「こどものまち」の全国の協議体組織づくりのための趣意イメージ

かつて、私たち「こどものまち」の主催者が初めて各地から集まって交流と交歓の会議をサミットと称して行った際、本会議に先立つ代表者会議において、全国を股にかけた協議体組織を「作らない」方向で各地の皆さんと決めました。それは、当時集まった11の「こどものまち」でさえ、多様で際立った個性を持つなかで、その瑞々しさを抑える方向に作用するかもしれない、という代表者の皆さんの直感が、そうさせたのだと思います。

しかし、それから15年、関わる子ども当人達ののびやかで逞しい変化とは対照的に、子ども達にとっての「遊び」の大切さについての社会からの理解は当時期待したほどには変化がなされず、むしろ現代の世相は、忙(せわ)しなく実利が優先されて、まるで立ち止まる事が許されないかのようです。

それでも私たちは、それぞれの立場や方法で「こどものまち」という大掛かりで手のかかるプログラムを、学校だけでは得られない、遊びから何かを学ぶ経験や失敗を乗り越える機会をもたらすものとして、出来る限り子どもを中心に置いて実行し、周囲の理解を得よう活動を重ねてきました。

昨今、「遊びの権利」一般の領域では、先達の方々の動きとして「遊びの場」を保証する事の大切さ等を31条の会や日本冒険遊び場づくり協会の皆さんが行動され、全国こどもの権利条約フォーラムからも提言がなされ始めています。

私達としても、「こどものまち」ならではの「社会遊び」について、体系的な体験を掴む場としての意義や価値を問い、また当事者としてその持続する環境づくりについて理論立てていく役割をそれぞれ自覚しつつあり、各地の「こどものまち」の多様性やルーツの違いはそのままに、手を携えて他者と向き合い、アドボカシーや政策提言の能力を蓄え、支援と再配分の受け皿となり、国や地方自治体、そして世間一般の皆さんに対して働きかける基盤として「こどものまち」が連携・連帯することが意味を持つ時期に来たと、改めて感じています。

全国の多数の皆さんの賛同を得るために、まずはこうした概念を当事者間で広めていく事が、いま行うべき事柄の一つだと考えています。

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