アーモンドグリコな朝
郊外のちょっとしたテーマパークのような公園に来ていた。
そろそろ帰ろうと、出口に近い広場にいる時、
夫が、持ってたガラスのコップをうっかり落としてしまい、
子供の足元に割れて散らばった。
幸い子供に怪我はなかったが、他の人が怪我をしないように
私は急いで破片の片づけをしようと夫に声をかけた。
「はやく帰りたいし、ガソリンスタンド探さなきゃだし、
時間ないから、そんなのほっといていくぞ!」
「はああああ!!!!??????」
ちょ、ちょ、うそでしょ???そんな無責任な!
怒りで頭が一気に爆発しそうになると同時に、
ちょっとしたパニックになった。
だっていつもは、浜辺で散歩中も山でハイキング中も
落ちてるゴミを拾ってきれいにする人なのだ。
しかもそんなきつい、彼らしからぬ口調。
ひどい!
「もういい!勝手に帰って!私は片づけてから帰る!」
少し離れたパーキングに駐めている車に走った。
トランクになぜだか入っていたベランダ用のほうきとちり取りを
疑問にも思わず掴んで、治まらぬ怒りと共に現場へ踵を返す。
「急がなきゃ!誰かが怪我しちゃう前に片づけなきゃ!」
たった今来た道は、どうやら出口専用らしく
引き返せないようになっていた。
ガードマンが拡声器で、「こちらからは入れませ~ん。
道路の向こうの入り口からお入りくださ~い。」と繰り返し、
訪問客に案内しているのが聞こえる。
大きな道の向こうへ渡り、大勢の入場客の長い列に並ぶ時間の猶予は
私にはなかった。
仕方ない。ガードマン達の目を盗んで出口からこっそり入るしかない!
人ごみに紛れて私は出口用の道を逆走した。うまく進んだが、
ガラスを割った広場に続く狭い道に入ると、突然周りに誰もいなくなった。
そのとき、背後に何かがすっと近づいた気配を感じたと思ったら、
「ガルルルルルルル~~~~~」
耳元で、怒った獣の発する声がして、
わたしは怖くて身動きが出来なくなった。
セキュリティー用の大型犬だ!
かぶりつかれる!
どうしよう!
わたしは目をギュッとつぶった。
だが何も起こらず、どうなったかとそっと目を開けると、、、
わたしはベッドの上。
振り返ると、
「ズコ~~~~ガルルルルル~~~~」
大型犬ではなく、見慣れた夫が、
いつも以上の大きないびきをかいて寝ておりました、とさ。
可笑しくって、目覚めるなり笑い出す。
まもなく目を覚ました夫に話して、一緒に大笑い。
そんな一日の始まり方がとても嬉しかったのと、
夫の豹変が現実じゃなくて安心して嬉しかったという、
悪夢が一転した、一粒で2度嬉しい、夢のお話でした。
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