失恋黒歴史 中3編その6(最終回)
バレンタインの悪夢
昭和61年2月14日は、私の通っていた中学の3年生の7~8割は受ける、某私立高校の入試の日でした。
なのでその日は3年生は休みになります。
つい数日前までは、人生で初めての本命チョコがもらえるバレンタインデーになる🎵
と喜んでいた私ですが、フラれた後はバレンタインデーなんかどっか行け、こんな行事廃止しろ!と、心が大変荒んでいました(苦笑)
さてその前日、いつもの通りボーッと1日過ごして、終わりの学活も上の空だった私。
その後、担任の先生は何故か私を職員室に呼びました。
「先生、なんですか?」
吹奏楽部の部長時代以来、久々に職員室へと入りました。するといきなり
「お前、フラれたんか?」
「えっ、先生、なんでそれを・・・」
「そんなもん、お前とO(←元カノさん)のクラスでの様子を見てりゃ、すぐ分かるよ。明日の入試、大丈夫か?」
「はい、まぁ・・・多分・・・」
私も次の日のバレンタインデー入試の私学を受けることにしていました。
ですがOさんにフラれて以降は、全く勉強は手に付かず、自宅でもテレビばっかり見て受験勉強など放棄していました。
何もやる気が出ないんです。
担任のY先生は、さすが私のことを知り尽くしてらっしゃいます(苦笑)
私をフッたOさんは元気溌剌ですが、フラれた私は人生終わったような顔つきで毎日を過ごしてましたから、どう見たって私がフラれたと気づきますね(^_^;)
「お前、この先の人生で、まだまだ沢山の女の子に出会う筈だ。高校に入ったら今までの嫌なことを忘れて、新しいミエハルになれよ!応援しとるから」
「ありがとうございます、先生」
「その前に明日、本命じゃなかろうけど、受験頑張ってこいや」
「はい、まずは明日ですよね・・・あっ、忘れ物した!それ取りに行ってから帰ります」
「おう、分かったぞ」
私は筆箱を忘れたことに気付き、教室へ取りに行きました。
私が教室のある階段を上がり、教室に近付くと、不審な動きが・・・。パッと私の1組から、隣の2組へと移った影が見えました。
私は机から筆箱を取った後、すぐ帰るフリをして、渡り廊下に隠れ、1組と2組の方を眺めました。
そこへ周囲を気にしながら現れたのは、なんと2週間前に私をフッたOさん、そして同じ1組のM君。
「!?」
そしてOさんも周りを気にしながら、M君へプレゼントを渡していました。明らかにチョコレート…バレンタインのチョコです。
「えーーーっ!!!」
私は声に出さないまでも、心の中で、目の前で起きている事態が信じられませんでした。叫びたい、出来る事ならその場へ殴り込んでやりたい…。
M君も、声は聞こえませんが、なんとなく俺がもらってもいいの?みたいな感じを醸し出しつつ、Oさんからのチョコを受け取っていました。
私は、目の前で起きている事態が信じられず、地獄に落ちたままなのに、更に過酷な地獄へと落とされるのかと、暗澹たる気持ちになりました。
2人が廊下から消えるのを待ち、消えた後もしばらく私は渡り廊下から動けず、さっき目の前で起きた事件にショックを受け、再び枯れたはずの涙が溢れてきました。
「なんで・・・こんな目に・・・」
私をフッて、たった2週間で次の男子に行けるのか?
それとも、私をふる前に、気持ちはM君に移っていたのか?
確かに3学期になっての最後の班編成で、OさんはM君と同じ班になっていました。
煮え切らない私みたいな軟弱男より、男らしくちょっと不良っぽい、格好良いM君の方にOさんの心が移るのも仕方ありません。
前回書いた、全くデリカシーの無い手紙が、きっと決定打だったんだと思います。
そうとしか考えられない、と私は私を納得させようと頑張りましたが、15歳の男にはとても難しい課題でした。
そんなズタズタの精神状態で、翌日の私立高校入試や、翌週のもう一つの私立高校入試に挑みましたが、一応合格することは出来ました。
ですが、本命の公立高校の入試が始まる前が納付締め切りの入学金、これを親に出してもらうのが申し訳なくて、私は合格したにも関わらず、私立高校入学の権利を手放してしまったのです。
これで、本命の公立高校に落ちたら、私は中学浪人しなくてはならなくなります。
その本命の公立高校というのが、Oさんと付き合っている時に決めた高校だったんですが、私がフラれたのが公立高校の願書締め切り後だったので、Oさんと同じ公立高校を受けなきゃいけないという過酷な予定が、この後に待っていました。
私は渡り廊下で溢れた涙を拭うと、Oさんに持っていた未練が、徐々に憎しみに変わっていき(苦笑)、あんな女に負けてなるか!とばかりに、そこから猛烈に受験勉強を再開しました。
万一、公立本命高校にOさんだけ受かって、私は落ちて中学浪人なんて事態になったら、余計に惨めな人生になってしまいますから。
学校でもOさんのことはガン無視、実は担任のY先生も、陰で私を応援してくれました(;^_^A
そして3月、公立高校の受験もありますが、その前に卒業式がありました。
地獄の底から這い上がれ
卒業式後、生徒や先生が無礼講になった後、OさんはM君と仲良く写真を撮ったりしていて、私がフラれたのを知らないクラスメイトからは、なんでOさんと写真撮らないの?とか聞いてきましたが、後で・・・とだけ答えてました(苦笑)
そんな惨めな心境で卒業式を終え、帰宅しようとしたところ、天使が現れました。
「ミエハル先輩!あの、その、ボタン下さい!」
吹奏楽部の1年生の後輩の女の子でした。
「えっ?俺?」
「はい!」
「うん、いいよ。第2ボタン上げるから、待ってて」
「えーっ、第2ボタンもらえるんですか?!」
「うん。上げる予定がないから。嫌かもしれないけど、持ってって」
「ありがとうございます!大切にします!」
1年生の女の子は、私の学ランの第2ボタンをギュっと握りしめ、走り去りました。
後に聞いた話では、1年生の女の子は、私が初恋相手らしいんですが、私がOさんと付き合っていたため、告白を諦めていたそうです。
この時、第2ボタンを上げると言ったらビックリしたのも、まだ私がOさんと付き合っていると思っていたからだそうです。
失恋後、追い打ちをかける出来事に遭遇し、精神状態が地獄の底だった私には、その1年生の後輩女子は、突如現れた天使に見えました。
ただ残念だったのは私との邂逅がその時だけになってしまったことです。
何故ならその後輩女子は、お父さんの転勤で4月から豊橋に行ってしまうことを、吹奏楽部の後輩から教えてもらった…からでした。
だからこそ、卒業式後に勇気を出して、私の所に来てくれたんでしょう。
でも、勇気を出して私の所に来てくれてありがとう♪
今は何処で何をして過ごしているかは全然分からないけど、この時地獄の底にいた自分を助けてくれたのは、2年年下の、ホルンを吹いていたFさん、貴女だよ(⌒∇⌒)
この昭和60年度は、半年前には、1/3だけですが、私のことを好きだったと告白してくれたYさんがいましたし、そして卒業式後に一生懸命に私の所へ来てくれた1年生のFさん。
そう考えれば、まだまだやり直して、Oさんを見返してやる!という今後の私の生き方、目標にほんの少しだけ光が射してきたように思いました。
エピローグ
私の中学生活は、こんな感じで幕を閉じたんですが、なんとか本命の公立高校に受かることが出来ました。
Oさんも同時に受かったんですが、実はOさんとの複雑な関係は高校生活でも続いていきます。
これを書きだしたら、いつになったら終わるやら・・・ですので、中学校卒業を機に、一度締めさせていただきます(;^_^A