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20230821(大好きなあいみょんについて)

 忘れられないものなどなくて
 譲りきれない思い出ばかりで
 いい加減に諦めなさいなんて
 簡単に言わないで


 2018年夏、私は初めて好きな人に受け入れられた。それまではフラれ嫌われの連続だった私にとってこの瞬間はまさに人生の分岐点であった。そして彼女をきっかけに知り、今もなお愛してやまないアーティストがあいみょんである。初めての彼女を含めた数人でカラオケに行った際、彼女が歌っていたあいみょんの「ふたりの世界」が僕にとって初めてのあいみょんとの出会いであった。次に2人きりでカラオケに行ったときに歌えるように練習しようとそれからひたすら聞き続けているうちにそのメロディーや歌詞に惹き込まれ、気がつくと自分の方があいみょんの大ファンになっていた。

 好きな楽曲を挙げればきりがない。「青春と青春と青春」、「夜行バス」、「裸の心」、「ハート」、「サラバ」、、、どの曲も曲そのものも好きだが、耳にするだけでリリースされた時期の情景を鮮明に思い出すことができるほど私の大学時代の思い出はあいみょんに支えられていた。
 そして中でも思い出深すぎる楽曲が2ndアルバム「瞬間的シックスセンス」に収録された「恋をしたから」という曲である(YouTubeで聴けるのでぜひ一度静かなところで聴いていただきたい)。そもそもこのアルバムは私があいみょんを知った2019年頃にリリースされていることでより私にとっては特別な意味合いを持っているのだが、それを抜きにしてもこの曲は素晴らしい。全体を通してアコギ一本、アルペジオでしっとりと歌い上げられ、一番と二番のサビの歌詞が「恋をしたから」という単一の接頭語を付しつつも対照的に、そして聴く者の共感を引き起こす点にグッと来る。また、当該アルバムの構成において始まりからこの曲にかけてグラデーションを描きながらしっとりしつつ、次の「夢追いベンガル」からラストにかけては一気に駆け抜けていくという印象で、このような構成はあいみょんのライブの曲順にもかなり近いものが見られる。

 なぜ「恋をしたから」が私にとって最も思い出深いのか。それはまさしくかの彼女とのその後3年以上に渡る関係性においてどの瞬間にも私に突き刺さったからだ。好きになったばかりの頃、少しづつ慣れてきて楽しい頃、ケンカをするようになってちょっとギクシャクしてる頃、時間が経つにつれて好きという気持ちが薄れ感謝のみになってしまった最期、あいみょんのしっとりとしてそれでいて芯のある歌声は私の心を震わせた。そして何度となく泣かされた。もう4年以上前のアルバムの一曲にも関わらず、最新のライブツアーでもこの曲は歌われ、それほどあいみょんにとっても大事な一曲であることがうかがえる。

 あいみょんを好きになってもう5年。私も学生から社会人になり、趣味や恋愛のことしか考えていなかったのはもう遠い昔になってしまった。それでもその頃熱心に聴いていた曲を聴くとどうでもいいような些末なことまで克明に思い出される。他のアーティストの曲はほとんど聞かないため、流行りに取り残されることはしばしばあるが、一人のアーティストだけを長く追いかけ続けることで自らの変化や時の流れに敏感に気付かされるようになった。そして曲を聴くだけであの頃にも戻れるのだ。

 最後に「恋をしたから」の好きな一節を。

  当たり前なんてものはなくて
 いつか失うこともあるわけで
 その上で貴方を見つけたこと
 運命に感じていたよ
   〜(中略)〜
 恋をしたから
 空が寂しく思えた
 恋をしたから
 明日が少し怖かった
 恋をしたから
 恋をしたから


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