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就労移行支援と障害者雇用について


見学から体験まで

夫に就労移行支援の存在を教えてもらい、最大手であるL社でいいんじゃないか話して、決めていた。
自宅から最寄りの事業所に問い合わせをして、見学してその場で決めてしまった。
後になって思うが、他にもいろいろな事業所を見学しておいてもよかったかも、と思った。
「ここなら大丈夫」という直感が上手く働いて、結果的には運がよく、スタッフの方や通所している利用者は良い人ばかりで恵まれたなと思う。
自分の居場所になるところにどんな人がいるのか、自分が何を学びたいのか、もっと具体的に慎重に決めてもいいかもしれない。

決めた要因としては、自宅からの通いやすさ、スタッフの方の雰囲気、利用者の雰囲気、プログラムの内容、最大手である安心感で総合的に決めた。

体験中は、新しい環境に慣れず不安でいっぱいだった。
最初は1週間に1回の通所を推奨されていたが、その1日を通うのがとてもしんどかった。
1日のために頑張って前の日にお風呂に入って、当日起きられるように早めに寝たり。
普段から睡眠リズムはぐちゃぐちゃなのに、この日のためだけに早く眠るなんてことはできず、緊張した気持ちのままベッドに入り、眠れない!みたいなことを繰り返した。

それでもなんとか通所してみると、20~50代の多くの人がいて、どうやらこの方たちも、私と同じ精神障害を抱えているらしいと思うと、なんだか安心できて、ちょっとホッとした記憶がある。

通所から帰ってくると、どっと疲れてしまい、お昼寝をしすぎてしまったり、人とコミュニケーションを取ったストレスで過眠してしまうことが多かった。
自分には必要なストレスだ、と割り切ることで何とか乗り越えることができた。

最初の1か月

まずは週2の通所から始めたが、本当にしんどかった。
通所している日がなんとなく調子がよく、家にこもって寝ている方が逆に寝込んでしまいしんどいので、翌月からは週3から週4とペースを保つようにした。
毎日出かける場所がある、こんな自分を受け入れてくれる居場所がある、という安心感で、体調はみるみる落ち着いていった。
通所から帰ってきたらその日はぐっすり眠れるし、「明日通所だから早めに寝よう」と思えて就寝準備ができるし、服薬がしっかりできてるか就労移行で毎日確認されるので、忘れずしっかり飲む。
自分のためには飲めないのに、誰かが私の服薬状況を気にしているというだけで、丁寧に薬を飲むことができた。

プログラムの内容は、私が今までの引きこもり生活で苦労した内容が多く、受けたいと思うものがほとんどだった。

実際受けたプログラムのタイトル
自己理解、オープン就労とクローズ就労について、認知行動療法、伝わりやすい相談や依頼の仕方、ストレスマネジメント、セルフモニタリング、睡眠と運動、話しかけるタイミングを計る、上手に断る、アサーション、働く上での強みと弱み、働く上での困りごと対策を考えよう、自己肯定感について知ろう、食事から体調管理にアプローチしよう、部署活動、休憩上手になろう、自分に合った睡眠習慣、心を楽にする受け止め方トレーニング、リラクゼーション、集団作業訓練、指示の受け方・メモの取り方、自分も相手も「ちょうどよい」と思える関係性の作り方、就労準備性ピラミッド、必要な配慮事項を考える、ベストな睡眠について、報連相、時間管理の工夫、上手に頼みごとをする、ライフキャリア・レジリエンス(ダメな自分で頭がいっぱいになるときの対処法)、自分の働きやすさを考える、感情の変化を知りリフレッシュ方法を考える、セルフ・コンパッション(自分のありのままを受け入れる方法を知る)、アンガーマネジメント、躁鬱のサインに気づき自己対処する、グループワーク、ピアトーク、模擬会社や部署活動、

ビジネスマナーなど、すでに知っていることは取らなかった。
これらのプログラムが自分に足りておらず、受けてみて実践してみて、今も続けている習慣がいくつかある。
病状の安定のためにはどれもかかせないことばかりで、プログラムを受けてよかったなと強く思う。

はじめての企業見学

事業所の掲示板には、寄せられた求人情報や、企業見学の案内が貼り出されており、各自で確認するという流れだった。
2025年11月、とある企業が職場見学会を開くということで、参加者を募集していた。
私も記名して、同じ事業所から5人、同行する支援員が1人付く形で見学をした。

施設の案内、実際に業務にあたる場所、一緒に働く方にご挨拶をして直接質問したり会話する機会、通勤経路を実際に利用してみて、体力の確認をする。
初めての企業見学だったが、具体的に働く場所の見学をさせてもらえるのは本当にありがたかった。もしかしたら自分がここで働くかもしれないという直感があった。
見学会の終わりには、後日に求人募集にエントリーするかどうかを企業に確認され、私は迷いなくエントリーをすることに決めた。
ハローワーク経由ではなく、私の所属する就労移行支援事業所に出された限定の非公開求人だった。

次の日から、エントリー締め切りに向けて履歴書や職務経歴書の準備が始まった。
通所をし始めてから4か月目の、秋の終わりだった。

コミュニケーションの苦労

就労移行支援にはいろんな人がいた。
私は積極的に自分から話しかけるタイプというよりか、話しかけられやすいタイプで、男女問わずたくさんの人とお話する機会があった。
引きこもりをしていた私にとって、コミュニケーションは渇望していたものだったから、ひどく疲れるけど苦ではなかった。

いつからここに通っているのか、趣味は何なのか、前職は何をしていたかという会話を中心に話していた。
通ううちに、仲良くしてくれる人やよくお話する人ができ、その人たちとコミュニケーションを取ることがモチベーションになって、通所が楽しくなった。

でも、関係性が深まるにつれて、「この人のこの部分、ちょっと違うな」「その考え方は自分にはしっくり来ないな」と思うことが増えてきた。
今までの自分は、価値観の違う人は自分から壁を作って遮断してきていた。
でもそれで苦労してきたから、やり方を変えた。
その人の価値観を大切に、認めながら接していくことを意識した。
0,100思考で、最初は難しかったけど、長い時間をかけて向き合うようにした。

時には、コミュニケーションが活発な人に詰められるほど熱心に話を聞かされ、しんどくなってしまうこともあったが、そういう時は違う利用者に話を聞いてもらったり、支援員に相談することで対処法を教えてもらっていた。
実際に働きだしたら人間関係のことで悩むと思うし、自分ひとりで解決しようとせず、他の人に頼ることができたのは、成長だと感じた。

雇用前実習

企業見学に行ったあと、求人募集にエントリーするかの意思確認をされた。
入所して日が浅いから無謀かも?と思いながら、なんでもやってみようという気持ちが湧いて、エントリーすることにした。

履歴書、職務経歴書、希望する配慮事項、障害者手帳のコピーなど、前職の就活から7年のブランクがある私には、揃えるにはハードルの高い提出書類だった。
職歴に書ける会社が1社しかなかったこと、ブランクがかなり長いことが不安だった。
自分の引き出しでは限界があったので、chatGPTに添削してもらったり、家族、支援員にも添削をお願いして書き上げることができた。
前職で頑張ったことのエピソードを具体的に書いたり、自分の強みはこうなので貴社のこういうところで活かせると思います、など書いた。

書類提出後、選考が通った連絡があった。
次のフローとしては、雇用前実習を行うということだった。
就労移行支援で行ける普通の実習とは違い、採用できるか適性を見られる実習だった。
提示された日数は、フルタイムを8日間。
週4,5で1日6時間しか就労移行支援に出席している現状、現状以上を求められたこの条件はかなり厳しかった。
実習前に主治医に、この条件で実習に行ってもいいか確認を取ったが、さすがに止められた。
段階を踏んで増やしていくのはいいけど、いきなりフルタイムを8日間は潰れないか不安だからやめてくれ、と言われた。
主治医に止めてもらって、内心ホッとした。気持ちとしては行く気満々だったけど、主治医が止めてくれたことによって、企業に説得しやすくなったから。

企業には、主治医からの許可が下りなかったので、時短で1日6.5時間を8日間という条件でお願いし、承諾していただいた。
雇用前実習が始まり、働きやすさや快適さを実感した。
やっぱり大手企業ということもあって、福利厚生はきちんとしているし、風通しのいい職場で、働いてる人はみんな大らかだった。

仕事の内容も、私が背伸びせずできるものばかりで、いわゆる雑用的な仕事ももちろんあったが、誰でもできるような仕事を任せてもらえるのが何よりも嬉しかった。
ブランクが長く、自分にできる仕事ってないんじゃないかと絶望していたこともあって、人並みに仕事をこなせる喜びがあった。
「私、普通の人っぽい、大丈夫なんだ」と安心した。
特別なことができる必要はなく、誰でもこなせる仕事をコツコツこなすところが、企業に評価された点かもしれない。

内定をいただく

雇用前実習を2024年の年末に終え、最終選考に進みますか?と企業に意思確認されたので、選考に進みたいと伝えた。
年が明けて1月の中旬、最終面接の案内が来た。
面接とは名ばかりで、40分ぐらいかけて対話形式で実習の振り返りをしたり、希望する月給の検討、ご縁があって入社するとしたらどんな不安があるかをお話した。

面接を終えて1週間後、障害者雇用枠の内定のご連絡をいただいた。
学歴から考えても、こんな大企業に就職できるのはすごいなと思った。
自分の何を買ってもらえたのかはよく分かっていないけど、とにかく社風に合っていること、一緒に働きたいと思ってもらえたことが内定に繋がったと採用担当の方に言われた。

現在の過ごし方

実際に働いてることを想定して、出社する時間に合わせて就寝・起床の習慣をつけようと頑張っている。
始業が他と比べて早いので、早起きしたり、日中はデスクに向かって作業するようにしている。
仕事から帰ってきて家事をこなしたり、シャワーに入るセルフケアの時間、日記をつける時間を必ず確保したい。

22時には就寝したいので、就寝準備を20時から始めている。
20時には寝る準備なんて、趣味のゲームなんてやる時間がほとんどないことに少し絶望している。
でも、早寝早起きするととても体調がいいし、落ち込むことが少なくなった。
好きなときに好きなだけゲームをして、日中ドカ寝しているよりかは、今はずいぶんメンタルが安定したなと思う。

入社まであと、1週間と少し。
しっかり生活リズムを整えて、心の準備もしたい。

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