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20時間寝る病


Mielia.Hari
sns事業部です。今回は『病を知る #001 』として100万人に1人の病気について、皆さんに知って頂きたく記事を書きます。

反復性過眠症(クライネ-レビン症候群)といわれる『寝てしまう』病です。
当院の患者様(以下Aさん)で実際にいらっしゃった方です。(その方は症状は現在ほとんどないです。)
Aさんのお話で、病を知ってください。

12歳から15歳くらいの間で、とっても眠たいな…って時期、ありませんでしたか?
クライネレビン症候群の患者様は、睡眠に抗えない病を抱えています。

症状として『睡眠期』に入ると20時間くらいは起きません。え?生きてる?っと思うほど定活動状態となります。Aさんも病が分かるまで、親御さんが何回も覗きに来て心臓が動いてるか、確認したほどらしいです。

Aさんが通院するきっかけ…ですが、睡眠期に入ると、朝起きれなくなり、学校に行けなくなります。
学力が低下し、課題を家で行うようになります。
発達障害や、何かの病ではないかと、学校のすすめで近所の内科や脳神経外科、精神科に行くことになりました。
精神科の医師より、様々な診察やMRの結果から『過眠症』を診断されます。
専門的な治療がまだ確立されておらず、原因不明であるため、大学病院を紹介されます。

女性よりも男性の有病率が約4倍高いとされ、3日から5週間程度(平均は10日間)の傾眠状態(強い眠気をもよおす状態:過眠病相)が続き、昼夜を問わず、毎日16~20時間も眠り続けるのが特徴的です。このような過眠病相(過眠エピソード)が通常1年に1回以上(平均3ヵ月に1回)起きることから周期性傾眠症とも呼ばれています。

クマとよばれ…

メカニズムは『冬眠』に近いとされています。
当然…10代の同級生達には理解されず、『さぼり』『不良』『引きこもり』など言われてしまいます。

《熊さんみたい。》

と呼ばれ、一時は久しぶりに眠たい時期を超えて学校に行くと、馬鹿にされたりいじめられたりしたそうです。

本人(Aさん自身も)症状の異変に気づいていたので、眠たい時期がきても頑張って起きようと縄跳びをしたり、コーヒーを飲んだりしたそうです。
しかしながら、上記の行動は大変危険だと医師から注意を受けるのです。
無意識に、注意力が散漫になり、場合によっては転倒したり、起きようとして自分で腕を切ったり…そうなってしまう場合があるのです。

一旦眠たい時期に入ってしまうと、治療が困難になり、目覚めるのを待ってから薬物治療などを行います。そしてカウンセラーと学力を維持する課題を行なったりします。

症状を知る。まさか自分が?うちの子が?

過眠病相期(眠たい時期)には、大きな声で揺り起こすなど強い刺激を与えると、いったん目は覚ますものの、ぼんやりとして口数は少なく、集中力や注意力も散漫となり、新しいことへの関心や興味が薄れて、放置すると眠り込んでしまいます。
病相期には現実感がなくなったと報告することが多く、無茶食いあるいは食事をとらないといった食行動異常、性欲亢進、子供じみた無遠慮な行動(脱抑制行動)をとる場合が多いのですが、食事や排せつは自力でできます。最大の特徴は、過眠病相がなくなった間欠期には、病相期にみられた認知・行動障害が完全に消失して正常となることです。



NPO法人より《周期についての報告》

1925年にクライネ(Kleine)によって最初に報告され、1936年にレビン(Levin)によって詳しく説明され、1942年にクリチリーとホフマン(Critchley and Hoffman)によって定義づけられ、クライネ・レビン症候群と名づけられました。



 寝てしまう=排泄や食事もしない為、絶食行動を起こす事もあり、栄養面や健康面でも大変心配となる病なのです。


治療方法

残念ながら確かな治療方法は、見つかっておりません。

効果的な治療法はありません。

① 病相期の症状が深刻でない場合は、積極的治療を控えることが推奨されます。親の病気の理解を促進し、患者を支えることが望まれます。
② 学校、仕事は症状が治まるまで調整(休む)必要があります。(安全で快適な環境で、患者が親御さんなどの監督下で自宅で休むことが推奨される)
③ 患者が一人で歩き回ったり、車を運転することは控えるべきです。
④ うつ状態や、不安の症状は注意深くモニターし、対症療法を行うべきです。
⑤ また過眠の対症療法として“起きる”薬は有益である可能性があります。
⑥ 病相間欠期には睡眠覚醒時間をきっちり管理し、アルコール摂取を控えたり、風邪などを引かないように気を付けます。

気をつけなければいけないのは、眠たい時期に入ると冬眠状態になる為、起きた後『拒食、絶食、味覚障害、うつ、倦怠感、認知症様正直』等が併発する可能性もあります。

14年かけて症状が収まっていくと言われている為、学力、健康、精神面で地域や学校、家庭でサポートが必要であると言えます。


20歳で鬱に…

Aさんは12歳で発病し、20歳で鬱を併発します。
高校卒業し、寝てしまう病を抱えつつ、憧れの看護師の専門学校へ入学します。
自分自身の病を知る為と、患者様をサポートする職につきたいと感じたからです。

しかしながら、8年かけて、眠たい衝動は、大文薄れてはいたものの、突如眠たいに抗えない感覚が頻繁に来るようになります。
学校を休む為、自分自身を責めてしまい、鬱になってしまったのです。
そんなとき、医師から漢方と鍼治療の併用を勧められます。

鬱治療と、自律神経の調節…なにより、自分自身を責めないように、自分をゆっくり見つめる事にしたのです。

睡眠…に関わる事を東洋医学で言うと、『腎』の治療を行う事があります。

人間は生まれながらに精のリミットは決まっており、精がなくなるとそれは『死』なのです。

またその精は飲食物で補いながら生きています。
その精は、腎で保管されている、と考えるのです。

睡眠は体のエコモードであり、その間に脳を休めたり、身体の機能(食事、会話、運動、呼吸、排泄)などを最低限または行わないモードにできる機能なのです。

寝てしまう、眠気がとれない…これは、意思に反して起きてしまう為、脳(東洋医学では心、心神)とも深く関わります。
深睡眠に陥る脳波やリズムも、このクライネレビンの方は特殊だと言います。

腎と心の関係を鍼治療で介入していき、鬱治療も心に関連して行う必要があると思われます。

乗り越えて。


今は全く症状がないAさん。
あの時を振り返り『寝てる青春だった』と話してくれました。
起きて沢山、友達と遊びたかったみたいです。

現在は、体の鍼は続けており、当院に通院されています。


病を知る。

少し知るだけで、周りの見方が変わります。


参考文献
Mitchell G Miglis and Christian Guilleminault. Kleine-Levin syndrome: a review;Nat Sci Sleep. 2014; 6: 19–26. 

Arnulf I, Zeitzer JM, File J, Farber N, Mignot E. Kleine-Levin syndrome: a systematic review of 186 cases in the literature. Brain. 2005;128:2763–2776.


記事執筆ーー

Mielia.Hari  

鍼灸、美容鍼灸、自律神経調整 

SNS事業部
院長Mai
監修ーS医師
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