこと』です。岸田氏はこの制度を堅持することで、党内の「世代交代」を狙っていると分かります。

また、役員任期を「1期1年・連続3期」と定めることで、3年より長く同じポストに在任することを阻止する考えを示しました。この公約については、幹事長在職5年を超える二階俊博氏から批判が上がっています。

他に、憲法改正については『国民の幅広い理解を得て、新しい時代の変化に対応した憲法改正を目指します』とされています。

3つの約束と3つの政策

岸田氏は公約内で「3つの約束」と「3つの政策」を掲げています。

1つ目の約束である『「国民の声」を丁寧に聞く』ことを全ての出発点するとして、岸田氏は「岸田BOX」の取り組みを継続しています。

3つの施策について、以下で詳しく紹介していきます！

①コロナ対策

コロナ対策の心構えとして「2つの原則」と「当面のゴール」を決めています。
岸田氏本人による説明と最悪を想定した危機管理を原則とし、インフルエンザのように従来の医療体制で対応可能なものにすることを当面のゴールとしました。

また、具体的な政策として「岸田4本柱」を掲げています。

「ステイホーム可能な経済対策」として、
①来年春までを見通せる家賃支援給付金・持続化給付金、地域や業種を限定しない事業継続支援の実施
②コロナでお困りの皆様への給付金を支給
③学校休校に伴い仕事を休まざるを得ない親御さん向けの臨時的な休業手当の創設
を挙げています。

また、「感染症有事対応の抜本的強化」として、3点が掲げられています。
①人流抑制や医療資源確保のため、国や地方がより強い権限を持てるために法改正
②公衆衛生上の危機発生時に、国・地域を通じた強い司令塔機能を有する「健康危機管理庁（仮称）」を創設
③「臨床医療」「疫学調査」「基礎研究」を一体的に扱う「健康危機管理機構（仮称）」の創設

他にも
・11月中に希望者全員へのワクチン接種を完了
・新型コロナの感染症法上の位置づけを変異株ごとに変えるなど検討
・コロナに関係する感染者・病床・ワクチンなどの情報を積極的に公開
など様々な対策を掲げています。詳しく知りたい方は岸田氏の公式HPから公約PDFを見てみましょう。

②新しい日本型資本主義（新自由主義からの転換）

岸田氏は『新自由主義的政策は持てる者と持たざる者の分断を生んできた』とし、「新しい日本型資本主義」構想会議（仮称）の設置を掲げています。

「新しい日本型資本主義」についてはこちら
（岸田新総裁が提言する「日本型新資本主義」とは？ 看護師や介護士ら所得引き上げも…目指すは“成長と分配”, yahoo）
より詳しい資料はこちら
（新しい日本型資本主義 ～新自由主義からの転換～衆議院議員・岸田文雄）

「成長戦略」と「分配施策」について、それぞれ「4本柱」が建てられています。

「科学技術立国」の政策として、投資・研究開発・人材育成など未来への投資を積極的に応援する大胆な税制を実現することが掲げられています。また、再生可能エネルギーの一本足打法ではない、原発再稼働などを含む「クリーン・エネルギー戦略」の策定も挙げられています。

「経済安全保障」のDFFTとはData Free Flow with Trustの略で「自由で信頼あるデータ流通」を意味します。

「勤労者皆社会保険」は時短や兼業・副業など働き方の形態にかかわらず充実した社会保障を受けられるものです。

大企業に対し、株主・従業員・取引先の三社が恩恵を受け入れられる「3方良し」の経営を強く要請することで「下請けいじめゼロ」を掲げています。

「令和版所得倍増」として、看護師・介護士・幼稚園教諭・保育士など、賃金が公的に決まるにも関わらず、仕事内容に比して報酬が十分でない皆様の収入を増やすため、「公的価格評価検討委員会（仮称）」を設置することで、公的価格を抜本的に見直すとされました。

③外交・安全保障政策

外交と安全保障については「3つの覚悟」と「1つの信頼」が掲げられています。

「3つの覚悟」と「1つの信頼」はそれぞれについて岸田氏のHPで詳しく政策が掲げられているので、気になった方は見てみてください。（岸田氏HPはこちら）

次に具体的な外交・安全保障政策です。

「社会保障政策」として、保育の受け皿・幼保小連携の強化・学童保育制度の拡充とともに、子供関連施策を一元的に扱う「子ども庁（仮称）」について検討すると書かれています。その他、「予防・健康づくり」の促進や地域医療や介護の提供体制の充実にも触れられています。

「教育政策」としてはICT化を中心に、いじめ・不登校などの問題に対する教育現場の改善や教員の質の担保や向上を掲げています。

「農業政策」や「地方創生」は政策が多岐にわたっているので、気になった方は岸田氏のHPの公約PDFで確認してください。

おわりに

岸田氏の公約をまとめてきました。
今年は衆院選（10月31日投開票）が予定されています。本記事もご自身の投票先を決める参考にしてくださいね。

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参考文献
【時系列まとめ】総理大臣に岸田文雄氏 新内閣正式発足, NHK (2021/10/5), https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211004/k10013289861000.html
菅首相退陣へ　総裁選への出馬見送り表明, 日本経済新聞, (2021/9/3), https://www.nikkei.com/article/DGXZQODE027IZ0S1A900C2000000/
自民党新総裁に岸田氏 決選投票で河野氏に勝利, NHK, (2021/9/29), https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210929/k10013282241000.html
年齢差別？「定年制の乱」に二階氏・進次郎氏も参戦！自民「73歳規定」廃止めぐりベテランと若手が火花, (2020/6/24), FNNプライムオンライン, https://www.fnn.jp/articles/-/55121
岸田氏の「任期制限」に不快感―自民・二階幹事長インタビュー,(2021/8/30), JIJI.COM, https://www.jiji.com/jc/article?k=2021083000626&g=pol
自民党党則, https://jimin.jp-east-2.storage.api.nifcloud.com/pdf/aboutus/organization.pdf#page=32
岸田文雄　公式サイト, https://kishida.gr.jp/
新しい日本型資本主義 ～新自由主義からの転換～, (2021/9/8), 岸田文雄, https://kishida.gr.jp/wp-content/uploads/2021/09/20210908-02.pdf
岸田新総裁が提言する「日本型新資本主義」とは？ 看護師や介護士ら所得引き上げも…目指すは“成長と分配”, Yahoo (2021/10/1), https://news.yahoo.co.jp/articles/cce076123a147861c29907a2f719e4bd9e2bfa0f
自由で公正なデータ流通の実現主導, METI journal, (2019/5/13), https://meti-journal.jp/p/5781-2/