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【最近は、こんな感じ】 好きなことを仕事にしない才能。

上海で生活する女の子たちの日常って?
ファッション、メイク、食べもの、よく行くお店。あと、普段考えていること。悩んでいること。そして目標。
そんなあれこれを、同じ目線で聞いてみた。
@mie_shanghai

05 Chunlee

<Profile>
Chunlee(ちゅんりー) 生まれ年:1984年
出身:浙江省寧波市
職業:会社員
ins『@chunlee2017』

誰もが知ってる大企業の中枢で、
バリバリ働いているChunleeさん。
おしゃれで絵もうまくて、
住んでるお部屋もセンス抜群。
アーティストでも、行けそうだけど。


――最近、転職したそうですね。
Chunlee 9年間、アパレルメーカーでデジタルマーケティングの仕事をしていました。主に海外市場を担当していたのですが、コロナや国際情勢の変化で小売、特にアパレル業界は難しくなってしまい……。専門はIT、デジタルソリューションです。違う業界でやってみたいと思い、今年5月に欧米系食品メーカーに誘ってもらいました。ボスがすごくいい人。入社後は、ソーシャルコマースやDTCビジネスの立ち上げ業務に関わっています。社内のリソースをゼロから、ですね。人脈もゼロからです。

――考えるだけで緊張してしまう……。
Chunlee 新しい職場なので、信頼関係や地位の確立も最初から。前の職場でも長いプロセスが必要だったので、多分、軌道に乗るまで3~5年かかるかも。それと、やっぱり企業によって文化やスタイルは異なると感じます。前の会社は個人の能力とチームワークの能力が必要で、チームで自分の強みを発揮できました。新しい会社では、個人の能力が強いことを前提として総合力も強くなければならない。一人でチームを立ち上げたり、日常業務を調整したりする能力も必要。入社するまではそこまでの覚悟がなくて、甘かったなと思うこともあります。でも、やりがいはありますね。

――Chunleeさんは、クリエイティブ系のフリーランサーの友達が多いですよね。
Chunlee 会社勤めをしているの、私だけ(笑)。大学では経営学とCGを専攻していたのですが、学校で絵を描き始めると没頭してしまって、平気で10時間経っていたりする。夕方、警備員に注意されて帰る日々でした。好きなことを始めるとそうなってしまう性格。それに、好きなことは努力だけではダメで、天才じゃないと仕事にするのはつらい。だから、好きなことは仕事にしないほうがいいな、と。それも才能だと思ってて。

――仕事が完璧にできる人が言うと、すごい説得力……。
Chunlee 頼まれたことに対して結果を出して、ボスに認められる才能。上班族(会社員)の才能。でも、最後には自分のやりたいこともしたい。だから、いまはお金を貯める期間です。

“家でのひとときは、完全にオフの時間”

――ストレスの解消法はありますか?
Chunlee 家に仕事を持ち込まないこと。仕事が終わったらもうオフ。プライベートでは仕事関連の人とは会わない。あとは読書ですね。本を読むと、「生きていける」っていう気分になれるんです。美術館めぐりも好きでしたが、最近は商業的過ぎる企画が多い。いいギャラリーも減っている気がします。

――今日のコーディネートについて教えてください。
Chunlee トップスは『MAR』。もう10年くらい着ています。ボトムスは『ZARA』。普段家にいるときはもっとラクな格好ですけど。

――コスメは何を使っていますか?
Chunlee アイシャドウは『KATE』、クリームファンデは『RMK』、パウダーは『3CE』、口紅は『M・A・C』と『AUBE』、マスカラは『メイベリン』です。特に『3CE』のパウダーはお勧め。『話梅(HARMAY)』で試して、すごく使いやすかった。敏感肌なので、基礎化粧品は日本のメーカーを選ぶことが多いですね。

――アクセサリーもたくさん持ってますよね。
Chunlee このピアスやブレスレットは、親友がデザインしているブランド『HORUS 1924』のもの。あと、このルームフレグランスも友達のプロダクトです。『ME Ft. WE』というブランド。デザインで賞を取ったりしてるんですよ。宣伝してあげてほしい(笑)。

『HORUS 1924』のアクセサリー
『ME Ft. WE』のルームフレグランス

――ファッションやライフスタイルを参考にしている人はいますか?
Chunlee フォトグラファーのシトウレイ、料理研究家の渡辺有子の本はよく読んでいます。インスタを見てかっこいいなと思うのは、大屋夏南と三辻茜。あと、水原希子はずっと好きです。

部屋には本がいっぱい

“時間に使われている感じ”

――留学経験があるんですよね。
Chunlee 高校を卒業してすぐ日本へ行きました。きっかけはアニメです。私が子供の頃、中国では夕方6時になるとみんなテレビで日本のアニメを見ていた。全員が6時になるのをワクワクして待っていました。『スラムダンク』はもう通しで5回くらい見たかも。

――イギリスにも留学していたとのこと。
Chunlee 日本の大学は3年間で単位を全部取って、1年間イギリスへ。日本は、人に迷惑をかけないように、目立たないようにする人が多いですが、イギリスは自由でユニークな人がいっぱいいる。別世界でした。日本人は、時間に使われている感じ。特に、駅で電車を待っている人を見ると悲しい気分になってしまう。でも、おしゃれな人がたくさんいて最初はびっくりしたし、イギリスに比べると安心、安全で文明的だと思います。

ーーアルバイトはしていましたか?
Chunlee ロンドンでは『nobu』でバイトしてました。まかないがおいしくて(笑)。日本では池袋の『鼎泰豊』でデシャップを任されていました。ここもまかないが食べ放題でよかったですね(笑)。

部屋に飾られた写真。学生時代のもの、友達や家族とのもの

――勉強もアルバイトも、いまの仕事も全部手を抜いてないですよね。
Chunlee 両親の影響が大きいです。父は一代で工場を立ち上げて成功した人で、生活もきちんとしている。子供の時から、自分もそうありたいと思っていました。でも、実は流されてここまできているのかも。自分がやりたいことってすぐにはわからないけど、やりたくないことはすぐわかる。みんなと同じ服装で面接に行きたくなかったから、日本では就職しなかった。やりたいことがあったわけではなかった。だから、なまけている部分も実はすごいあるんですよ。
(取材日:2022年10月16日)


<彼女のお勧め>

『半層書店』(上海市虹口区哈爾濱路129号)
☆建築家がデザインしたセレクト書店。家から行きやすい場所にあるので。

『犀牛書店』(上海市虹口区北蘇州路1040号A101室)
☆蘇州河沿いにある、すごくいい古本屋さん。

『BONICA』(上海市静安区胶州路273弄60号現所5幢1階)
☆おしゃれな店が集まっている話題のスポット『現所』にあるレストラン。よく行く。

『COMETA bistro bar』(上海市静安区南蘇州路1405号)
☆友達に教えてもらった、蘇州河沿いのイタリアンレストラン。人気店なので要予約。


text
萩原晶子
フリーライター。上海にて2007年頃よりガイドブック、ファッション誌、機内誌、ウェブなどの記事を手がけている。
カルチャー誌『Ketchup.』(上海と東京で販売)など。
ins:@hagiwara_akiko_

photo
阿部ちづる
2006年にフォトグラファーとして独立。ファッション誌、ビューティー誌、週刊誌、写真誌等のグラビア、ポートレート写真を撮影。アイドルグループやグラビアモデルからのアーティスト写真撮影で指名されることも多く、女の子の新鮮な表情を切り取る。
佐々木希『ささきき』(集英社)、武田玲奈『Rena』(集英社)ほか多数。
ins:@chizuru0821
https://lov-able.com/photographer/chizuru-abe


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