見出し画像

【最近は、こんな感じ】 朱家角は、つまらなくならない場所。

上海で生活する女の子たちの日常って?
ファッション、メイク、食べもの、よく行くお店。あと、普段考えていること。悩んでいること。そして目標。
そんなあれこれを、同じ目線で聞いてみた。
@mie_shanghai

35 Gabriella

<Profile>
Gabriella(ガブリエラ)
生まれ年:1990年
出身:江蘇省常州市
職業:アートセンタースタッフ
小紅書 @IR1916_2666
Ins @zhangleyuan_

上海の西端にある朱家角は、
不思議なクリエイターたちが集う場所。
朱家角という地名が会話のなかに出るだけで、
初めて会った人とも打ち解けられる場所。
Gabriellaさんとも、
朱家角で知り合った。


――会うの、2年ぶりくらいですね。以前も朱家角で。
Gabriella そうですね。『HEAL WE ARE』(烏魯木斉中路361号※音楽イベント、ワークショップなどのスペース)でも会った。

――全然連絡してなかったですけど、Gabriellaさんのことは常に取材しようと思ってました。その後もずっと朱家角ですか?
Gabriella はい。以前王烵萻も取材してましたよね。彼女はあれから市内の実家に戻ってしまって。でも、また朱家角に戻ってくるって言ってる。

――そうなんですね。Gabriellaさんはもともとなぜ朱家角に住もうと?
Gabriella 2016年にアクセサリーを作っている友達と知り合って、彼女が朱家角をベースにしていると知ったのがきっかけです。あと、雲南省の大理で大龍(朱家角にスタジオを持つアーティスト)のパフォーマンスを見たことですね。すごい人がみんな朱家角をベースにしている。大龍、今年の夏も雲南で何かやるみたいですよ。彼の両親も大理に住んでいて、料理屋さんをやっていて、みんなが集える場所になってる。

――えー、行きたい。いいなぁ。そうだったんですね。
Gabriella 最初は朱家角に住むか雲南に住むか迷っていて、雲南にも数年住んだんですが、結果朱家角に落ち着きました。

――この前、同じくどっちに住むか考えていて、雲南に家を借りた子、取材しましたよ。
Gabriella 名前、Chilliでしょ?

――そう! 朱家角まわり、みんなつながってるなぁ……。

朱家角は上海の西郊外に位置する古鎮を中心とするエリア

“おもしろい田舎”

――Gabriellaさんは、出身はどこですか?
Gabriella 常州です。みんな「恐竜園がある」っていう常州(笑)。大学は親戚のおじさんが住んでいたので上海へ。ドイツ語を勉強していました。卒業後は北京にて、ドイツでインダストリアルデザインを学ぶ研究生になるための準備をし、その後ドイツへ留学。帰国後は雲南省の昆明に住んで、朱家角は2021年からです。

――いまはどんな仕事をしてるんですか?
Gabriella 週4でアートセンター『AAEF』(朱家角鎮酒龍路334号8号楼)で働いています。展覧会の準備やアーティストの育成などのスタッフとして。あとは『Savvy』などのフリマイベント、ヴィンテージ系のpop-upイベントに手づくりのリメイク古着のお店を出しています。なので、お休みの日は家でイベント情報のチェックと作品づくりの日々ですね。あとは、モデルとしてランウェイの仕事をするときもあります。

ランウェイ時のGabriellaさん
Gabriellaさんによるスタイリング。バッグは大理で革職人をしている友達の作
pop-upイベントの出店証(左)と自作のリメイク古着(右)

――お部屋、さすが朱家角という感じで広いですね。
Gabriella 3階建てて地下室もあります。200平米くらい。朱家角に住んでる人あるあるだと思いますけど、地下は引っ越して行った友人たちの家具預かりスペースになってる(笑)。

――犬の松松はどこから来た子ですか?
Gabriella 路上で友達が拾った子です。

――え、全然拾った子に見えない。
Gabriella 種類もわからないです。でも、こういう犬種って販売用はしっぽを切りますよね。松松は自然な長さ。これが本来の長さ。

――作品の雰囲気とか、お部屋のインテリアもセンスがすごいなと思います。影響を受けた人などはいますか?
Gabriella いちばん好きなのは荒木飛呂彦かも。絵のタッチが独特で特別感があって、想像がつかない世界を描く人。アニメで使われる音楽もいいし、ロックに詳しい人なんだなと思います。

『荒木飛呂彦の漫画術』の中国語訳版を愛読

――なるほどー。話はちょっと戻りますが、朱家角の魅力ってなんだと思いますか? 朱家角のことを知らない人、または観光地だと思っている人のほうが多いと思うので。
Gabriella 私としては自然に近いところですね。だったら雲南のほうが大自然があると思うかもですが、古着のことをやっているとマーケットがある上海に近い方がよくて。必要なときに都会に出られて、家に帰れば心も体もリラックスできるところです。おもしろいアーティストともいろいろつながれるし、生活がつまらなくならない場所。湖が近いのでパドルボード、水泳とか、あとはテニスとか、アウトドアもいろいろ楽しめます。ひと言で言うと、「おもしろい田舎」(笑)。

“クラゲと、しっぽ”

――コロナの前くらいまでは外国人もたくさん住んでいましたよね。
Gabriella 2016年ごろがいちばん楽しかったみたいですね。そういえば最近、当時住んでいたというフランス人がまた戻ってきてるらしく。王烵萻も収入が安定したら戻ってくるって言ってるし、一度住んだことがある人は戻ってくる場所なんだと思います。

――では、今後やってみたいことや目標はありますか?
Gabriella アートセンターでの仕事方面では、アーティスト一人ひとりがみんな素晴らしくて、それぞれがいいなと思う日々なので、できるだけいろんな人の作品を平等に来館者に紹介していきたいです。個人的な目標は、来世でクラゲになることです。

――クラゲ。
Gabriella はい。自分の意思ではなく、海流で動くところ。どこへ行く、何かをするという目的はないままに世界をまわれるところ。食べものも、流れてきたものを食べるところです。きれいだし。

――クラゲ、いいかもですね。
Gabriella あと、しっぽがほしいです。私は、いまの科学技術なら実現できるのではないかと。しっぽがあったらもっといろんな動作が可能で、意外に実用的だと思います。見た目もかわいいと思うし。
(取材日:2024年7月1日 撮影地:朱家角エリアの自宅にて)


<彼女のお勧め>

『多傑拉姆藏餐吧』(上海市青浦区朱家角古鎮西湖街41号)
☆田子坊にもあるチベット料理のお店。青稞酒(ハダカムギ酒)がおいしい。

『柳泉LiuQuan工作室』(上海市青浦区西湖街61号)
☆新疆から来た夫婦が開いたアクセサリーショップ。和田玉を使ったオリジナル作品がいっぱい。


text
萩原晶子
フリーライター。上海にて2007年頃よりガイドブック、ファッション誌、機内誌、ウェブなどの記事を手がけている。
カルチャー誌『ketchup.』(上海と東京で販売)など。
ins:@hagiwara_akiko_
微博:Akiko06

photo
阿部ちづる
2006年にフォトグラファーとして独立。ファッション誌、ビューティー誌、週刊誌、写真誌等のグラビア、ポートレート写真を撮影。アイドルグループやグラビアモデルからのアーティスト写真撮影で指名されることも多く、女の子の新鮮な表情を切り取る。
佐々木希『ささきき』(集英社)、武田玲奈『Rena』(集英社)ほか多数。
ins:@chizuru0821
https://lov-able.com/photographer/chizuru-abe

いいなと思ったら応援しよう!